衆議院・特殊法人等改革に関する特別委員会質疑録
2002年11月13日

保利委員長 
 次に、丸谷佳織君。

丸谷佳織
 石原大臣、細田大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げます。公明党の丸谷でございます。
 まず、けさからもお話、議論になっておりますけれども、今回、特殊法人から独立行政法人に変わっていくに当たって、いかに透明性を確保していくのか。例えば、企業会計原則の導入ですとかあるいは情報の開示により経営内容の透明化を図るというふうにあるわけなんですけれども、まず、この原則企業会計ということがどういうことなのか、御説明願いたいと思います。原則ということで、例外があるのか、例外があるとすればどのようなものなのか、この点についてお伺いします。

石原国務大臣
 ただいまの丸谷委員の御質問は、これからの独法がどうあり、またどう評価され、どう情報を公開するかという上で非常に重要なポイントだと思っております。
 独法の会計、もう既に五十九の法人が独法化されておりますので、この会計というものは、法人にかかわる財務諸表を、ストックとフローの両面から国民にわかりやすく解説するために詳細に提供する目的から、原則として企業会計原則によるものとしたところでございます。
 しかしながら、これも先ほど来御同僚の議員の中で出てきましたように、株式会社ではございませんから、利益を最大化することがその法人の目的ではございません。すなわち、公共的な性格を有する。今、同僚の伊藤議員の議論の中でも大きな哲学論になった、利益の獲得を目的としないなど、やはり企業会計原則が想定する営利企業とは異なった特性を有する。
 例えばでございますけれども、一つの例を出しますと、運営交付金などについては、収益に振りかえるのが普通でございますが、今回の会計では一たん負債として計上する。独法の特性に応じて、必要な、今言ったような修正を加えた独法の法人会計基準、原則的には委員御指摘のように企業会計原則に準ずるものではございますけれども、一部改良が加えられている。
 なお、今言いました一部改良が加えられている企業会計原則というものを、すべての独法がこの基準を採用していると御理解いただきたいと思います。

丸谷佳織
 後ほど北方領土問題対策協会について質問させていただきたいと思うんですけれども、例えば、法人ごとにあるいわゆる不良債権的なもの、これについては、やはりこれから一定の基準を設け、処理の仕方あるいは考え方というものを示していかれることとなると思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

石原国務大臣
 これも先ほどの御同僚の長妻委員との議論の中で出てまいりました。
 現行の公会計を見る限り、不良債権的なるものは存在いたします。ちょっと今手元に数字を持ち合わせておりませんが、数兆円のオーダーで存在し、十二年度ベース、十三年度ベースでもかなりの金額、四兆円程度、たしかふえていたと思います。
 しかし、これはあくまで公会計上の問題でございまして、これからは、独法化されることによりまして、今委員御指摘の企業会計原則で会計がなされていくわけであります。そうしますと、今度は資産というものを時価評価いたします。資産に見合った負債、キャッシュフローに見合った債務、こういうものが明らかになってくると、中にはやはり、委員が御指摘になられましたような、不良債権的なるものと正確なお言葉をお使いいただいているんですけれども、実は民間企業に準拠すると、既に債務超過である、債務超過であるということはすなわち発散状態である、そういうものが出てくる可能性を否定することはできないわけであります。
 そのとき、この超過債務というものを、企業会計原則で処理をしている以上は、処理をしなければならないという問題が発生してくるものだと承知をしております。

丸谷佳織
 今大臣に御説明していただいた部分は、それは法人ごとのルール決めということになるんでしょうか、それとも、一連の、一定の基準を設けてということになりますか。

石原国務大臣
 これは法人ごとに、そういう問題がクリアになり、その問題が出たところで、これは公益法人、一般の株式会社ではございませんので、広くは政府、所管する省庁でこの処理の問題というものが議論され、これは仮定の話ですけれども、その場合は国会の御審議を経るということになるものだと考えております。

丸谷佳織
 再度御質問しますけれども、例えば、各法人ごとで検討されると。それでは、その責任はどこにあって、どのような議論をされるのか、この点についてお伺いします。

