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衆議院・環境委員会質疑録 |
1999年3月9日 |
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北橋委員長 丸谷佳織さん。 丸谷佳織 公明党の丸谷佳織でございます。 私も今国会より環境委員会の方に初めて所属させていただきますので、きょうは初めての質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ことしの一月にペルーの方で開催をされましたアジア・太平洋会議に出席する機会がございまして、この会議では、同地域から参加しました二十五カ国が地球規模の問題について意見を交換してきたわけなんですけれども、その中で最も時間を費やして議論がされたテーマの一つがやはり環境問題についてでございました。 我が国としましても、先ほど来の御答弁にありますように、ダイオキシン類の対策を初めとしまして多角的な方面から環境対策に積極的に取り組んでいらっしゃる姿勢は、大臣の所信表明をお伺いし、また本日の委員会質疑の中で十分に理解をさせていただくことができましたので、二十五分と限られました私の質疑時間の中でテーマを絞ってお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。 地球規模問題としましての環境も非常に大切だと思うんですけれども、身近な生活環境から一つ一つチェックをしていくことも非常に大切であると思いますので、きょうは農業と環境問題についてお伺いをします。 一般に、農業といいましても、大変幅広く環境問題にリンクしておりますが、その中から暗渠排水事業について質問をさせていただきます。 言うまでもありませんが、暗渠排水事業は、我が国の農業におきまして、土地の生産力ですとか作物の品質を高めるために欠かすことはできません。この事業自体は、農業基盤整備事業としまして、その規模によって、国直轄で行うもののほか、都道府県あるいは団体営農による補助事業で行われていますけれども、現在、全国の経営耕地面積約四百九十万五千ヘクタールのうち、暗渠排水を必要とされている面積はどの程度と把握されているのか、まずお伺いします。 松浦説明員 お答えをいたします。 農地の暗渠排水につきましては、土壌中の過剰水を排除いたすほか、地下水位をコントロールするという機能がございます。それで、圃場におきまして、水稲ばかりでなく畑の作物でございますけれども、広く栽培できるようにするために重要な役割を果たしておるのは、先生御指摘のとおりでございます。 御質問の暗渠排水を必要とする面積でございますけれども、暗渠排水の目的が、湿田を乾田化したり、それから農作業の機械の作業性を向上させる、さらには作物の生育を良好にする、いろいろ多岐にわたっておるわけでございます。加えまして、水田を畑として利用するかどうかというようなことによりまして変わってくるため、一概に必要な面積ということを申し上げることはできないのではないかと思います。 しかしながら、それではどのぐらいの量をやっておるかということにつきましては、過去五カ年でございますけれども、平成四年から八年までにつきましての暗渠排水の実績でございますけれども、全国で約九万五千ヘクタールという面積がございます。 丸谷佳織 では、暗渠排水事業は一ヘクタール当たりどのくらいの事業費が必要になってくるのか、お伺いします。当然、用いる資材ですとかその地域の土壌などによりまして、こちらも一概には言えないと思うのですけれども、ごく平均的で結構ですのでお願いします。 また、あわせまして、一度施工しますと何年ほどもつものなのか、耐用年数もお伺いします。 松浦説明員 まず、暗渠排水の一ヘクタール当たりの事業費でございますけれども、これは水田と畑がございまして、まず水田につきましては、全国平均で一ヘクタール当たり約百六十万円でございます。これは平成十年の事業の実績でございます。大体その程度とお考えいただければ結構かと思います。それから、畑につきましては、排水不良が生じているところを局部的に改良するという機能がございますので、畑につきましてはちょっとこれは一言で申し上げにくいことはありますけれども、水田につきましては今申し上げたとおりでございます。 それから、もう一つの御質問のおおむねの耐用年数ということでございますけれども、暗渠排水の資材につきましては、これは合成樹脂の管とか素焼きの土管というようなものがございますけれども、一般論的に申し上げれば、耐用年数は基本的には三十年程度ということかと考えておるところでございます。 