衆議院・石炭対策特別委員会質疑録
1999年3月11日

丸谷佳織
 公明党・改革クラブを代表して質問させていただきます。北海道選出の丸谷佳織と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、四名の参考人の方々、大変示唆に富んだお話をしてくださいまして大変勉強になったわけなんですけれども、昨年六月の石鉱審の答申を受け、また、本日の参考人の方々のお話をそれぞれお伺いしまして、現在、国内にたった二鉱残されています太平洋炭鉱そして池島炭鉱を考えるときに、ポイントは三つに絞られてくるのかなという理解をさせていただいております。
 まず一つに、海外炭との価格差をどのように対処していくのか、また、経営の徹底的な合理化をどう図っていくのかが二点目、三点目としまして、石炭以外の事業を今後どのように展開をしていくことができるのか、これはどのように英知を絞っていくのかということにもつながってくると思うのですけれども、これにのっとってきょうはちょっとお伺いをさせていただきたいのですが、まず、外門副会長にお話をお伺いさせていただきます。
 きょう、副会長のお話の中で、エネルギーの安定供給とそして経営バランスということが柱のお話だったと思うのですけれども、きょう出していただきました資料二にも、電力構成比の推移というものがございますけれども、副会長がおっしゃいました供給のベストミックスというのは、今後どのような形を展望されておっしゃっているのか。
 資料二を見ますと、一九七五年から九七年にかけまして、石油は六二・一%から一二・六に減少しております。逆に、石炭は、三・九から一五・〇と上昇傾向にあるわけなんですけれども、今後、これは、石炭に関してふえていくのが予想されるのか、また、そういった石炭の比がふえていくことをベストミックスという形でとらえていいのかどうか、お伺いします。

外門参考人
 お答え申し上げます。
 実は、大変難しい御質問でございまして、ぴしゃっと定量的にお答えするのは難しいのでございますが、考え方といたしまして、まず、御案内のとおり、電力というのは、これは大変、貯蔵のできない変わった商品でございます。お客様がお使いになるときに発電していく、同時に、瞬時に発電していくという商品でございまして、それを安定的に品質のいいものをお送りしていく、私ども、そういうふうに努めているわけでございます。
 今御質問のベストミックスと申しますのは、簡単に申しますと、一つは、これは瞬時に供給してまいりますので、運転特性というのがございます。お客様がふえたときに、それに瞬時に対応できるかどうかという問題、運転特性がございます。それからもう一つは、きょうの一つ問題でございます経済特性というのがございます。
 電源をつくってまいりますには、確かに、地域の皆様方の御理解を賜ってどういうふうに持っていくかということでございますが、コスト特性あるいは運転特性から申しまして、ベースには自流式の水力、これは昔からある電源でございます。自流式の水力を入れてまいります。
 その上に、原子力というのは、設備の建設費は高うございますが、ランニングコストが非常に安うございます。自流式の水力にはかないませんけれども、化石燃料と比べますと大変ランニングコストが安うございますので、これは一番稼働時間の長い、二十四時間といいましょうか、八千七百六十時間といいましょうか、ベースに原子力を入れてまいります。
 その上に、LNGあるいは石油それから石炭。石炭は非常に埋蔵量が豊富でございますから、これもベースに近いミドル、中間の構成に持っていくというふうなこと。
 その上に、実は水力の揚水式というのを持ってまいります。揚水式というのは、これは電気を起こすのではなくて、夜間の設備の、余剰という言い方はなんですが、需要とのギャップを夜間に水の位置のエネルギーとして蓄えまして、ピークのときにそれを落としていく、こういうような組み合わせで、総合的に、最も経済的な電力をつくってお送りする。
 実は、具体的な数字、なかなかぴしゃっとこれが理想ですとは申し上げられませんが、今計画で、先生御指摘の九七年までの構成がここにございます。これはキロワットではなくてキロワットアワーの構成でございます。大体こんな構成で、その後もそう大きくは構成は変わりませんが、原子力と、その後やはり石炭が若干ウエートがふえてまいるか。原子力はベースに入ります。それから、石炭はまたその上に、ミドルと申しましょうか、ミドルとベースの間に入っていく。
 そんなふうな形で、とにかく目的は、安定して質のよい電気を最も経済的にお送りする電源構成をどうやってつくっていくか、それを私のベストミックスというふうに考えております。
 ロードカーブによってもそれは変わってまいります。専門用語を使って申しわけございません。要するにお客様の電気の使い方、この形をロードカーブと申しております。それによっても変わってくるわけでございます。
 以上でございます。

