衆議院・環境委員会質疑録
1999年6月8日

北橋委員長
 丸谷佳織さん。

丸谷佳織
 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 参議院の国土・環境委員会というんですか、あちらの方の質疑の内容、議事録を拝見いたしまして、それぞれ各議員の皆さんが問題点を挙げられてかなり内容も明らかになってきていると思いますので、なるべく重複しないようにきょうは質疑をさせていただきたいと思っております。
 まず最初に、今回の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する本法律案の中で、何かを改善するためにこの法律を改正するのだろうというふうに私は思うんですけれども、今までの議事録を拝見していく中で、この法律を改正することによって一体どの点が一番改善されるのか、何か不都合な点があって、この法律を改正することによってどこかに利便性が出てくるのかという疑問がどうしても自分の中で解決しないものですから、まずその点についてお伺いします。

丸山政府委員
 国は、全国の野生動物の生息状況を調査し、適正なその保護対策を進めるということが基本的な仕事でございますけれども、そういった野生鳥獣の保護に対する国民の要請が高まっているのは事実でございます。
 その一方で、特定の、あるいはまた一部の野生鳥獣につきましては、例えば食害によって植生が衰退するとかあるいは農林業被害が顕在化するといったようなことで問題となっており、また一部の野生鳥獣におきましては、地域によって個体数が減少して存続が個体群として危ぶまれるような事態が生じているということでございます。
 いわば各地域における特定の鳥獣の個体群の推移というものを考えました場合に、著しく増加することによりまして生態系への影響あるいは人とのあつれきが生じている地域個体群、また逆に、何らかの事情によりまして個体群の存続が危うくなるような減少がある個体群、それらにつきまして、長期的なその個体群の保護繁殖、安定的な維持を図るためにこの特定鳥獣保護管理計画制度を創設してまいりたい。
 このことによりまして安定した地域個体群が存続し、それが自然の中で重要な要素となることによりましてその地域全体が豊かな自然の資源を有することになる、かように考えて、いわば自然環境の改善になるというふうに考えて改正法をお願いしているものでございます。

丸谷佳織
 今御説明していただいた理解の仕方としまして、野生鳥獣の保護及び人間と野生鳥獣とのあつれきをなるべく減少させていく、また、自然保護という意味も含めて、その地域を人間の生活また野生鳥獣とともに豊かにしていくんだ、より細かな配慮ができるんだ、そのために改正するという理解でいいんでしょうか。
 また、それは各自治体の責任が非常に今回の法律で強くなってくるんだと思うんですけれども、こういった今の目的を行うために環境庁がすることは無理なんでしょうか。自治体の責任においてする方がよろしいと思うのはなぜか、お答えください。

丸山政府委員
 いわば、自然環境の中で野生鳥獣が存続するということは、その自然環境の重要な構成要素でありまして、その個体群が安定的に存続するということが大事なことでございます。それが地域全体の自然環境を豊かにするものでございます。
 そういったようなことにつきまして、その所属する都道府県、これはいわばその地域の実情も詳しく知っているところでございます。そういったような都道府県に、みずからの事務として保護管理の計画に取り組んでいただくということを都道府県の役割としてお願いしているところでございます。
 国の方は、そういったような際のガイドライン、計画のつくり方、それから全国的な野生鳥獣の生息状況の把握、そういったようなことで、国土全体の野生鳥獣の生息状況についてのデータ、それから具体的な特定鳥獣保護管理計画のつくり方、主たる構成要素、そういったようなものをお示しすることによりまして、このような対策を進めてまいるというものでございます。

丸谷佳織
 多くの議員の皆さんがおっしゃっていたと思うんですけれども、実際には、現在の自治体の経済状況ですとかあるいは自然保護に関します専門員の方の数を見ても、自治体の責任の中で行っていくのは非常に無理があるんじゃないかというような疑問が一点残るのも仕方がないのかなというような現在の状況なんです。
 今回の法案を審議するに当たりまして、私の国会事務所の方でも、いろいろな動物愛護団体の皆さんから、ファクスですとか、あるいは直接御意見を聞かせていただきました。きょうも傍聴に多くの方が見えているわけなんです。
 この法案に対しまして賛否両論あるのは、もちろんのことだというふうに思います。実際に北海道は農林被害が多いわけですから、農林業を営まれている方は、早く法案を通してほしいと。あるいは、動物の視点に立って物を考えると、ふだんは人里に出てこないようなシカですとかクマが、なぜ人里におりてくるようになって農林被害を起こすようになったのか。それは、人間が森林を崩していったからじゃないか。そこに人間の責任を感じて反省をするところからまず始めるのが当然じゃないかといったような声が非常に多いわけなんですけれども、こういった声を聞いて大臣はどのようにお考えになるのか、お伺いします。