丸谷佳織 先ほどお答えいただきました、暗渠排水が施されている面積が約九万五千ヘクタール、一ヘクタール当たりの事業費、水田においては百六十万円、そして耐用年数が約三十年という数を組み合わせていきますと、単年度どの程度の予算が必要になってくるか、概算的にでもわかってくるわけなんですけれども、平成十一年度予算案の中で、このようなサイクルで編成され、農業を営む方々の期待にこたえられるようになっているのかどうかはいかがですか。 松浦説明員 先ほど申し上げましたように、暗渠排水につきましては、水田の汎用化等非常に重要な機能があるわけでございます。 そういう意味におきまして、できるだけ地元の御要望に対応できるように予算等やっておるところでございますけれども、一概に、すべての要望をクリアしているかどうかにつきましては、これはいろいろな形で対応しておるところでございますので、必ずしもそうではないということがあろうかと思います。 丸谷佳織 では次に、この暗渠排水の資材に関してお伺いをしていきたいと思います。 現在、埼玉県下で発生しておりますダイオキシンによる野菜汚染、本日の委員会の中でも取り上げていらっしゃいましたけれども、大変大きな社会問題となっております。暗渠排水用の資材の中核となります吸排水管の多くは、化学製品を原料とする合成樹脂管を利用しているんですが、合成樹脂管を利用するように農水省が勧められているというふうにお聞きしましたが、そのとおりなんでしょうか。 松浦説明員 暗渠排水用の資材につきましては、先生今御指摘のように、素焼きの土管とか合成樹脂等幾つか種類がございます。これらにつきましては、敷設の手間を含めた経済性なり、対象となる農地の土壌の条件なり、それから地域での使用の実績等を勘案して決定されるものでありまして、特段どちらをという指導はないと考えております。 丸谷佳織 では、現在使われています合成樹脂管と素焼き土管の割合、大体でいいのですが、わかりますか。 松浦説明員 ちょっと古い資料で恐縮でございますけれども、昭和五十九年度に実績を取りまとめたことがございます。この場合、全国で申し上げまして、合成樹脂管については、割合で申し上げて約五五%でございます。それから、素焼き土管とか陶管につきましては、約四一%でございます。それから、その他の資材による管につきましては約四%、このような数字になってございます。 丸谷佳織 申し上げるまでもないのですけれども、暗渠排水の歴史は大変に古くございまして、海外では紀元前の十八世紀から土を焼いた管を利用していましたし、また、我が国でも、竹から始まりまして、明治時代には土管が活用されるようになって、昭和四十年の前半まで食料の増産あるいは新興都市の建設に大きく貢献してきたわけです。その後、価格面ですとか工事の利便性などから、化学物質を使った製品が多く使われるようになっていったのですが、最近、ヨーロッパの各都市、特にスペインですとかオランダでは、再び昔ながらの素焼き土管を使用するようになってきたということなんです。 これは、全国農業土木技術佐賀県連盟の農林部次長の方がヨーロッパ農村整備の視察に行かれた際に、暗渠排水の現場をごらんになっての御発言からなんですけれども、スペインで、一九七〇年代から使用されてきた化学製品の暗渠を半永久的に土壌に埋めておくことの効果におきまして、その問題性が徐々に指摘されるようになってきた、現在はほとんどの地区で土管を使用するようになってきたというのを視察されて見てきたわけですね。同様に、農業の先進国と言われますオランダから、ヨーロッパにどんどん普及していきましたビニールパイプでの暗渠排水も今は影を潜めてまいりまして、化学的物質ではない生きた土管を疲労した土に戻し、土壌改良するために使う傾向が強くなっているというのがヨーロッパの現状だそうです。 こういったヨーロッパ各国の現状を政府の方では把握されていらっしゃいますでしょうか。また、把握されているとしたら、どのように分析をされていらっしゃるのか、お伺いします。 松浦説明員 暗渠排水につきましては、先ほど申し上げましたように、圃場の汎用化なり高度利用を図るために、土壌中の過剰水の排除等を行う、それで、資材につきましては、敷設の手間を含めた経済性、それから対象農地の土壌条件、さらには地域での使用実績等を勘案して決定されるものでございます。資材といたしましては、今申し上げました素焼き土管なり合成樹脂等がありますけれども、現在までのところ、これらにつきまして特段の問題というものは聞き及んでいないところでございます。 