衆議院・農林水産委員会質疑録
2000年7月19日

丸谷佳織 
 公明党の丸谷佳織でございます。よろしくお願いいたします。
 私の地元の北海道、もう御存じのように酪農の占める割合が非常に大きくございまして、もちろんその役割も非常に重要です。北海道は、ことしの五月に口蹄疫の問題が十勝の方で起こりまして、それがようやく落ちついたころに雪印のこの問題が上がってきた。どちらも酪農家の方の責任ではないものを受けて、非常に北海道の酪農家、今回の雪印は北海道だけではございませんけれども、酪農家の方への悪影響が非常に大きく出ているという点に関しまして、酪農家の皆さん、本当に一生懸命搾乳をしていらっしゃった皆さん、まじめに働いてきた分だけ非常に怒り心頭であります。しかしながら、雪印というところは札幌を発祥の地としておりますから、当然このスノーブランドは私たち北海道民の一種の誇りでもございましたし、怒りと同時にまた今回の事件に対するやるせなさ、むなしさという感情もあるというのが現実でございます。
 今回は、なぜこのような雪印の問題が起こるに至ったのか、その原因と、また現在起きています諸問題に対する対応、また今後予想される対策、課題等、この三本に絞ってお話をお伺いしたいというふうに思います。
 まず、なぜこのような事件が起こったのか。これは今回の委員会の中でも審議をされてきたわけなんですけれども、私個人の意見では、根本的なところには、雪印の企業の体質としまして、国民に視点を向けていたというところから利益第一主義に走っていた企業の傲慢さが若干あったのではないかというふうに思うわけなんです。この際、汚染源の特定、事故原因の究明、また責任の明確化というのを迅速に行い、またもちろん情報に透明性を持たせることも非常に重要であるという認識に立ちまして、今回の事故原因というのがどこにあるのか、そして牛乳・乳製品の品質管理、衛生管理の現状はどうなっているのか、あわせて今までの体質に不備な点がなかったのかどうか、もし不備な点があったのであれば、今後改善していくという旨の決意も含めて、厚生省にお伺いしたいと思います。

西本政府参考人 
 お答えいたします。
 今回のような事故を通じまして痛切に感じておりますのは、やはり各企業内における危機管理体制のあり方、特に食品を扱っていただきます企業につきましては、衛生面での危機管理体制というものを整備していくことが非常に重要な課題であるというふうに考えております。
 私どもも、今回の事故を踏まえまして、もちろん乳業関係者を対象にいたしました研修会等、さまざまな職種に対しましても、食品関係業者に対しましては危機管理体制、特に衛生管理の危機管理体制の整備を十分に行っていただくよう強く指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、雪印乳業株式会社の食中毒の原因でございますけれども、現在、まだ警察の方にかなりの物件が押収されておりまして、まだはっきりした最終的な原因というものは大阪市を通じて出されていないというのが実情でございます。
 ただいままでわかっておりますのは、一つは、従来から言われておりました、手洗浄で逆流防止弁のバルブを洗浄していた、しかもその頻度が非常に少なかった、これが一点でございます。それから、通常使わない仮設ホースというものを実はかなり多用して、それもしかも洗浄不足であった。第三点は、脱脂粉乳溶解機を屋外で使用して調合作業を行っておった。第四点は、品質保持期限切れのおそれがある製品の再利用、これはまだはっきりと断定はされておりませんが、その可能性もあるということ、このあたりがどうも原因になったのではないか。そのことによって一時的に黄色ブドウ球菌が大量に繁殖をいたしまして、その産生する毒素エンテロトキシンAによってこのような被害がもたらされたものというふうに理解をいたしております。