真鍋国務大臣
 先生の、北海道の農業関係者の気持ちや、そしてまた市民との対話の中における愛護団体からの陳情、両方の意見が交錯しておるというようなお気持ちを披瀝されたわけでありますけれども、私自身も、当初はそういう考えの上に立って動揺することも多かったわけであります。
 しかしながら、今日的な存在からいうと、どうしても調整の必要もあるし、また保護もしなきゃならないということで、今回の法改正は鳥獣の保護というところに力点を置いてなされておるわけでありまして、決して無謀なものではなくて、現時点における一つの調整であり、よりよき改善であるというふうに理解をしてお願いいたしておるところでございます。

丸谷佳織
 今回のこの法案の改正に当たりまして、農林業被害をいかに食いとめていくかというのが一つ大きなポイントになってくるのだと思うのですけれども、それに関しましては、個体数の調整を図るとともに、生息地の保護、また被害防除というのを三位一体として同時に行っていかなければ意味がないのだろうというふうに思っております。
 そこで、附帯決議の二の中で、野生鳥獣との共存の森づくりという項目がございますけれども、個体数の調整というのは各自治体が責任を持って行っていくものであるのに対しまして、この野生鳥獣との共存の森づくりというのはどこが責任を持って行っていくものなのか、お答え願います。

鹿野説明員
 今の野生鳥獣の森づくり、一つの事例でございますが、いずれにしろ、野生鳥獣の生息地の改善整備をしていくということが今度の法律の計画の中の重要なファクターになってまいります。
 そういうことからしますと、今度の計画策定者は都道府県知事でございますので、そういったような野生鳥獣の生息地改善事業、これの主体者は基本的には知事がなる。また、森づくりは、例えば環境部局だけでもなかなかできませんし、営林部局だけでもなかなか難しい。知事として各部局の総力を挙げた中でその計画を実施していくというのが今回保全事業について知事が計画を立てる意味の一つだと考えております。
 私どもは、そういう都道府県の動きに対してできるだけの支援をしてまいりたいと考えております。

丸谷佳織
といいますと、例えば複数県にまたがっているような森林も当然あるわけなんですが、こういった場合はそこの県知事が連絡をとり合ってやるというような考えでよろしいのですか。

鹿野説明員
 生息地として例えば県境をまたがるような大きなもの、こういうものにつきましては、都道府県知事がそれぞれその森づくりを進めるということもあろうかと思いますが、大抵の場合には、そこは国立公園でありますとか、国定公園でありますとか、もしくは国設の鳥獣保護区でありますとか、私ども環境庁としても直接そこの管理、保全に努力すべき場所であることが多うございます。そういうところの場合には、私ども環境庁も直接その保護、保全に努力してまいりたいと思います。
 また、場合によって、そういう国関係の地域指定がない場合は、都道府県が主体的に努力していただく、私どもはそれを支援していくということになろうかと思います。

丸谷佳織
 今お答えいただきました生息地保護に関しまして、複数県にまたがっている場合は余りないであろうということだったのですけれども、実際には、生息地保護のみならず野生動物が複数県にまたがっていくことも考えられるわけですね。動物の認識としまして、ここからここは何々県だからといったような意識はもちろんないわけでございまして、その中で、個体数の調整また生息地の保護に関しましては各自治体の知事が主体的に行っていくというような方針なんですが、想像しますに非常に難しいであろうと思います。
 ですから、これは野生動物それから自然環境という環境庁所管の分野でございますので、かなり強力な後ろ盾をしていただかないと、生息地の保護という目的を果たしていく、あるいは適切な個体数の調整ということをやっていくのは本当に難しいのじゃないのだろうかというふうに思うのですが、いかがですか。

