衆議院・予算委員会第3分科会質疑録
1997年3月4日

次に、丸谷佳織君。

丸谷佳織
 新進党の丸谷佳織と申します。
 私は、昨年の衆院選で初当選させていただいたのですが、それまでは音楽に携わる仕事をしておりまして、その中で、音楽が生活に与えるゆとりですとか、あるいは、自分で音楽を演奏することによりまして自己表現の場を見つけている若い世代の姿をたくさん見てまいりました。もちろん、文化は音楽だけではなく、工芸ですとか絵画というものもありますし、芸術文化は、プロ、アマ問わずに時間を超えて伝承されて、また、空間を超えて伝播されていくものだと考えております。
 二十一世紀を目前にしまして、心豊かな日本をつくっていくために、文化行政の発展を願いながら本日は質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 日本は、よくエコノミックアニマルと呼ばれまして、世界からバッシングされていたのですけれども、ようやくハード面からソフト、あるいは物から心へという時代を迎えつつあり、芸術文化の享受を要望する声は御存じのように高まっています。
 文化庁の方でも、平成八年度予算からアーップラン21などの新事業を開始したのを初め、平成九年度も前年度を上回る予算の額を見込んでいらっしゃいますけれども、ただ、国の一般総額に占める文化予算の割合、平成八年度では〇・〇九九八%、約〇・一%です。これは、フランスの約五分の一にすぎないという極めて少ない額で、残念なんですが、なぜこのように低い割合になるとお考えでしょうか。少ない文化予算の原因をどのように考えているか、お聞かせください。

小野(元)政府委員
 私ども文化庁といたしましては、文化予算を充実させたいということが一つの課題でございます。お話にもございましたように、平成八年度、新しいプランといたしましてアーツプラン21ということで、舞台芸術を、創造的なものを積極的に振興していこうという新しい取り組みを始めたところでございます。
 お話ございました、諸外国に比較してまだまだ、フランスやイギリス等と比べますと日本の文化予算は少ないわけでございますけれども、私どもとしては、この平成九年度予算案でお願いしているものにつきましても、平成八年度が七百五十億、これに対して七十八億増の八百二十八億、約一〇・四%増でお願いしているわけでございまして、もともとの、根っこといいますか、過去の予算がかなり低かったこともございまして、まだまだフランスやイギリスには追いついていないわけでございますけれども、近年、特に一〇%以上の伸びを示しておりまして、私どもとしては、積極的な予算増に、それから文化立国に向けての努力を重ねておるところでございます。

丸谷佳織
 本当に文化庁の御努力のほどはお察しいたしますけれども、先ほどと同じ、繰り返しの質問になるかと思うのですが、我が国の文化支援への認識自体が低いと考えていらっしゃいますか。それとも何かはかの原因で、文化予算だけではないのですが、確かに経済的に苦しいことはわかっておりますけれども、以前からなぜ文化にかける予算が低い、その原因はどこにあるか、どのようにお考えか、教えてください。

小野(元)政府委員
 これは過去の経緯でございまして、いろいろな、さまざまな経緯があると思うのでございます。ただ、最近でございますと、例えば、建設省さんが国土建設に文化の観点をぜひ取り入れようではないかというようなお考えもございますし、ちょっと前には、いわゆる行政の文化化といったようなことが各地方公共団体で取り組まれている例もあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、何といいますか、経済的な発展を日本が遂げてくる過程の中で、少しずつ、経済あるいはお金よりも心、心の豊かさが大事だという認識が国民の皆さんの中でも高まってきておりますので、そういったことも背景に置きながら、積極的な努力を重ねてきておるところでございます。