丸谷佳織 
 今の御答弁を聞いていますと、非常に雪印のずさんな製造過程が明らかになってくるわけなんですけれども、例えば検査体制というところに触れさせていただきたいんですが、七月の十一日に、札幌工場を含めまして全国の工場で第三者機関による工程の点検を行うことを決定しました。
 札幌工場では、十二日に牛乳と乳飲料の生産を停止しまして、予定では翌日、十三日より第三者機関による安全確認の検査を予定していたんですが、検査機関がなかなか見つけられないという事態が発生しました。札幌市の保健所の方にも要請をしたんですが、既に一度工場に立入検査をして安全を確認したということを理由に断られてしまった。結果的には、十四日に北海道の薬剤師会公衆衛生検査センター職員が立ち会ったわけなんですけれども、一刻も早い検査が必要だというこの時期に、時間のロスというのは問題になってくるのではないだろうかというふうに指摘できると思います。
 今回のような事件の再発防止におきまして、農水省、厚生省、そして自治体等関係各位の連携を密にしまして、乳業工場における厳格な衛生管理の徹底、そして情報公開を含めた危機管理体制の強化というのは必要だというふうに思うんですけれども、さきに挙げました指摘も含めて、この点に関して、検査体制の監督、指導強化も含めて、厚生省の見解をお伺いします。

西本政府参考人 
 現在、雪印関係は、札幌工場も含めまして、自主点検を実施されているところでございます。これの終了次第、私どもが直接現地に入りまして、各工場ごとにその安全体制が十分であるかどうかということを確認させていただくということで、八月の前半をめどに安全宣言を出していきたいというふうに考えております。
 しかし、これですべて終わったというふうに私どもは考えておりません。その他の八百六十ございます全国の乳処理工場につきましても、せんだってその結果を発表したところでございますが、ここから浮かび上がってまいりましたいろいろな危機管理の問題点につきましては、私どもの重要な課題としてこれから継続的に検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

丸谷佳織 
 今回の事件を受けまして、自治体も非常に大きな努力をされています。
 例えば北海道の宗谷支庁なんですけれども、宗谷酪農HACCP計画というのを独自に策定しようという決定をしました。この内容を若干説明しますと、宗谷管内の農協ごとに乳質などの目標値を設定しまして、そして消費者に衛生管理の進捗状況をホームページなどで公表していくことで管内産生乳のイメージアップを図っていくというような、これもまた慎重に進めなければいけない計画ではございますけれども、こういった努力をして、今、牛乳そして乳製品の信頼回復に一生懸命努めているところでありますので、本当に、衛生管理そして危機管理体制というのは、今回のこの事件を機に、しっかりとまた見詰め直すところは直していっていただかないと困るということを言っておきたいというふうに思います。
 続きまして、現在の対応についてなんですけれども、先日、北海道に戻りまして酪農家の方にお話をお伺いしたところ、現在では、雪印の市乳工場の停止に伴いまして、雪印買い入れの予定分につきましては、関係各位の皆さんの協力によりまして、比較的スムーズに配乳調整が行われているというお話でございました。
 日ごろ余乳発生の抑制に努めていらっしゃいます酪農家の方たちが安心して経営ができる環境づくりとして、現段階では、この配乳調整というのが非常に大きな対応策になってまいります。この配乳調整というのは、今現在どういうふうな状態になっていらっしゃるのか。また、配乳先の変更によりまして、例えば北海道では、配乳をする、牛乳を載せたタンクカーが夜中じゅう走り回っているという現状がございますけれども、こういった遠距離輸送に関します送乳経費の負担増というのが当然考えられますが、こういった対応はどのようにしていかれるおつもりなのか、お伺いします。