鹿野説明員
 今回計画しております特定鳥獣の保護管理計画でございますが、これは県境をまたいでその鳥獣が生息する場合、こういったような場合にそれぞれの県が策定することになるわけですが、この場合には関係県と十分調整を図るようにということで、法の中にも関係県と協議することという条文を入れております。
 また、実際問題といたしまして、こういう場合には、私ども環境庁といたしましても、その県境を含んだ数県にまたがる当該動物の生息状況、そういったものは、国として当然全国レベルの生息状況の一環として情報提供していくべきだろうと思っております。
 また、そういうことで、県境をまたいだところで計画の違いが出てくることのないよう、全体として一つの地域個体群をしっかり守っていくように指導をしてまいりたいと考えております。

丸谷佳織
 そうであるならば、この法案の中に野生鳥獣に関する最終的な責任は国にあるんだといったようなことを明文化してもいいのじゃないかというふうに思うのです。また、すべきではないかというふうに思うのですが、この点に関してはいかがですか。

鹿野説明員
 自然環境の保全につきましては、国土全体の自然環境がどうあるべきかということにつきましては、環境庁の責務でございます。鳥獣を含めます野生生物は自然環境の重要な構成要素でございますので、それが我が国土の中にどのように分布しておるのか、またそれが将来ともどのように保全されていくのか、これはやはり国としてしっかりやっていかなきゃいけない分野だと考えております。

丸谷佳織
 では、次に農林業被害についてお伺いをしたいと思いますけれども、参議院の参考人招致の中では算定方法が確立されていないといったような声もあったのですけれども、一体どこまでを被害とみなしていくのか、難しいと思いますが、現在どのように把握されているか、お伺いします。

大森説明員
 鳥獣によります農業被害につきまして、その把握方法でございますが、現在におきましては、都道府県を通じまして市町村の協力を得てその実態を把握しておるというふうな状況になっております。
 その被害の状況の通報を受けました場合には、これはおおむね市町村の職員の方に現場に出向いていただくような形になるわけでございまして、その被害の態様というのは非常にさまざまな形があるわけでございます。
 実際にその作物が根こそぎやられてしまいますと、これはその後の回復が無理でございますが、例えばイノシシが穀物の上に寝転がるといいますか、そういう形で倒れる、こういう場合には多少その後の回復というふうな状況もあるわけでございます。あるいは果樹の場合のシカですとかあるいは鳥類によります被害、こういうものにつきましても非常に部分的に発生するケースがございます。
 果樹の若芽が食べられるというふうな場合、これは残ったものは、その後災害等を受けずにいきますと、ちゃんと果実になる場合もあるわけでございますし、それから熟したものが被害を受けた場合、これについても、部分的についばまれたようなもの、これは商品価値がございませんが、その場合でも、全体がそういう形で被害を受けるということは、必ずしも一般的な形態としてはそういうケースばかりでもないということはございます。
 したがいまして、その判断の仕方というのは非常に難しい面があるわけでございますが、一般的には何らかの被害を受けた場合にそういうものを被害面積としてカウントしていただく。したがって、その被害の程度、つまりそれが何割程度の被害なのか、あるいはその後の生育期間でどれくらいの回復が可能なのかというふうなことにつきましては、これは最終的にはその収穫期を待って判断する必要があるわけでございます。
 ただし、これは実際には、そういう被害地にたびたび出向いて最終段階まで確認するということのマンパワー的な問題等もまたございまして、その辺はかなり苦慮している状況にございます。
 そういう点で、なかなか最終的な成果物を得た段階での被害額の算定というところまでは、現在難しい状況がございます。そういう点で、従来、被害面積という概念でとらえておりまして、これは必ずしも収穫皆無の状況だけではございません、部分的なものも含まれておる、そういう状況でございます。

丸谷佳織
 把握するのは非常に難しいというお話だったのですけれども、農業に関しましては、やはり種をまいてから収穫するのに一年、あるいは林業ですともう何十年かけて育てていくわけですから、それが若芽のうちに食べられてしまったときの実際に従事されている方のお気持ちを察しますと、これは難しくありましても、実際に補償制度の確立というのを急いでいかなければいけないなというふうに感じます。
 また、北海道の農林業被害の額は平成八年度で年間約五十億円というふうに言われているわけなのですけれども、実際に北海道の場合は、道東にエゾシカが十二万頭と推定されています。これは十二万頭プラスマイナス四・六万頭という数もついているわけなのですけれども、農林業被害が出ましてから、十二万頭に対して、現在北海道はどのぐらいの数を捕獲しているのかをお伺いします。

