衆議院・農林水産委員会質疑録
2000年11月7日

宮路委員長
 次に、丸谷佳織君。

丸谷佳織
 公明党の丸谷佳織と申します。おはようございます。
 四人の参考人の方々、きょうは御多忙の中わざわざ当委員会まで足を運んでくださいまして、心より感謝申し上げます。
 まず最初に、日本農業法人協会会長の坂本様に御意見を伺わせていただきたいというふうに思うのですけれども、今まで坂本会長はいろいろな提言をなされていらっしゃいますし、また、農業・農村基本法に関しても御意見されたこととか、いろいろ読ませていただきました。
 その上で、まずお尋ねをしたいのですけれども、会長は農業の活性化、また多様な担い手という観点で非常に御尽力されていらっしゃいますが、実際、会長が若い皆さんとお会いされたときに、農業者側の意識のずれと、また若い皆さんの意識のずれを感じたというようなお考えもあったようなんですけれども、特に若い人あるいは女性という担い手を考えたときに、しっかりとした収入源として農業を営んでいく、こういった観点から、今回の法改正というのは新たな多様な担い手を確保するのに私は役立つのではないかという考えを持っております。このことに関してはいかがお考えになるでしょうか。

坂本(多)参考人
 今御指摘がありましたように、私ども、私ごとで申しわけございませんけれども、農業で今二十一名の仲間が一生懸命頑張っておりまして、それに加工という新しい、私たちがつくった素材をもって、自分たちで責任を持ってつくった食品にしてそれを消費者にお届けするというところまでいきますと、五十五名の仲間の働く場ができております。
 いろいろな若い方が、ことしも今五十五名くらいの方がいまだに面接に来ておりまして、就農したいという全く新しい時代を迎えております。
 しかし、お会いしてお話をしてみますと、お嬢さんなんですが、なぜあなたは酪農にそれほどこだわって農業をやりたいかといいますと、牛の目がかわいいからやりたいという驚くような御返事も返ってくるわけですが、それを担い手として否定したら、これからの日本の農村出身者のお嬢さん、息子さんでも、農業に小さいときから携わっているという方がいらっしゃいませんので、そういう方をどう我々は受け入れながら自分を発見していただくかという役割が大きいのではないかということで、今、法人といたしましては、私たちのお仲間で年間二千人くらいの雇用の場になっているというふうに考えております。
 したがって、いろいろなお考えの若者をこれから農村に受け入れるためには、先ほどもちょっと報告で申し上げましたように、自己の確立をなさっておりまして、しっかりしたお考えをお持ちの若い方でありますので、やはりルールのある法人というのは、皆さんの期待が非常に高いというふうに私は経験しております。

丸谷佳織
 ありがとうございました。
 では、実際に現在、農業生産法人としていらっしゃる方が今回は株式会社という形態もとられるということができるような、選択肢の幅が広がるような今回の法改正なんですけれども、今回の法改正によるメリットによって、現在の生産法人の方々が株式会社に形を変えていくというような見込みは、御存じの限りで構わないのですけれども、その展望についてはいかがお考えになりますか。

坂本(多)参考人
 このたび株式会社が認められた場合、そういう事例が出てくるだろうかという御質問と受けとめてよろしゅうございましょうか。
 私どもの仲間には、もはや消費者とおつき合いをしながら農業生産、今、つくりましても、売らなければつくれないという時代を迎えておりますので、そうした活動がどんどん進んでおりまして、消費者の皆さんも、おつき合いすれば、ぜひ応援したいというお気持ちの消費者がたくさん出てまいっております。
 しかし、今はやはり生産者であり消費者であるという立場でございまして、それを一歩進めましてお仲間になっていただくということ、四分の一という限定はありますけれども、それは非常に大きな前進ではないかというふうに考えております。これから私たちの仲間も、株式会社ということに興味を持たれる方は、今事例は当然ないわけでございますが、出てくるのではないかというふうに考えております。

丸谷佳織
 先日、当委員会で法改正につきまして一回委員会質疑が行われまして、そのときに私も質問に立たせていただいたんですけれども、私ごとで恐縮なんですが、私は北海道の出身でございまして、空知という稲作地域で小学校時代を育っております。
 私の友人も、現在三十五歳の女性なんですけれども、そこの稲作地帯に残ったまま農家にお嫁に行き、十ヘクタールくらいの畑を、稲作で一生懸命耕しています。彼女自身は、五人の子供を産み、この少子化時代に抵抗するかのように、地元にしっかり根を張って、また農業も担っている。もちろん、家事も育児もし、稲作のお手伝いもするという典型的な農業に嫁いだお嫁さんという彼女なんですけれども、そういった姿を見て、非常に頼もしいなというふうに思います。自分の人生の生き方の選択の一つとしてしっかり農村地域に根を張っている若い人、特に女性を見ると、非常に尊敬の念を感じるわけなんです。ただ、農業と経営といったものを考えたときに、自分の収入とならないんだろうかという思いは、私はずっとOLをしてきましたので、思うこともあるんですね。
 今回の法改正によりまして、例えば法人化する、あるいは法人から株式会社に展開していくという道も開けたわけなんですが、農家のいわゆるお嫁さんが経済活動をしようとしても、例えば経営について知識がないといけないという点も出てくると思うんです。女性の企業家活動等を支援する際にどんなものが必要と考えられるか、現場で感じていらっしゃることを教えていただきたいと思います。

