衆議院・沖縄及び北方問題に関する特別委員会質疑録
2002年11月28日

仲村委員長
 次に、丸谷佳織君。

丸谷佳織
 公明党の丸谷佳織でございます。
 本日は、北方四島周辺十二海里水域における日ロ間の操業枠組み協定を今後も維持すべきという観点から、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、十一月十五日に結論を見ました、今回の北方四島周辺水域における日本漁船の操業枠組み協定に関する協議でございますけれども、結果的には、二〇〇三年の漁獲割り当てを、スケソウダラあるいはホッケなど、ことし並みの計二千百八十トンとすることで合意をされました。また、これに伴いまして、北海道水産会の方からは、協力金二千百三十万、漁具など二千百十万円相当がロシア側に供与されるほか、支援委員会が来年度廃止されることを踏まえまして、同委員会を通じましたサハリン州への支援を、ことしじゅうに約三億六千八百万円相当行うことを通知したというふうになっております。
 こういった交渉の中でこの結果を得たということは、現場であります北海道の漁民の皆さんの苦悩を十分配慮された上で交渉し、また結果を出していただいたものというふうに私は思いますけれども、政府の今回の措置に関する基本的な考え方はどのようなものだったのか、そしてまた今回の交渉の評価をいかがされているか、水産庁の方からお伺いしたいと思います。

熊谷大臣政務官
 丸谷先生は北海道の御出身でございますから、この問題に特に御関心をお持ちでお尋ねのことであろうというふうに思います。
 今先生おっしゃったように、十一月十五日、今までの漁獲量を決める協定というものの見直しをやったわけであります。今度は、一年間、来年のものはことし決めるという形で毎年その協定の見直しをやっていくというルールになっているわけでありますが、基本的には、全体の漁獲量二千百八十トン、この総量というものは確保できたという形になっております。
 ただ、先生も今お触れになったように、スケソウダラというのは資源が悪化をしているということで、この面については三十トンだけ減らして、そのかわりホッケの方で三十トンふやす、トータルとしては総量の二千百八十トンというのは確保できているということ。それから、漁獲の時期、これも前の時期と大体同じだというふうになるわけです。特に、周辺の漁民が非常に待望しておりましたタコの空釣りも一月から実施できる、そういう形になっておりますので、漁業者の方でも非常に満足をしているということでございます。基本的には、全体の形で今までの内容が確保できたということでありますので、それなりの評価をしているわけであります。
 ただ、おっしゃるように、これは特殊な海域でございますから、まだ問題が幾つか残っているので、やはり安全な操業ということには特に意を用いていく必要があるな、こんなふうに考えております。

丸谷佳織
 ありがとうございます。
 特に、今熊谷政務官からおっしゃっていただきました、本当に特殊な海域でありますけれども、そこで実際に漁業をされている皆さんの利益というものを考えて交渉に当たっていただいて、そしてこういった結果を出すことができたということに対する評価、私たちも同じでございまして、またそこに向かって来年度の交渉が、また次の年も維持されていくことを望むわけなんです。
 さきの外務委員会でも外務大臣に質問させていただきましたが、実際に、枠組み協定維持に向けて、今後どうしても新たな対策というものが求められてきております。さきに質問をした際には、もう大臣いらっしゃらなかったので、齋藤局長の方から答弁をいただいたと思うんですけれども、もう一度明確な御答弁をいただきたいと思います。
 支援委員会の廃止に伴いまして、これまでのサハリン支援の金額ですとかあるいは形態といったものは当然維持できなくなるわけですから、政府は、これによって枠組み協定の存続ですとかあるいは具体的な影響をどのように考えているのか、まずこの点から論じていかなければ対策というのは練りようがないと思うんですけれども、この点、論点があれば、局長の方からお答え願います。

齋藤政府参考人
 お答えいたします。
 サハリン支援は、四島周辺枠組み操業と直接の関係はないという建前でございますけれども、そうはいいながらも、四島周辺を実際に管轄しているのがサハリン州政府ということで、この水域での安全操業を確保する上で、サハリンに対する支援がサハリン州政府の理解を得るということで寄与している面も否定できないわけでございます。また、この枠組み協定が、漁業の安全操業のみならず、日本とロシアの友好な関係を維持、さらに発展させる上で非常に重要な枠組みであるということについて、我々、またロシア側も認識しているところでございまして、支援委員会が廃止になりました後に、この枠組み協定をぜひとも維持していきたいというふうに思っております。
 そういった観点から、サハリン州とのどのような協力関係があり得るのかという、新しい協力のあり方といいますか、どのような形のものができるかということについては、鋭意検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

丸谷佳織
 ということは、具体的にどのような悪影響が出てくるかということの論点というよりも、具体的にその議論あるいは枠組み協定の議論自体がなかなか難しい局面も迎えてくるという趣旨の御答弁だというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

齋藤政府参考人
 私が申し上げましたのは、枠組み協定の維持とサハリン支援は、直接の関係はございませんけれども、サハリン州政府の理解を得る上で、サハリンに対する支援というのはそれなりの意義を有しているということでございまして、そういう観点から、支援委員会廃止後の新しいサハリン州に対する協力のあり方について検討を進めていかなきゃならないんじゃなかろうかということを申し上げたわけでございまして、また、そういった観点からも先生方の御指導を仰ぎたいと思っているところでございます。