丸谷佳織
 きょうの本委員会の中でも先ほど来お話がありますように、国策で始めた石炭である。国策といいますと国全体のことなんですけれども、現在、北海道そして九州、二鉱しか残っていない炭鉱を考えるときに、どうしても地域の問題ではないかというふうに受け取られてしまう傾向が若干あるのではないかと非常に懸念をするわけなんです。しかし、炭鉱存続、あるいは国の負担で賄っていくということは、つまり国民負担にもつながっていくわけですから、これを考えるときに、やはり国が負担をする説得力がなければもちろんいけないものだというふうに思います。
 そのために、炭鉱がどのぐらい貢献度が高いのかというところを訴えていかなければいけないのですけれども、内野先生にお伺いしたいのですが、きょうの先生のお話の中で炭鉱の貢献度についてお話をされたのですけれども、海外からはどのような評価を受けているのか、まず一点お伺いしたいと思います。
 また、今後知恵を絞って新規事業も考えていかなければいけない時期にあると思うのですけれども、現在しています海外への技術移転ですとか研修生の受け入れのほかに、新エネルギー研究所的な位置づけをして、例えば科学技術予算をそこに投入するような方向性は検討に値するかどうか。
 また、ODAの一環としまして、アジア・太平洋地域、非常に石炭の使用量がふえているということを考えて、石炭開発センターの設置を新たにするのではなくて、現在ある北海道、九州でそういった研修事業を展開していくということについていかがお考えになるか、お伺いします。

内野参考人
 お答えいたします。
 第一点は、海外からの評価はどうかということでございます。
 その点についてでございますが、先ほども少し触れましたけれども、私が直接聞き、経験したことのみを申し上げますと、私も国際会議で何度か我が国の生産及び保安の技術についての発表をしたことがございます。
 例えば、プラハで五、六年前、国連のシンポジウムがございました。そのときに、日本のそういう安全の統計データ、事故の統計データ、その変遷を話しましたところ、この講演の後に、ベルギー人でございましたが、その筋の専門家が私のところにすぐさまやってまいりまして、生産は上がるのに事故率がそれだけ急速に下がる、それは信じられないけれども、それはどうして実現したのかという、非常に直接的な質問をしに来た者がございます。
 そのほかにも、例えば三池の技術あるいは池島の技術等を発表したことがございますが、これにつきましても、一般質問ではなくて、その後におきましても、直接もっと詳しい話が聞きたいといって私のところに来た者がおります。
 昨年も、池島の水の処理の問題の発表があるところでございました。ワークショップ、東京で行いましたけれども、アメリカのプロフェッサーが即座に飛んでまいりまして、もっと詳しいデータが欲しいというようなことでございまして、私個人の体験のみを報告しましても、このように非常に関心を持ち、評価が高いということでございます。
 私の狭い意味での専門のことも申し上げたいところでございますが、時間がございませんので省略いたします。
 それから、新規事業に関連をして、また国際的な関係での御質問で、そういうふうに展開すべきではないかとの先生の御意見、大変ありがたい御指摘だと思います。
 ちょっと順序が逆かもしれませんが、私常々考えておりますのに、韓国も含めてでございますが、途上国を歩きまして感じますことは、大学、研究所を通じまして、基本的な装置、実験装置ですね、安全あるいは生産の基盤をなします、教育あるいは研究に必要な基盤となる装置、基本的な装置が欠如しているというのが一番私不安に感じる点でございます。
 さらに具体的に申し上げますと、炭鉱におきましては、新鮮な地上の空気がどれだけの量、必要な量流れてきているかどうかということを調べるのが非常に大事なことでございますが、それをはかります測風器の検定をする、そういう基本になる風洞と申しますが、そういうものがない国がありまして、びっくりいたしました。
 そういうところに着目いたしますと、その基本的な技術研究を支援する必要があるのではないか。でき得れば、日本が指導いたしまして、アジアの途上国のために、国際的なそういう炭鉱関連の技術の、共通して使える研究機構と申しますか、そういうものをつくってもよろしいのではないかというのが私の以前からの一つの考え方でございます。
 それは、すぐに我が国の安定供給ですとかということには直接的には結びつきませんけれども、間接的には、もちろんそれぞれの国の安全、そして人命尊重に対しては直接的に貢献するわけですが、私どもの国に対する安定供給ということにも間接的な意味で貢献をするのではないかというふうに思います。
 先生の御指摘のように、我が国が貢献できるというのは、そういう国際的な、アジアに限ってでも結構だと思いますが、そういう国での中心的な核として連携を深めて、国際的な、共通して臨んでおるいろいろな問題の解決に寄与するというのは非常に大事なことではないか。それは、今の二山、二つの会社の将来の発展の形態の一つというふうにも位置づけられるのではないかと思いまして、先生のお考えに全く賛成するものでございます。