坂本(多)参考人 
 私たちの五十五名、仲間で総合農場を経営しておるわけでございますが、今女性の方が二十三名働いていらっしゃいます。女性の力、生命を生み出すということが基本でありますので、御指摘のように、女性の力というのは非常に大変なものでございまして、我々も尊敬の念を持っております。
 ただ、家族経営によってもいろいろありまして、一概ではありませんけれども、法人ということは、今、家族経営から法人に、お嫁さんが人格を持てるということ、お母さん、女性が人格を持てる、これは非常に明確に人格が、役員になって登記されるわけでございますので、その辺で、女性の農村、農業における人格というものを明確にするということも、我々法人として非常に法人化の基本的な大きな役割ではないかというふうに考えております。私の農場にも女性部長が二人出てまいりまして、特に企画であるとか、どういう商品をつくったらいいとか、どういうお米が消費者に受けとめられるかというような点で非常に大きな力を出しております。私は、女性の皆さんがぜひこれから法人化を推進していただいて、中には女性数名で私たちの法人協会にも有限会社をおつくりになったり、農事組合法人をおつくりになって活動していらっしゃる方もございます。

丸谷佳織
 重ねて教えていただきたいんですけれども、そうすることをする際に、例えば経営に関する研修会ですとか、そういった形は現在どのようにされているのか、あるいはまた、国から支援すべき点があったら教えてください。

坂本(多)参考人
 申しわけありません。的確なお答えができないで失礼しました。
 私ども法人協会では、この秋も、九日、十日と二〇〇〇秋季法人ウイークということで、年に二回大きな大会を持ちまして、いろいろな項目に分かれてそういう勉強会、どういうふうにしたら法人の経理ができるとか、税法上の問題とか勉強しております。
 したがって、そういうところに今女性の方も出ていらっしゃいますが、女性の方がもう少し出ていただいた方がうれしいなというような状況でございます。そういう場が今たくさんございますし、また、そういうところにこれから御支援をいただけるなら、ありがたいというふうに考えております。

丸谷佳織
 ありがとうございました。そういった支援もしっかりとさせていただきたいというふうに思っております。
 坂本会長にもう一つだけお伺いしたいんですけれども、会長が以前に書かれていたものの中で、今まで法人の構成員の拡大により、企画管理労働に費やされる時間が増加をして、構成員の意思統一を図りがたいことがあったという御意見があったんですけれども、これに関して、これをどのように克服していくべきかという点を教えていただきたいと思います。

坂本(多)参考人
 今御指摘の点は、企画管理労働ということに関してではないかと受けとめてよろしゅうございますでしょうか。
 私は、先ほどもちょっと申しましたように、法人というのは法の中で営む行為でございまして、特に先ほどから申し上げますように、これからの経営政策という、農業を生産者から経営者という一つの考えでとらえなきゃならないということになりますと、計画とか企画、記録、会議、経理というような、その組織を公正に運営するためには、これはなくてはならないものでございます。
 したがって、家族経営の場合は、朝食であったり、夕食であったり、これはちょっと失礼な言葉かもしれませんが、寝室でトップ会議ができるというようなすばらしい組織でございます。ですから、それは生活の中で管理コストが吸収されているというすばらしさはあるわけです。
 ところが、今の若い方は、むしろルールに基づいてということでありますし、法は他人が集まりますので、やはりそこできちっとした管理労務というものを位置づけて運営しないと、私は、法の人になり得ないし、その法人は、先ほどから法人の危険性ということが随分御議論があったようでございますが、そこに僕は起因していく問題ではないかと思っております。

丸谷佳織
 ありがとうございました。
 では、続きまして、生源寺先生にお伺いをしたいと思うんですけれども、まず大前提としまして、日本の農業におきます今後の家族経営と法人化の関係というものを、先生はどのようにお考えになられるのか、この点をお伺いします。