丸谷佳織
 本当に、現在、赤字大国日本と言えるかもしれないのですが、文化予算はぎりぎりのところで確保してくださっているかもしれませんが、実際に支援を受けていますアマチュアの団体ですとか個人の芸術家の方にお話を聞きますと、やはりまだまだ支援の額が足りない、もう少し欲しいという声も聞かれます。
 とはいいましても、もちろん文化ばかりに予算を割くわけはいきませんで、ほかとのバランスも考えながら予算を獲得していかなければならない。そうした上で、やはり多くの国民を納得させるような文化行政の理念、つまり、なぜ文化が必要なのか、文化行政支援の目的とその意義というのを明確に打ち出していかなければいけないと思いますが、その点はいかがでしょうか。

小野(元)政府委員
 私どもは、現在、文化立国を目指そうということで取り組んでおるわけでございます。先ほどからお話が出ておりますように、経済大国に日本はなったわけでございますけれども、そういう中で、実は最近バブルがはじけまして少し経済の状況がおかしくなっておるわけでございますけれども、実は、私ども文化庁といたしましては、芸術文化の振興に力を入れていくということは、決して社会や経済の発展と無縁だというふうには考えていないのでございます。
 例えば、オペラの劇場が一つできる。この十月に新国立劇場をオープンするわけでございますけれども、そのこと自体、地域の活性化、経済の活性化につながるわけでございますし、オペラを見に行くということで、さまざまな形で、見に来てくださる方がその帰りにフランス料理を食べていただく、あるいは、オペラを見に行くために新しい洋服を買っていただく、さまざまな形で、周辺での経済の活性化にもつながる部分があるわけでございます。
 こういったことは、それ以外の各地方での美術館あるいは文化ホール、さまざまなものが置かれているわけでございますけれども、地方での文化活動におきましても同じような例があるわけでございまして、結局、ある程度文化を振興することが、ひいては経済の発展にも社会の活性化にもつながるというふうに私どもは考えているところでございます。

丸谷佳織
 今おっしゃいましたように、やはり生活の中に本当に文化が溶け込んでいる、またその文化自体が、文化そのものだけではなく、行政的には、例えば地域的にも、あるいは環境ですとか産業、食文化等々に影響を与えるものですから、本当に国民的な支援を受けるような文化の意義という理念を、ぜひ明確に打ち出して訴えていっていただきたいと思います。
 また、文化は、福祉と同様に公共性があるという一面もあるのですけれども、市場の原理に任せてしまえば、例えば今言葉が出ましたけれども、新国立劇場ではオペラなどが演ぜられると思うのですが、オペラの入場料の例を見ますと、やはり競争の原理でだんだん高くなっていくわけですね。いいオペラを見ようとすると、かなりの高額のお金がかかってしまう。そうなると、高い入場料を払える人のみ芸術が享受されるという状況になりまして、ひいては芸術の弱体化が始まってしまうものというふうに思われますので、その面でも文化支援ということは行政的にも欠かせない、そういったこともあわせて訴えていただきたいと思います。
 また、芸術家というものは、なかなか生きている時代に評価されにくいという歴史があると思うのですけれども、後世に利益をもたらしていくパターンがあると思います。後世の人の利益を今の行政が守るという意味から見て、後世の利益を守るというとうとい使命もこの文化支援にはあると思うのですが、その点はいかがでしょうか。

小野(元)政府委員
 御指摘いただきましたように、例えば音楽の作品、作曲家をとりましても、現代の作曲家というのは百年、二百年たってから正当に評価される例がかなりあるわけでございま
す。そういったこともございますので、私ども、各方面にお願いをしておるわけでございますけれども、文化立国を目指そうということで、実は今回の、総理から御指示がございました教育改革プログラムの中にも文化の振興の部分がございまして、私どもとしては、文化振興マスタープランをぜひ立てたい、それはまさに、我が国の将来に向けての文化振興の基本的な考え方を明らかにしていきたいというふうに思っているわけでございます。
 その意味で、二十一世紀も間近でございますけれども、私どもとしては、今の時点で文化の振興に力を入れてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