丸谷佳織
 では、安藤理事長にお伺いしたいと思います。
 今、内野先生からお話がありましたけれども、ちょっと参考にさせていただいています資料が、昨年六月の本委員会での内野先生の御発言なんですけれども、今後、開発途上国のエネルギー需要は急発展をしていく、二〇二〇年には世界の全エネルギーの需要の約六〇%を途上国が占める、特に中国を初めとする東アジアの石炭の需要も急増し、石炭大国の中国でさえ、二〇〇〇年には年間四千から五千万トンの石炭を輸入するというふうに予測をされているわけなんですね。
 そこで、一つどうしても気になってくるのが、やはり環境問題であると思います。私も、ことしの一月にペルーの方に行きまして、アジア・太平洋会議というのに出席をしました。その中で一番の議論となりましたのが、地球環境をどういう枠組みで守っていくかということなんですね。
 非常にマスコミ等、あるいは一般市民にも環境問題は物すごく今注目をされておりまして、CO2削減をどのようにしていくかというのが大切になってくるわけなんですけれども、私も何冊か環境問題の本を読んでいまして、石炭とエネルギーという項目を読んでみますと、非常に単純に、結局はCO2を排出削減するためには石油と石炭の使用を削減するしかないんだというような結論づけになっております。しかし、現実はアジア・太平洋あるいは世界はどういった傾向にあるのかという背景が若干抜けているのではないかというふうにも認識しているのです。
 今までの話を受けまして、二十一世紀の遠くない将来に石炭の需要がふえる、しかし環境問題も一生懸命取り組まなければいけない。そのときに、日本ができる環境面での国際貢献というのは非常に大きな力を持つと思うのですが、現在それができる状況なのか、あるいは今後の展望をお聞かせください。

安藤参考人
 お答えいたします。
 この環境問題でございますが、特に石炭は、何かにつけ排出が多いとかという見方がされるわけでございますが、CO2に関して見れば、フルサイクル、要するに採掘から利用まで考えますと、天然ガスも採掘現場では相当メタンガスを出しますので、今評価は少し変わってきております。
 まあ、それは言っても仕方ない話でございまして、化石燃料というのは今後とも一次エネルギーの主力であることは間違いない。先ほど申しましたように、今、世界で約九割、むしろこれはふえるんじゃないか、九四%ぐらいになるんじゃないか。そうしますと、CO2問題あるいはメタンガスの問題なんというのは、これはもう化石燃料共通の宿命と言って過言じゃない、こう思うのです。
 それで、化石燃料で考えますと、石炭について見ましても、ガス化も液化もできる技術がほぼでき上がっているという意味では、化石燃料同士の補完ができるような時代にもう来ているわけです。したがって、トータルでこのエネルギー問題、化石燃の中でのエネルギー問題を考えなくちゃいかぬ時期に来ておると思うのです。一説によると、二〇一〇年あるいは二〇年には化石燃料もいよいよピークが来るんじゃないかと。そうしますと、がらっと供給構造も変わってくるだろうし、見方も変わると思うのです。それまでにこの環境問題はぜひ克服すべきだと思いますし、まずはやはり省資源、節約するということが大事だと思うのです。
 それで、これはある意味では使い過ぎじゃないかと。中国の例をとってみますと、中国はエネルギー効率は日本の半分ぐらいですから、むだに使っているということなんですね。したがって、これは、いかに効率よく使うかということになると思うのです。
 そのためには、やはり石炭それ自体をまずクリーンにしなくちゃいかぬと思うんですね。原炭をほとんど使っておるわけですが、インドも全く同じ、灰分が五〇%もあるのですが、どんなにいいボイラーを持っていても、これはたまったものじゃないですよ。したがって、石炭それ自体をまずクリーンにして、そして、効率よく使うということだと思うのです。そうしますと、石炭の使用量も減りますが、トータルの排出量も減ると思います。これは、石炭に限らず化石燃料最大の問題だと思います。
 それで、日本はその技術はどうなのかというと、これはもう断トツに進んでおる。副会長がおられますので、石炭火力が特によく進んでいると思います。もう日本は石炭は見えないと。発電所へ行ったって、水蒸気だって出ていませんからね。それほどきれいに使っています。
 それで、日本の技術をもって今協力を盛んにしておるわけでございますが、これは、脱硫、脱硝に限らず、先ほど申しました、石炭それ自体をクリーンにする選炭技術、燃焼前、燃焼中、燃焼後、すべての技術を今、日本はグリーンエードプランを中心に提供しております。これだけじゃなくて、やはり円借等も使って、もっと石炭コンビナートみたいなところをきちんと効率よく使えるように、まさしく、ゼロエミッションという言葉がございますが、そういう点で使えるようにすべきじゃないかということで、広く技術協力を展開しよう、こういうことで盛んにやっておるところでございまして、まず、そういった面で大いに貢献すべきことが大事じゃないか、こう思います。

丸谷佳織
 もう時間がございませんので、高村先生にお話をお伺いできなくて申しわけなかったのですけれども、今参考人のお話がありましたように、今後、二十一世紀、地球温暖化にどう取り組んでいくかという非常に地球規模的な環境問題を考えるに当たりまして、このクリーンコールテクノロジーの研究は非常に大きな国際貢献をしていくであろう。また、そのことを考えましたときに、現在残っています太平洋炭鉱そして池島炭鉱の使命は、二十一世紀ますます大きくなると主張させていただいて、きょうの質問を終わらせていただきます。
 本当にどうもありがとうございました。