石原国務大臣
 これも、実は道路の民営化委員会でも、本四架橋の問題で、債務が確定し、民間企業に準拠するならばもう既に債務超過であり、倒産状態であるということが明らかになりました。
 それでは、この責任はどこにあるのか。計画を立てた人なのか。計画は昭和三十年代の後半に立案され、最初は一本でありましたけれども、これが三本になった。計画を立てた人間が悪いのか、あるいはつくってしまった人間がいけないのか、あるいは誘致した人間がいけないのか、こういうさまざまな責任というものを抱えているんだと思っております。
 新しい独法の設立に当たりましては、特殊法人等の資産、負債を時価評価した上で新法人に、すなわち企業会計原則にのっとった形で承継することになりますけれども、仮に欠損金を承継することになった場合でも、これは安易な国費の投入、すなわち税金の投入というものは行わず、所管する主務大臣並びに新独法が、その業務を確実に実施するために必要な財政基盤の確保を図る観点から、欠損金の処理計画など、具体的な処理政策を策定し、それを着実に実施していくということが、やはり新法人に課せられた、民間法人に準拠しますけれども、しかし市場主義を前提にした営利ではない、公的な性格を有する独法の仕事であると御理解をいただきたいと思います。

丸谷佳織
 ありがとうございました。
 では、続いて細田大臣にお伺いをさせていただきます。
 独立行政法人化されます北方領土問題対策協会なんですけれども、こちらも、融資業務というのは引き続きなされる部分がございます。業務内容の見直しの中で、融資業務に関しては、市町村に対する融資というのはその使命を終えたということで廃止になるわけなんですけれども、まず初めに、この融資事業では、今日的な重点分野というのは、業務発足当時に比べて意義というものが薄れてきていないのかどうか、この点についてお伺いをします。

細田国務大臣
 丸谷議員お尋ねの北方領土問題対策協会の融資業務は、昭和三十六年に制定されました北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律に基づきまして、北方地域旧漁業権者を初めとする元島民等の事業経営と生活の安定を図ることを目的として行われております。
 具体的には、同法に基づきまして、国から交付された十億円の基金の運用益及び市中金融機関からの借入金を原資として、元島民等に対しまして、漁業資金、商工資金等の事業資金や、住宅資金、就学資金等の生活資金の融資を行うものであります。
 融資業務の発足時の昭和三十七年度においては、貸付枠は約八千万円で、その大部分を漁業資金及び住宅資金が占めており、さらに年を経まして平成十四年度においては、この基金の運用益がもうほとんどないという状況もございますので、融資を受けまして、それを原資に貸付枠が十四億円となっておりまして、その対象はやはり漁業資金及び住宅資金が多くの割合を占めているわけでございます。
 このように、融資業務の発足当時から重点分野でありました漁業資金及び住宅資金については、現在もなお需要が高く、その意義は薄れていないと考えております。御指摘のように、そのうち市町村資金については、最近において実績がないということから、今回の法案で廃止の措置をとっているわけでございます。

丸谷佳織
 それでは続きまして、残高は約五十億円ありますよね。この償還について、問題はないのかどうか、お伺いします。

細田国務大臣
 融資の対象は先ほど申しました方々でございますが、ほとんどが北海道在住の方でございます。そして、融資の残高で申しますと、五十億三千二百万円の残高がございますが、非常にまじめに返済をしていただいておりまして、そのうち、どうも貸し倒れ懸念あるいは破綻更生債権等の問題のある債権は一億一千八百万円、二・三%であると承知しております。
 このように、全体におきましては九八%は償還が可能となっておりますが、引き続き、未償還資金の回収に努めてまいりたいと思っております。

丸谷佳織
 比較的健全な経営状態であるという御答弁だったと思うんですけれども、例えば今回、この独法化に当たりまして、この融資事業の内容の見直し、市町村と個人という対象の区別と、また廃止、存続というのが行われております。融資業務の事業に必要な資金と生活に必要な資金等々、今細かく大臣からも御説明をしていただいたとおり、ございますけれども、例えば融資の枠として十分な整理がなされたのかどうか、この点についてどういった議論があったのか、お伺いします。

坂巻政府参考人
 お答えいたします。
 今回の整理合理化計画それから独法化法案の立案に当たりましては、内閣官房の方からもいろいろな御指摘をいただきまして、融資対象そのほか全般の見直しを行いまして、先ほど先生から、また大臣からお話がありましたように、典型的なものとしては市町村資金を整理合理化するということでございますが、ほかの関係も見直しをした上、現時点においては、やはり今の融資の大宗といいますか、基本的な枠組みは維持してまいりたいということで、検討の過程についてはいろいろな議論をしてまいりました。
 以上でございます。