丸谷佳織
 ありがとうございます。
 次に、現在行われています文化支援の実態についてお伺いしたいと思います。
 九六年、平成八年からのアーツプラン21は、国際的な芸術交流ですとか、あるいは若手芸術家の養成、またソフト基盤の整備などを支援していらっしゃいますが、その意義と、そして目標をどこに置いているのか。このアーツプラン21について、意義と目標を教えてください。

小野(元)政府委員
 平成八年度から、アーップラン21ということで、これも新しい文化立国を目指す政策の一つでございます。
 実は、このアーツプラン21を私ども考えましたのは、我が国の芸術文化の牽引力となりますような、まさにトップクラスのレベルの芸術団体等があるわけでございます、オペラ、オーケストラ、バレエ、演劇等でございますけれども。そういったものの頂点を高めていくということが、全体としての文化のレベルを上げていくことにつながるであろうということで、そういう牽引力となる芸術団体に重点的に支援していこうというのが、一つその柱にあるわけでございます。
 それからもう一つは、お話にもございました、国際的な芸術交流を広めていかなければいけないということもございますので、海外でのフェスティバルに参加する、あるいは国際的な芸術交流を積極的に図っていく、こういった点もこのアーツプラン21の一つの柱となっておるわけでございます。
 それからもう一つ、私どもの文化政策の中で欠かせませんのは、芸術文化振興会があるわけでございますけれども、この中に基金がございます。基金の支援によりまして、いわゆる芸術文化のすそ野を広げていくといいますか、トップクラスだけではなくてアマチュアの方々のレベルを高めていく、地方の芸術文化の水準を高めていく、こういったことにも努力をしていかなければいけないと思っているわけでございます。
 そういうことでアーツプラン21を始めておるところでございます。

丸谷佳織
 大変すばらしい意義と目標のあるプランなのですけれども、このアーツプラン21は、名前のとおり21ということですから、九六年から二〇〇〇年までの事業というふうな認識でよろしいでしょうか。確認をさせてください。

小野(元)政府委員
 二十一世紀を目指してアーツプランという趣旨がございますので、二〇〇〇年で打ち切るということではないのでございますけれども、仮にその時点で新しいプランが出てきたといたしましても、この趣旨はさらに拡充していかなければいけないと私どもは思っておりますので、今世紀に限ってやるということではございません。

丸谷佳織
 では、もう一度確認させていただきたいのですが、二〇〇〇年以降もこういったアーツプラン21、名前は変わるかもしれないけれども、こういった支援事業は行っていくおつもりである、同様にお考えということでよろしいですか。

小野(元)政府委員
 私ども、例えばこの平成九年度予算からミュージアムプランということで、美術館、博物館の活性化なり、美術館、博物館を国民の皆さんにもつと楽しんでいただこうというプランも動かしておるわけでございます。そんなこともございますので、何年か先には新しいアイデアも出てくるかもしれませんけれども、基本的に、こういった形での文化の振興方策というものは続けていきたいというふうに考えておるところでございます。

丸谷佳織
 文化の支援というのは、やはり御存じのとおり長い期間がかかるもので、もしかしたら、結果が出てくるのは本当に一世紀かかってしまうものなのかもしれませんので、ぜひ長期的な視野に立った文化支援というのを継続して行っていっていただきたいと思います。
 先ほどもおっしゃいましたように、文化庁だけではなく、国土庁ですとかあるいは自治省などが、それぞれ文化に関しては町づくりあるいは村おこしという目的でも取り組んでいます。そして、結果的には、現在千を超える公立文化会館が建てられてきているのですが、その稼働率が平均で五〇%以下、そのうち自主事業の実施率は一〇%以下と、なかなか、地域の文化づくりに役立っているとは決して大きな声では言えない数字が出ているのですね。
 これらの公立文化会館の稼働率、自主事業の実施率を文化庁として把握していらっしゃいますでしょうか。また、これらの施設が実のある地域文化振興に役立つような後押し、それぞれ地方自治体が行うのですが、後押しになるようなことは、文化庁としてお考えでしょうか。