丸谷佳織
 わかりました。
 私の質問が、恐らく伝わりにくいような形の質問の仕方をしてしまったのかと思うんですけれども、私の質問は、サハリン支援の金額や体系はこのまま維持できなくなりますよね、それによって、確かに、サハリン支援と枠組み協定というものは、表向きは別物というか影響し合うものではないであろうにしろ、実際には影響し合っているという効果も否めない、その中で、サハリン支援が今までと同じようにできなくなることによって、枠組み協定の存続に具体的にどのような影響が出てくるだろうと思われるのか、この点をお伺いしたいと申し上げました。もう一度、よろしくお願いします。

齋藤政府参考人
 サハリン支援といいますのは、これまでやってきているサハリン支援は二通りございまして、一つは、ユジノサハリンスクにございます日本センターを通じます技術支援でございまして、それからもう一つは、支援委員会を通ずる機材供与でございます。
 それで、より具体的に申し上げますと、支援委員会廃止後にできなくなるのは、後者の方は現行法制下ではできないわけでございます。国際機関であったがゆえに、支援委員会を通じて機材供与というのを行うことができたわけでございますけれども、国際機関である支援委員会を廃止いたしますとその機材供与ができなくなるということで、我々としては、前者の方の日本センターを通ずる技術支援を拡充していくということも考えてまいりたいと思いますけれども、あわせて、ほかにどういうことをすることが必要となってくるのか、なってこないのか。
 いずれにしましても、安全操業の枠組み協定は維持していくことが必要であるというふうに我々は考えておりますし、ロシア側もそこのところは評価しているわけでございますので、そういった観点から、新しいサハリン州との協力関係のあり方について検討を進めていかなきゃならないという趣旨のことを申し上げたわけでございます。

丸谷佳織
 では、その枠組み協定維持のために、今後、新たな支援策というのを講じていかれる上で、今外務省の方からもお答えがございましたけれども、現在行っている、ユジノサハリンスクにあります日本センターについては、非常にロシア側にも感謝されている、これは、外務大臣がこの間ロシアを訪れたときにも、そのようなことをあちらのイワノフ外務大臣から言われたという報道がございましたけれども、これをぜひ拡充するような形での支援というのを実現していただきたいという点が一点と、それだけでは次の新しい対策というのは十分ではないでしょうから、例えば、現在、海洋生物資源の再生産に関する分野の協力を実現することを目的としまして、操業枠組み協定に基づいて、日ロ間の共同経済活動として、ウニ及び貝類の栽培漁業が北方四島周辺水域で行われております。
 日本側は、共同経済活動には、財産権ですとかあるいは所有権、それから事件、事故が起きた際の警察権の行使などの問題点が数多くありますことから、領土問題をまず解決して、それから共同経済活動に対する方向に向かっていこうというふうに今活動していると思うんですけれども、私が従来主張しております積極的な相互依存関係を二カ国間で築いていくということ、これは多面的に考えていかなければいけないと思うんですが、この共同経済活動に対する今までの政府の方針というのをひとつ見直すことも有益なのではないかと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

土屋大臣政務官
 丸谷委員は私以上に北海道のこの地域のことは御存じだと思いますので、私の答えが丸谷委員にとって納得いくかどうかわかりませんが、一言。
 今のことについてですけれども、二点あったのではないかと思います。
 一つは、日本センターのことでございますけれども、これはむしろ外務大臣であったかもしれませんけれども、私からお答えさせていただきたいと思います。
 日本センター事業については、ロシアとの間で七カ所のセンターをつくったわけですけれども、その一つがユジノサハリンスクにあって、大変いい活動をしているということでありまして、これは、本年四月の専門家会議でもこれを継続すべき旨が提言されていることから、来年度以降も継続、発展させていく考えでおります。
 いずれにしましても、支援委員会の廃止が操業枠組み協定に基づく日本漁船の操業に悪影響を及ぼさないように、支援委員会廃止後のサハリン州との協力関係のあり方については、引き続き、この日本センターの運営と同様に検討していく考えでございます。
 それからもう一点は、共同経済活動の点だと思いますけれども、この地域における日ロ間の相互理解及び信頼の強化、平和条約に関する二国間交渉の進展のための望ましい環境の整備に資するものとしては、丸谷委員がおっしゃったように、例えば北方四島における共同経済活動というのは非常に大きなものだと考えます。
 他方、今おっしゃったように、法的立場ということで考えますと、両方、日本側の方の立場、ロシア側の方の立場ということで、島の帰属の問題等考えると非常に難しい問題であることも事実でございます。ですけれども、引き続き、共同経済活動委員会において、双方の法的立場を害することのない共同経済活動の可能性につき検討を進めていきたいと考えております。

丸谷佳織
 時間が参りましたので最後にしますけれども、今まで、一九九八年十一月から次官級でこの交渉というか協議はされていると思うんですね。共同経済活動委員会というのが設置されて、そこで協議をされているわけなんですけれども、今後、こういったところを本当に十分に生かして、今政務官から御答弁がありましたけれども、可能なところから共同経済活動ができるような形で、この委員会の充実というのも非常に重要なことだと考えておりますので、この点について外務省の立場をお伺いして、終わります。

齋藤政府参考人
 共同経済活動につきましては、ロシア側と具体的に一、二話しているプロジェクトはあるわけでございますけれども、なかなか、先ほど土屋外務大臣政務官の方からお話がございましたように、法的立場を害さない形でどういうふうに実施に移せるかという観点から、いろいろな問題を検討しなきゃいけないという局面に今来ておりまして、まだ実現を見るに至っておりませんけれども、引き続き検討してまいりたい、また、ロシア側とも交渉してまいりたいというふうに考えております。

丸谷佳織
ありがとうございました。