石破政務次官 
 お答えを申し上げます。
 委員の北海道の現状に基づきますお話、私どももよく認識をしながら努力をしてまいりたいと思っております。
 御指摘の件でございますが、生産者団体、全国連及び乳業メーカー三者の連携によりまして、現在のところ、配乳調整はほぼ一〇〇%うまくいっておる、このような認識を持っております。私どもといたしましては、地域別に、そしてまた日ごとにそのような情勢をフォローしながら万全を期してまいりたい、このように考えております。
 また、いわゆるかかり増し経費の御指摘かと存じます。この部分につきましては、何にしても生産者、酪農家の責めに帰すべきことでは全くないわけであります。ただ、これは契約内容が生産者の負担、そしてまた工場渡しということになっておりますことも御案内のとおりでございまして、そうしますと、みずからの責めに帰すべき事由でないにもかかわらずそのようなお金を持たねばならぬ、これは極めて不合理なことだと考えております。
 したがいまして、これは雪印としてきちんとして誠意を持って対応する、不当な損害を与えないということで私どもは雪印を指導してまいりたい、いやしくも生産者の方々にこのようなことで御迷惑をかけるようなことがあってはならぬ、このように思っておる次第でございます。

丸谷佳織 
 配乳体制、配乳調整を最大限の努力でやっていただく、そして余乳発生を抑制する、これは今取り組んでいただくべき最大の対策なんですけれども、今後の安全宣言をいつ発表するか、こういったことによりまして、牛乳・乳製品の消費の動向というのは残念ながらまだはっきりとは見えてこない、その概要が見えてこないというのが現状でございます。
 したがって、余乳処理体制については今後の重要な課題となってくるわけなんですけれども、例えば、余乳が大量に発生をしまして加工に回されたような場合、加工向け乳価というのは飲用向け乳価よりも約二十円から三十円安くなってくる。そういうことが生じますと、酪農家の手取りというのは減少してきますし、経営に大きく影響してきます。また、余乳があるからといって減産するような方向があれば、一度減らしたものをまたもとに戻すようなことは非常に難しいということから、こういったケースにおいて、安定した酪農経営ができるようにしていく対策というのはどのようにお考えになっているか、この点をお伺いします。

石破政務次官 
 加工向けに回った場合にどうするかということであります。もちろん、先ほど申し上げましたように、配乳調整によりまして、そういうことを極力避けるべく私どももやってまいっておるところでございますが、ただ、この後消費がどのように振れるか、これはなかなか予測しがたいものがございます。
 そこで、加工に回りましたときには、委員御指摘のように、差額が生じるわけでございまして、その補てんは、第一義的にといいますか、当然雪印が負うべきものだ、このように考えております。その部分を雪印が誠意を持って、責任を持って対応していくように指導してまいりたい、このように考えております。

丸谷佳織 
 続きまして、時間も余りございませんので、今後の課題としまして、どのように消費者の信頼回復を図っていくかというところについて質問させていただきたいと思うんですけれども、実際に酪農家の方あるいは牛乳販売店の方が一生懸命幾ら努力をしても、すぐにはそれが直接的に牛乳や乳製品への信頼回復にはなかなか結びついてこないという点が、実際には関係者の皆さんのいら立ちの声だというふうに思います。本当に、信頼を失うのは一瞬で失うことができますが、それをもとに戻す、築き上げるというのは一生かかっていくような問題ではないかというふうに思うわけなんですけれども、時間はかかるでしょうが、時間をしっかりとかけて、また同時に多角的なアプローチというのを講じていく必要があるというふうに思います。
 一つの視点としまして、牛乳表示の明確化という点があるのではないかというふうに思います。
 今回の事件では、低脂肪乳などの加工乳、また毎日骨太などの乳飲料について中毒事故が生じたわけなんですけれども、私自身もそうでしたが、消費者にとって白いものは牛乳だという認識がまだ多く残っているのが現状だというふうに思います。ただ、誤った認識で牛乳や乳製品全体の消費の低迷につながっては困るという点が一点あると思います。
 牛乳の表示につきましては、昨年の末に、飲用乳の表示に関する公正競争規約におきまして、加工乳及び白物乳飲料については、生乳を五〇%使っているものに関して牛乳という表示をするということになっておりますけれども、さらに商品の特性というのを正確に理解してもらうことによって消費者の方がきちんと選べる視点を持てるわけですね。そしてその信頼回復にも一役買うというふうに思うわけなんですけれども、さらなる牛乳表示の改善を図っていく、この考えについてはいかがか、農水そして公取にもお伺いします。