生源寺参考人
 作目によって多少違うかと思いますけれども、まず、一般論として申し上げますならば、家族経営が恐らくこれから先も大宗を占めていくだろう、こういうふうに思います。しかし、農業生産法人ももう少し大きなシェアを持っていって共存していく、そういう構造になるかと思います。
 もちろん、これは土地への依存度によって基本的には違いが出てくるというふうに思っておりまして、畜産の一部でございますとか施設園芸といったようなことにつきましては、かなり法人のウエートが、現在も高いわけでございますし、これからも高くなるだろう、こういうふうに思っております。
 土地利用型経営の場合には、どちらかといいますと家族経営、これも兼業農家も含めて、こちらが少なくとも数の上では多数派であって、そこに法人経営がいわば活性化するような形で入っていく。中には、私は、家族経営から法人という形もあれば、法人経営にいわば職員として就農した方がそこから分かれて、ある場合には家族経営、小さな法人経営という形も考えられますし、そういう形で新たなタイプの経営を生み出していく、こういうようなことも含めて、共存という関係が想定されるのではないか、こういうふうに思っております。

丸谷佳織
 先ほど坂本会長にもお伺いした点なんですけれども、今回の法改正で選択肢が広がったことによって、現在の生産法人が株式会社に転向していくというような展望について、これはいかがでしょうか。

生源寺参考人
 この点につきましては、即座に非常に数がふえるということはないかと思いますけれども、恐らく幾つかのモデルケース的な形で株式会社化を考えるケースが出てくる、こういうふうに思っております。私自身、農業生産法人のリーダーの方からそういった関心を耳にしたことはございます。
 その意味では、爆発的に何かふえるというようなことは、私が最初の意見陳述でも申し上げましたように、これは期待できないかと思いますけれども、ある程度はそういった形が出てくるだろうと思います。あるいは、現在、実は土地、農地を使わない形であれば株式会社が容認されているわけでございまして、畜産あるいは施設園芸等についてはかなり株式会社もございます。
 逆に、現在、農業生産法人ではないわけでございますけれども、ここはいわば土地離れをした形で農業をやってきた法人が、もう一度土地に回帰するというような形というのも一つルートとしては考えられるのではないか、こういうふうに思っております。

丸谷佳織
 ありがとうございました。
 時間がなくなってまいりましたので、次に坂本進一郎様にお伺いをしたいというふうに思います。
 けさいただきました「何のために農業が必要か」、先ほど、短い時間ですが、少し読ませていただきまして、今回の法改正には反対というお立場だという御主張も少し自分の中では知識を持たせていただきました。
 その中で、反対をされている理由の根本にもなるかというふうに思うんですけれども、坂本さん自身は特に家族経営の農業という点に着目、また重点を置いていらっしゃる立場かと思うんですが、農業生産と経営、言葉を悪く言ってしまえば、お金をもうけるということに関して、どのように考えていらっしゃるのか、ちょっと思想的な質問で非常に申しわけないのですけれども、これをお伺いします。

坂本(進)参考人
 私は化石人間なもので、農業というのはもともと農業即生活、生活即農業、これは我々の御先祖さまがそうやってきた。例えば、今のネパールとか雲南とかに行くと、大体そういう形。私も見てきましたけれども、自分でわら工芸品をつくったり、それからいろいろなものをつくっていました。それがどんどん分化してきて、農業から工業が、もうかる部分が工業になっていったということです。
 そのままやっていっていいのかというのは、例えば狂牛病なんかがこの前起こりましたけれども、あれはビジネスでやる。私はさっき言ったように、生業観でやるのが農業の原則であると。しかし、商品経済だから、トラクターが欲しくなれば、やはりそれを得るためにお金をもうけなくちゃならない。だけれども、農業をやっている動機というのは生業的なもので、ただ、今はその生業観からビジネス観まで幅があって、その中でいろいろ世の中が混乱しているというか、そういうふうに思っています。
 だから、農業を金もうけだとは私は思っていません。ただ、金は必要だから、そのために農産物を売っている、そういう気持ちでいます。

丸谷佳織
 どうもありがとうございました。
 では、最後の質問になるかと思うんですけれども、中村専務理事にお伺いをします。
 先ほどからの質問の中でもテーマには上がりましたけれども、農業委員会が今回重責を担うと言っても過言ではないというふうに思うんです。この農業委員会の体制の充実強化を図らなければいけないという意見は先ほども出ておりましたが、この充実強化を現実的に図るために具体的な施策への御要望等がございましたら、最後に、お伺いしたいと思います。

中村参考人
 先ほど来お答えしておりますが、今回の法律改正だけに限りましても、ここにございますように、十五条関係で五点のことがありますし、それ以前から持っている役割もございます。
 したがいまして、これは農業委員さん、農業委員会の職員ともにやはり資質の向上を図らなければいけないということが一点あろうかと思います。それと、その地域で現実を把握していかなければいけないというようなことで、我々、今農業委員会の組織問題、改革問題も考えておりますが、地区担当制のようなものがとれないだろうかということで、農地あるいは担い手につきまして、日常的に世話役ができるような体制づくりをしてまいりたいというふうに考えておりますし、また、そういうふうな御支援もいただければということで今、検討中でございます。

丸谷佳織
 参考人の皆さん、ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。