丸谷佳織
 と申しますのは、健全といっても、約一億三千万が延滞債権額としてございます。非常にあそこの北方地域というのは、私も北海道ですから、よくその特殊事情、四島返還がまだなされていないという状況のもとでの漁業の困難さですとか、あるいは地域振興の困難さというのはもちろん十分承知しておりまして、融資というもの自体は、もちろんこれは返さなければいけないものですから、本当に、その融資枠というものと、また、それ以外の道というものを考えていくことも必要なのではないかというふうに思いまして、この質問をさせていただいたわけです。
 今回、この北方領土問題対策協会についていろいろな議論がなされていく中で、特殊法人改革推進本部参与会議のホームページを拝見しました。その中で出てきていた議論というのが、啓蒙宣伝活動等、既に十分に役割を果たしたのではないかとか、活動費を大幅に圧縮すべき、あるいは、インターネット等を活用し、経費を圧縮する全体的な見直しが必要といった、非常に厳しい意見が出されたというふうに承知をしております。
 こういった厳しい意見が出されたことを踏まえまして、今回、この北方領土問題というのを、決して北海道だけの問題ではなく、日本全体の問題として国民の皆さんにとらえていただけるような意識啓蒙活動をどのように展開していこうとされるのか、この点についてお伺いします。

細田国務大臣
 丸谷議員は、従来、大変この問題にお詳しく、また積極的に取り組んでいただいておりますので、大変感謝しております。
 一部には、これに対して、先ほど御指摘のように、もう要らないのではないかというような批判もあったりするわけでございますが、やはり一日も早い北方領土問題の解決に向けまして取り組むことは大変重要でございまして、まず啓蒙宣伝活動につきましても、より幅広い研修、交流会、ゼミナール等を行って、次世代の人の認識を深めていくことは非常に大事なことでございます。そうは申しましても、貴重なお金を使うわけでございますから、効率のあると申しますか、効果の高い事業にできるだけ活用してまいりたいと思っております。
 また、民間団体に対する助成事業につきましても同様でございまして、外部評価の活用等によりまして、適時適切に見直すような仕組みを考えてまいりたいと思っております。

丸谷佳織
 では、大臣のお考えとしてお伺いをさせていただきたいんですけれども、この北方領土問題、現在も引き続き、領土問題は日ロ間に横たわる非常に大きな問題として位置づけられているわけなんですけれども、この北方領土に対する問題意識の啓蒙というのは日本国民全体に対して浸透していると思われるのかどうか、まだ足りない部分があるというふうに思われるのかどうか、この点はいかがでしょうか。

細田国務大臣
 歴史的に見ますと、当然、波があるかと思います。
 二月七日を北方領土の日にして、官民共催による北方領土返還要求全国大会を初めとしてさまざまな運動を繰り返してまいりましたし、ある意味で国民の皆様方に御理解を深めていただいたと思っておりますけれども、やはりこういうものは継続が力でございまして、きちっと続けていって、さらに深い御理解をいただきまして、また、来年も総理が早々訪ロされるわけでございますし、粘り強く交渉いたしまして、北方四島の帰属の問題を解決し日ロ平和条約を締結し、両国間に真の相互理解に基づく安定した関係を確立するということが一貫した基本方針でございますので、私もその担当でございますので、一生懸命職務に全力を尽くしてまいりたいと思いますし、一般国民の方にも御理解を深めていただきたいと思います。

丸谷佳織
 識者の方から、ぜひ、まだまだこれでも北方領土問題に関する意識啓蒙は少ない、もっと積極的にやるべきだといったような前向きな意見が出されるぐらい活動をやはりやっていかなければいけないだろうというふうに思います。旧島民の方も高齢になられまして、今二世、三世というふうに世代交代もされています。その意味において、領土問題がずっとある以上、ここは一生懸命やっていただかなければいけない事業であります。ただ、厳しい声もあるということを踏まえて、従来型の啓蒙宣伝活動に決して甘んじることなく、その効果を思う存分発揮していただきたいというふうにもお願いをしておきます。
 では、最後の質問になりますけれども、極めてこの領土問題は外交政策と合致していることから、この領土対策協会の独自性というものをどのようにとられていかれるのか、また評価の基軸というのをどこに置いていかれるのかという点について、最後にお伺いします。

坂巻政府参考人
 お答えいたします。
 独立行政法人化することによりまして、自律性、効率性、公開性というのが大きな課題になるわけでございます。特殊法人のときとは違いまして、中期目標に基づく中期計画、年度計画、それぞれについて厳しい評価委員会の評価というようなものを踏まえまして、国民に透明性をはっきりさせていただく。それから、従来以上に独法化の後には民間の知恵も活用をいたしまして、自律性を強めた形にしてまいりたいというふうに考えております。

丸谷佳織
 以上で終わります。ありがとうございました。