鹿野説明員
 平成九年度でございますが、平成九年度中に道東地域におきまして捕獲したエゾシカの総数は、狩猟と有害鳥獣駆除合わせて約四万七千頭と聞いております。

丸谷佳織
 約四万七千頭の捕獲、今のは平成九年度の数ですよね。平成八年度が約四万六千頭ですか。ですから、年々捕獲数はふえているわけなのですけれども、実際には農林業被害の金額は減らずに、こちらの方も比例してふえているという状況です。この捕獲数がふえているのだけれども、農林被害額もふえているという現状をどのように分析されていますか。

鹿野説明員
 道東地域におきますエゾシカの捕獲数、先生御指摘のとおり、平成七年は四万五百頭、平成八年が四万六千六百、平成九年が四万七千と捕獲数はかなりのオーダーでございますが、被害としては今のところ依然として減っておりません。やはりこれは今のところ、とっても総数の減にはまだなっていないのではなかろうかというように考えておるところでございます。

丸谷佳織
 この法案の御説明をいただくときに、北海道ではここ数年をめどにしまして六万頭まで持っていく。現在では、年間約六万頭駆除及び狩猟するのだというふうな説明をいただいたと思うのですけれども、現在でも約六万頭捕獲をしているわけですよね。それであっても農林業被害が減らないわけですから、この御説明いただいた六万頭では農林業被害というのは防げないのではないか。実際にはもっと多くの頭数になってくるのではないかと思うのですけれども、この点はいかがですか。

鹿野説明員
 北海道が今計画しております保護管理計画では、平成十年の三月に策定なのですが、三年間で今十二万頭のエゾシカを六万頭のレベルにしたいというのが計画でございます。現在かなりの数を捕獲しておるのですが、全体として、個体数が六万頭になってきた、要するに減ってきたという報告はまだ受けておりません。
 北海道では、当面の目標六万頭の時点で、全体としてまた被害の程度がどうであるのか、そういう点の見直しをしたいというように聞いております。

丸谷佳織
 北海道は、このエゾシカの問題に関しまして、農林被害額も非常に大きいものですから、非常に北海道自体が積極的に取り組んでおりまして、平成八年の十月には野生動物保護管理指針というものを策定しまして、野生動物の保護管理に関する基本的な考えを示した上で、主要な種ごとの保護管理計画を立てております。
 そして、平成九年の六月にはエゾシカ協議会を設置しまして、エゾシカの総合対策を推進しているわけなのですけれども、その中で、現在のエゾシカの頭数十二万頭を一〇〇という数字にしまして、管理基準を三段階に分けております。その中で、許容下限水準というのが六千頭、そして大発生水準、これは農林業に被害が及ぶであろうという個体数なのですが、これが六万頭、そして目標水準を三万頭としているわけでございまして、実際には三年間で六万頭に持っていくという話なのです。目標水準が三万頭であるならば、現在の十二万頭からやはりかなりの頭数の捕獲につながっていくのだろう。
 この個体調整というのは、先ほども午前中の審議の中で、知床の方のことしの大雪で突然シカが大量死したというような自然環境も含めまして、目標数、そして実際に何頭捕獲したのか、あるいは気象状況がどうなのか、このことを常に綿密に考えながら進めていかなければいけないなというふうに思っておりますし、これは北海道の問題でもございますので、この点、自分でも十分に注意してまいりたいというふうに思っております。
 そこで、北海道から国の方に、本法律案に関する要望が昨年の七月に提出されているわけなのです。それは保護管理対策についてと、そして農林業被害防止対策についてという項目がございますが、きょうは、農林業被害防止対策の項目について実際に国ではどうこたえてきたのか、お伺いをしたいと思います。
 一つ目が、農業被害防止施設整備予算の確保をしてほしい。それから二点目が、被害農家への救済制度の創設をしてほしい。そして三点目が、シカ肉処理加工施設の整備対策への支援をしてほしいということなのですが、これは実際に今どうなっていますか。

大森説明員
 農業被害防止施設整備予算の確保の件でございます。
 これにつきましては、私ども、各種の補助事業、これは総合的な補助事業のメニューの中に、被害防止策あるいは防鳥ネットの助成というふうなメニューを持っておりまして、そういうものを通じて防止対策を講じておるわけでございます。
 実際には、この予算の枠というのは非常に基盤整備等を伴う全体額としては大きな予算でございますが、実際この農業被害防止施設の整備に執行されました予算は、平成九年度におきまして全国で十一億円強でございます。こういう整備はメニュー事業として実施しておりますので、地域の実態に即しまして、緊要度の高いものについては、適切な被害実態の把握を通じまして、できるだけ助成の対象にするようにしていきたいというふうに考えております。
 それから、二点目の被害救済措置の点でございますが、これにつきましては、環境庁を中心に関係省庁協力しながら今後検討を進めるというふうな形になってございますので、私どももその検討の中に入りまして、鋭意検討に参加してまいりたいというふうに考えております。