小野(元)政府委員
 今お話のございました地方におきます文化会館、近年、各地方でかなり整備が進んでおりまして、私どもの調査によりますと、ちょっと古いのでございますけれども、平成五年度で全国で千二百六十一館がございます。
 これらの稼働率でございますが、お話ございましたように、一ホール当たりの平均の稼働率が年間で百七十四日ということでございますから、半分くらいでございます。それから、この稼働日数におきます自主公演、その日数の占める割合は約八・七%という数字になってございます。これは時々指摘をされるわけでございますが、文化会館、いわゆる箱物はつくったけれども、そこで演ずる中身がまだまだ十分ではないということが地方でいろいろ言われておるわけでございます。
 そのようなこともございますので、私ども文化庁といたしましては、全国の公立文化会館で組織いたします、いわゆる公文協と言っておりますが、全国公立文化施設協会と相談をいたしまして、さまざまな形で、地方のこういった公立の文化会館を支援するプログラムをいろいろ行っておるわけでございます。
 一つのものとしては、芸術情報プラザということで、いろいろな芸術家と芸術団体を公立文化会館に結びつける、紹介をする、アドバイスをする、そういった芸術情報プラザというようなものも行っております。それから関係団体と連携をいたしまして、アートフェア、芸術見本市のようなものを開きまして、地方の文化会館の関係者の方々と、例えば劇団の方あるいはオーケストラの方あるいはバレエ、オペラの方々、そういった方々と話し合いをしていただいて、地方におけるそういう芸術文化の公演が行われやすくするシステムを今考えておるところでございます。
 それからもう一つは、地域の文化情報について、ネットワークで結びまして、情報システムの整備を進めておりまして、さまざまな形で、箱物はできたけれども中身がもう少したということに対する支援を行っていきたいと思っております。
 それからもう一つは、地方の公立の文化施設の関係者といいますか、マネジメントがうまくできるような形での研修のようなものも、さまざまな形で実施をしておるところでございます。

丸谷佳織
 今おっしゃいましたように、今日の社会における文化のニーズを把握して、また芸術家と行政とのパイプ役になるような人材が、専門的な知識を持って行政に携わってアートマネジメントをしていかなければいけないという側面もあると思うのです。せっかく建てた建物でも、建物だけが立派で中身がないという、箱物問題なんという言葉も聞かれるのです。
 ことし十月にオープンします新国立劇場の方は決してそうであってほしくないなというふうな強い願いを持っているのですが、心配されます二つの点をお伺いしたいと思います。
 まず最初は、最近郷ひろみさんが舞台で肋骨を折るという事件があったのですけれども、劇場での事故が相次いでいます。そこで、劇場での労災について、どのようにお考えか。
 そして二つ目は、来年度以降のソフト面での運営費、つまり劇場でどのような演目、出し物をして、どのような人材を育てていくかといったことに対する予算は十分なのか、その見通しについて。
 二点、お願いします。