樋口政府参考人 
 お答えを申し上げます。
 お話がございましたように、昨年、公正競争規約が修正をされまして、生乳の使用が五〇%超である場合に限って牛乳の文言の表示が認められるということでございまして、私どもとしては、これを消費者にお知らせをして、よくわかっていただく、それがまず第一歩だと思ってやっております。
 お話がございますように、それでも消費者の皆さんはなかなか表示について十分な理解が得られないということは、私どものその前の調査でもございましたので、そのことは念頭に置かないといけないと思います。
 今回の問題についても、やはり信頼を回復するために、表示をもう一度きちっとわかってもらう、これは大変大事なことだと思っておりまして、今回の事故を契機にしまして、さらにどういう形で表示をした方がよかろうか、いろいろな勉強をしないといけないと思っておりますが、とりあえずは、とにかくきちっとした正確な情報をお伝えする、これに最大限の努力を注いでいく、そういう観点から、生乳の使用割合の表示、これをどうしたらいいかということで、今まさに検討をしているところでございます。

楢崎政府参考人 
 先ほど農水省の方から御答弁がございましたけれども、先生御指摘のように、昨年の十二月に、従来は、加工乳につきまして牛乳という表示ができるのは、一定の成分規格を満たしている場合であったわけですけれども、さらに牛乳という文言を使うためには、原材料である生乳を五〇%超使用しなければならない、そういったものだけを牛乳というふうな表示ができるように改正したわけでございます。
 私どもといたしましても、公正競争規約の運用団体でございます全国飲用牛乳公正取引協議会に対しまして、加工乳につきましては、成分、生乳の使用割合の表示も含めて、より一層の明確化のための方策としてどのようなものがあるかどうかということを検討するように促しているところでございまして、消費者に対する適切な情報提供という観点から、こういったことも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

丸谷佳織 
 最後の質問になると思うのですけれども、実際に今後消費者に対する信頼回復を図っていくときに、やはり検査体制も含めまして、情報の透明性というのは欠かせないというふうに思います。また、消費者がきちんと選択できるような情報の提示というものも必要になってくると思うのですけれども、逆に、この信頼の回復を図っていく際に、やはり工場等の徹底検査による安全宣言の発表はもちろんなのですけれども、流通関係者に冷静な対応をとるような指導またはPR活動というのも当然必要になってくるというふうに思います。
 私たちが一番恐れますのは風評被害なわけです。口蹄疫のときもそうだったのですけれども、余りヒステリックな、過剰な反応をしてしまうと、本当に関係のない分野まで被害が及び、ひいては北海道全体の経済にも大きく影響を与えてくるわけです。今回の原因は雪印にあったというその責任は明確になってきているわけですから、これはしっかりと時を見つつ、今回もこの雪印の問題は農水委員会でしっかりと審議をしているわけですから、余り過剰な反応はするべきではないというのが実は私の意見でございます。
 酪農家の方、お話をお伺いしましたところ、一生懸命品質管理をして、搾乳をして、そして毎日搾乳をするたびにきちんと細菌の数を調べ、それを工場の方に提供する。その際に、もし品質が少しでも劣るようなことがあれば厳しいペナルティーを受けるというような中で、今回の雪印の問題が起こったことに対しまして、本当に憤りはもちろん感じております。
 また、雪印の乳製品を飲んで体を壊された方の憤りというのも当然なわけなのですけれども、これに今後どのような形でしっかりと対応していくのかということを話し合うのが、審議をするのが今回の農水委員会の目的であったというふうに思います。また、雪印の責任等については今後の議論になってくるというふうに思いますし、また、現在のこの状況に対します対応は、農水さんの方にしっかりとしていただきたいというお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
 以上です。ありがとうございました。