城説明員
 シカ肉の処理加工施設の整備に関する問題でございますが、現在、シカ肉につきましては、御案内のように、極めて嗜好性の強い消費実態にあるのではないかと思っておりますし、また年間の捕獲頭数十万頭から見ますと、シカ肉としての供給可能量は一千トン強、この程度でなかろうかと思っております。
 したがいまして、現在農林水産省といたしましては、シカ肉の処理加工施設そのもの、それだけを目的とする補助事業は仕組んでおりませんが、別途、牛肉、豚肉の処理加工を目的といたします産地食肉センターの整備を行っております。この産地食肉センターにおきまして、知事さんから食肉処理業者としての営業許可を受ければ、シカ肉の処理加工も可能であるということでございまして、現に北海道の二十三の屠畜場のうち二十一がそのような許可を受けております。
 また、特用家畜全体の活用化を図っていく、あるいは地域社会全体の活性化を図っていく諸事業の中におきまして、シカ肉の処理加工施設につきましても御要望があれば実施可能なように措置いたしておる、このような状況でございます。

丸谷佳織
 ぜひ、北海道に国としても強力な支援をしていただきたいというふうに思っているわけなんですけれども、三番目のシカ肉、今は一千トン強の商売という話になるわけなんです。ただ、これを始めてしまいますと、非常に悩ましい問題がございまして、その目標額のためにシカを今度は射殺していくといったような面もございますので、これは慎重にやっていかなければいけないだろうなというふうに私自身も思っております。
 次に一点、狩猟と有害駆除についてお伺いしたいのですけれども、実際に狩猟実績の報告書を見せていただきますと、この中の約三八・三%の報告書が狩猟した野生動物の種類と捕獲数のみの報告になっておりまして、捕獲した位置が入ってございません。
 附帯決議の中でモニタリングの強化という項目があったというふうに思うのですけれども、実際に各自治体が責任を持ってモニタリングをしていく中で、この捕獲した位置というのもぜひ狩猟そして有害駆除ともに明記するようにしていかなければいけないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

鹿野説明員
 鳥獣の生息状況を把握する上で、実際に狩猟した場所もしくは目撃した場所、そういったものをデータの中に積み重ねていくということは非常に大切なことだと思っております。
 そういう観点からしますと、そういう情報は、狩猟だけでなくて当然有害駆除をしたものに対しても言えようかと思いますので、それらについてもそういう情報は全体として集めて活用していきたいと考えております。

丸谷佳織
 なるべく細かい報告書、位置までしっかりと報告するように指導をしていっていただきたいというふうに思います。
 では次に、鳥獣保護員制度についてお伺いしたいと思います。
 実際に、現在、鳥獣保護員制度はどこの所管で、全国に何人いるのか、この点をお伺いします。

鹿野説明員
 鳥獣保護員は、現在、全国で約三千二百人の方が委嘱されております。この委嘱は都道府県知事によって委嘱されることになっております。
 鳥獣保護員は、鳥獣の生息状況ですとか狩猟の適正化ですとか、または鳥獣保護区、休猟区等々の管理、さらには鳥獣保護の思想普及といったようなことに携わっていただいております。

丸谷佳織
 では、附帯決議二項の中の、鳥獣の保護繁殖等を担当する人材の確保、資質の向上を図るという範囲の中に、この鳥獣保護員の方は入るのでしょうか。

鹿野説明員
 参議院のときにいただいたその附帯決議は、直接行政の担当者、研究者、それからそういったような鳥獣保護に携わる鳥獣保護員を初めとするもろもろの方々、こういう人たちがみんなで力を合わせて頑張れという趣旨だと思っております。