小野(元)政府委員
 新国立劇場は、オペラ、バレエそれから演劇、さまざまな形での舞台芸術の殿堂として、この十月にオープンをする予定でございます。
 その中で、一つの問題としては、そこで実演家の方々がさまざまな舞台で活動されるわけでございますけれども、この新しい国立劇場は四面舞台でございまして、舞台装置等も結構大きなものがございますので、御指摘ございました災害の問題についても、私どもは十分考えていかなければいけないと思っておるわけでございます。
 ただ、新国立劇場は、こういった芸能実演家を直接雇用するということではございませんで、それぞれのプログラムの中で契約を結んでいくという形になっておるわけでございます。私どもとしては、その契約の中で、万一の場合の災害の補償についてもきちんと保険等で手当てができるような形で行っていかなければいけないということで、現在、新国立劇場を運営いたします運営財団を指導しておるところでございます。
 それから第二点目の、演目等の予算の関係でございますが、お話にもございましたように、オペラというのは大変お金がかかるわけでございます。入場料収入も、当然適切な額でいただくということは必要なわけでございますけれども、いずれにしてもお金がかなりかかるということがございまして、本年度予算でも、九年度予算案でございますが、国の予算としては四十二億程度の予算を計上いたしまして管理運営経費は措置をしておるわけでございます。
 ただ、公演の経費等につきましては、さまざまな形で、賛助金をいただく、あるいは会員になっていただいて何らかの形で御支援をいただくという、民間からの御支援をお願いする部分がございます。それから、国の予算で直接支援する部分がございます。もう一つは、入場料収入で、適正な額で、国立劇場でございますからそんなに高いお金はいただけないわけでございますけれども、ある程度の収入を図る。その三面から収入に努力をしていくつもりでございまして、新しい国立劇場が国民の皆様の期待にこたえられるような演目ができるように、これからも引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。

丸谷佳織
 芸術家の団体の皆さんが今危惧されているのは、新国立劇場のソフト面の運営費に芸術文化振興基金が回されないかどうかということを危惧されている方が多いのですね。といいますのは、本来資金援助を受けるべき芸術団体ですとか、あるいはアマチュア、青少年、女性の文化団体という民間への芸術助成が削減されてしまうのではないか、その分、新国立劇場の方に回されるのではないかというふうに危惧をされていますので、ちょっと気の早い話ではあるのですけれども、平成十年四月以降の予算も、ぜひこちらの方に気をつけて組むようにしていただきたい。お願いをしておきます。
 文化は後世に引き継がれる財産であるという話は前段でしておりますけれども、同様に、地域差や年齢差なしに平等に享受する権利を国民は有しているというふうにも思います。その件に関しまして、次にお聞きしたいのは、文化庁は著作物の再販制度原則廃止というこの動きについて、どのように考えているか、お聞かせください。

小野(元)政府委員
 お話のございました再販制度につきましては、行政改革の観点から、それからもう一つは公正取引委員会の観点から、両方の面から、規制緩和等の観点も含めまして  現在こういった再販制度が行われている分野と申しますのは、書籍、CD、新聞等でございます。いずれも文化関係のものであるわけでございます。私どもといたしましては、この再販制度につきましては、新聞等も含めまして、公共性の高いこういった情報については国民のだれでもが全国どこでも同じ価格で容易に入手できるということが、文化の振興という観点からも大切なことであると思っているわけでございます。
 著作物の再販制度につきましては、現在さまざまな形で、行革あるいは公正取引委員会等で御検討がされておるわけでございますけれども、文化庁の立場といたしましては、例えば世界に誇る新聞の宅配率、毎日毎日全国どこでもきちんと新聞が届けられるという制度が、この再販制度で守られている部分もあるわけでございます。全国どこでも同じ価格で容易に入手できる、そのことが、文化政策、文化の振興の観点からも非常に意義が大きいと私どもは思っておりまして、こういった観点から、公正取引委員会あるいは行革の関係者の方々に御理解を求めて、努力をしておるところでございます。

丸谷佳織
 では、著作物の再販制度が今あることによりまして、ある程度文化の促進というのが守られている、あるいは国民が文化を享受する機会が平等になるということが守られているというふうにお考えか、確認をさせてください。

小野(元)政府委員
 先ほど来申し上げておりますように、私どもとしては、文化振興の観点から、現在の再販制度というものの果たしている役割というのは大変大きいというふうに認識をいたしております。