丸谷佳織
 現在、全国に三千二百人という鳥獣保護員の方が、少ない数だとは思うのですけれども、実際に地元の森林ですとか山を守るために働いていらっしゃるわけです。非常に、職務権限等まだまだ狭いものだと思います。狩猟期間には週に二日、実際に働かれる、山を回られるということ。狩猟期間以外は月に二回という見回りになっておりますので、こちらの職務権限等をぜひ広げていただいて、もっと実効力のある鳥獣保護員制度に変えていただきたいというふうにも思います。
 先ほど西議員の方から環境レンジャーの創設という話もございましたけれども、実際には、道東の方でも、エゾシカを狩猟した後、死骸の放置というのが非常に多く見られるわけです。土に埋めていますというお話も聞くわけなんですけれども、実際には、北海道のあの雪深い、何メートルもある雪を掘ってそして七十キロ近いエゾシカを地下深く埋めるというのは、これはもうどう考えてもできない話でございまして、どうしても冬の期間、狩猟期間はそのまま放置する、商売になるところだけとってしまって、そしてそのまま死骸を放置するという現状がございます。そういったところを管理していくマンパワーというのが今度必要になってくるんじゃないか、このマンパワーをふやしていかなければいけないんじゃないかというふうにも思います。
 まず一点目の質問は、放置されている死骸、これはだれの責任において処理をしていくのか、お伺いします。

鹿野説明員
 特にエゾシカの場合に、死体の処理が問題になっております。これは、現実に、非常に重いためになかなか運搬も大変だというようなことがあろうかと思います。たしか、北海道の調査によりますと、七割の方々は何らかの形で処理しているのですが、三割の方々がどうも現場で処理しているというような状況らしゅうございます。
 やはりこういったことが問題になってきますが、要するに狩猟でとった場合には基本的には狩猟者がその死体の処理についても責任を持つべきものと考えております。また、有害駆除等の場合には、有害駆除等の実行主体は往々にして市町村もしくは農協等々の団体でございます、こういった場合には、当然有害駆除の主体者がその処理に基本的には責任を持つべきものと考えております。

丸谷佳織
 もし適切に死骸が処理されなかった場合、何か罰則等はあるんでしょうか。

鹿野説明員
 現在のところ、罰則はございません。

丸谷佳織
 では、罰則を設けるか、あるいは狩猟者のモラルの向上というところが附帯決議の中にもあったのですけれども、三割の方かもしれないのですけれども、本当にここを充実していかなければこの問題はなくなっていきませんので、どうか積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 では、時間もなくなってまいりましたので、最後の質問をさせていただきたいと思うのです。
 国立公園においては、今、環境レンジャーとも言える管理者の方の現状はどうなのかなというふうに気になります。国立公園管理官の数とその業務内容をお伺いします。

鹿野説明員
 国立公園の管理官の数についてのお尋ねでございます。
 環境庁では、全国を十一のブロックに分けて、それぞれ管理業務を行っております。その十一のブロックにブロックの事務所がございまして、さらにそのブランチとして全国で五十五の国立公園管理官事務所という事務所を設置しております。
 現在、その国立公園・野生生物事務所及びその出先の国立公園管理官事務所、それらに勤務する人数は、総勢で百七十二名でございます。
 業務としまして、国立公園の保護及び利用、それから、シマフクロウですとかイリオモテヤマネコなど絶滅の危機に瀕しております野生生物の保護増殖、そういった業務をいたしております。

丸谷佳織
 各国の国立公園の比較で考えてみますと、カナダには国立公園が三十四カ所、管理人数が四千人で、一人当たりの管理面積というのが四千五百ヘクタール、アメリカの方では国立公園が四十八カ所ございまして、管理人数が九千五百人で、一人当たりの管理面積が約二千ヘクタール、そして、我が国日本は二十八カ所の国立公園がございまして、管理官数が今百七十二名というお答えでしたので、一人当たりが約一万一千九百ヘクタールと、一人当たりの管理面積にかなりの違いが出てきております。もちろん、アメリカ、カナダ、日本というと、国立公園の規模の違いというのはございますけれども、管理者数が欧米に比べて圧倒的に不足しているのではないかというふうに言うことができる数字だと思います。
 鳥獣保護に関しますこの法律、個体数の調整ということで、実際には狩猟あるいは有害駆除を動物に対してするわけですから、私たち人間の方でも、それなりの人手をかけて、また手当てをして、自然環境また野生鳥獣等を守っていく意味でも、自然保護管理官の増員また環境レンジャーの創設というのを心から望んでいるわけなのですが、大臣、いかがでしょうか。

真鍋国務大臣
 御意見のとおりでございまして、そのような体制で頑張っていこうと思います。

丸谷佳織
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。