丸谷佳織
 どうもありがとうございました。
 やはり、文化というものは消費するものではなく、行政が守って、育てていかなければいけないという側面もあると思います。
 公正取引委員会は、この再販制度問題を検討するために、政府規制等と競争政策に関する研究会にことしの秋までに報告書の方を依頼しています。メンバーは各界の有識者の方でいらっしゃるのですけれども、座長の方が、その著書の中で再販制度の廃止を表明されています。そういうふうに、自分の意見をあらかじめ著書で発表されている方が座長に座られて、公正な判断をする障害にならないというふうにお考えになっているのでしょうか。公正取引委員会にお聞きします。

和泉澤説明員
 公正取引委員会でございます。
 ただいまお尋ねの点でございますけれども、経緯を省略いたしますけれども、公正取引委員会は、平成四年の四月以降、この問題につきまして総合的な検討に着手するということで、一昨年、平成七年七月に、今お尋ねの規制研の再販問題検討小委員会の中間報告書が公表されたところでございます。その公表後、国民各層から非常に幅の広い多数の意見が寄せられたところでございます。
 今般、先ほどの再販問題に関する規制研、これを去る二月の二十五日に開催をいたしまして、お尋ねのように、この問題についての検討を開始したところでございます。やはりこの小委員会の中間報告というところに大変多数の意見が寄せられましたので、親元でございます規制研というところに戻しまして、そこで幅広い、総合的な、包括的な検討を行うということでございまして、その関連で、例えば新たなメンバーの方、これはもちろん著作権関係とか、あるいは言論、報道、表現の自由という、関連する分野に造詣の深い学識経験者、有識者の方に御参加をいただいたわけでございます。
 お尋ねの点でございますけれども、規制研と申しますのは、これは業界関係者の間で利害調整を図るというものではございませんで、あくまでも行政運営上の会合ということで、学識経験者、有識者の方々に専門的な観点から、客観的かつ公平な、また中立的な立場から御議論をいただくとい
うものでございます。
 また、座長の点についてもお尋ねございましたけれども、現存するいわゆる規制研に戻して、そこでメンバーも拡充した上で幅広い検討を行うということで、この問題についての留意を十分払っているつもりでございます。また、座長さんでございますけれども、座長さんとして公平、適切な運営を図るということは当然であるというふうに考えておるところでございます。

丸谷佳織
 この研究会の中には、座長のほかに、実際に、有識者の方で文芸関係の方ですとか新聞関係の方ですとか映画関係の方がいらっしゃいまして、この再販制度に皆さんそれぞれの分野で関係していらっしゃる方なのですが、音楽関係の方が抜け落ちているように思われるのです。もちろん、公正取引委員会というところですから、公正に議論が行われるというふうに思っております。
 最後に、この研究会の今後の活動の見通しと、その影響力をお願いします。

泉澤説明員
 規制研の検討でございますけれども、お尋ねございましたとおり、著作物で再販適用除外が認められている分野、具体的には、書籍、雑誌、新聞、それから音楽用のCDミュージックテープ、レコード盤。三分野で取引実態あるいは流通形態というものはそれぞれ異なりますので、それぞれのごとにまずいろいろな検討を行って、全体的な取りまとめなどを含めまして、秋の半ばあるいは秋の終わりごろまでに報告書をまとめていただければと思っております。
 それから、その後、公正取引委員会の方の関係でございますが、来年、平成十年三月末までに、公正取引委員会としてこの問題の取り扱いについての結論を得るという予定にいたしてございます。
 ですので、通常の政府の審議会と違いまして、いわゆる行政運営上の会合でございますので、それが何か行政施策そのものを決定づけるというものではございませんで、あくまでも規制研といったところの取りまとめをも参考にしながら、公正取引委員会としての結論を来年三月末までに得る、こういう予定でございます。

丸谷佳織
 実際に関係しています現場の声も十分に聞きながら、正しい結論に導いていただきたいと思います。
 芸術文化振興基金の実態と子どもの権利条約に関することもお伺いしたがったんですが、時間が参りましたので、次回にさせていただきます。
 本日は、ありがとうございました。

石川主査代理
 これにて丸谷佳織君の質疑は終了いたしました。