丸谷佳織 では、我が国におきましての話をしたいのですけれども、山口大学農学部の教授の方が講演の中で、「暗渠被覆材の有無と水みちの形成について」という講演をされたのですが、暗渠の材料は自然系の素材を利用すること、半永久的に埋設する暗渠は、環境ホルモンが時間経過に伴って溶出するようなおそれのあるものは避けること、そして、暗渠の被覆材は通水面積を広くする効果があるが、中長期的に見ると無被覆材の圃場と変わらなくなる等述べていらっしゃいます。 半永久的に埋設する暗渠から化学物資が溶出する可能性と、環境、平たく言いますと、農作物に与える影響について、ヨーロッパの状況は把握されていないようなのですけれども、では、我が国としましては、農作物に与える影響はないとお考えなのですか、改めてお伺いします。 松浦説明員 先生が今御指摘の点につきまして、私、つまびらかに存じておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、素焼き土管、合成樹脂、いろいろな材料が使われておりますけれども、現在までのところ、これらにつきまして特段の問題ということは聞き及んでおりませんので、御理解をいただきたいと思います。 丸谷佳織 では、仮に農作物に影響はないという結論が出たとしましても、耐用年数が切れ、再施工する際に、その廃棄処分等をめぐって新たな環境問題が生じてくると予想されますが、この点についてはいかがですか。 松浦説明員 これらの敷設いたしました暗渠管につきましては、焼却ということはしておりませんで、埋め殺し、そのままにした状態で土の中に戻すと聞いております。 丸谷佳織 埋めたままにしておくということですから、本当に半永久的という言葉がぴったりだとは思うのですけれども、農地に化学肥料ですとかあるいは農薬が使われて、自然の堆肥が土に還元されなくなっていった結果、現在、土が疲労しだんだん弱っていく農地に対しまして、化学物質ではなく、土を焼成した土管を使って土地改良に努めていくという視点も非常に大切ではないか、このように私は思います。このことが、ひいては、私たちが安全な農作物を食するということにもつながっていくのではないかと思いますが、環境庁長官はいかがお考えですか。 遠藤(保)政府委員 まず、私どもの方で持っておりますデータにつきましても、農水省のものを補足したいと思います。 まず、ヨーロッパにおきまして、暗渠排水管として用いられておる、先生御指摘のポリ塩化ビニールなんかでございますけれども、これによりまして公共用水域の汚染が問題となったという報告は、ちょっと私ども受けておりません。これは、農水省の先ほどの答弁に補足しておきたいと思います。 それで、私どもの関連といたしまして、今先生の御指摘の点は、やはり、農業というものが自然を循環利用したものである、それに即した素材等を極力使え、そういう形で自然に優しい農業の展開を図るべきではないか、こういう御指摘ではないかと思います。 やはり原則はそうであろうと思います。ただ、その場合に、コストの問題とか、あるいは農地の管理の問題とか、あるいは水の効率的な利用の問題とか、いろいろ他の要素も絡んでくると思います。そういうものを総合勘案していろいろ利便性の高い資材等も使われていくものである、こう思います。ただ、そこはやはりバランスの問題で考えていかれることでないかと思っております。 ただ、先生御懸念のポリ塩化ビニールなんかの合成樹脂を使いました暗渠排水管の使用につきましては、我が国においても、現在まで公共用水域が汚染されたというような事例は報告されておりません。したがいまして、私どもとしては、そういう点も踏まえながら、要するに自然の循環なのか、あるいは利便性なのかということは、農業者の判断でいろいろ対応されていかれるものではないかと思っております。 丸谷佳織 きょう質問させていただきました背景は、ただの予想ですとか憶測で質問させていただいているわけではございませんで、先ほど申しましたように、実際にヨーロッパの方の農村地域の農業資材を視察された方のお話をお伺いし、あるいは、インターネットでもヨーロッパの方のウエブページを実際に見まして、どのような農業資材を使っているのか、あるいは、どのような大学で農業資材と環境問題について研究をされているのか、それを調べまして、例えば、オーストラリアの大学が出している本を読んだり、あるいは、ニューサウスウェールズの漁場の方たちの研究状況を読んで質問させていただいているわけなのです。ですから、まるっきり根拠がないということではないのです。 汚染は報告されていないと今答弁いただいたわけなのですけれども、実際に、暗渠排水について、その調査研究をされての結果をおっしゃっていただいたわけですか。 遠藤(保)政府委員 私どもの方は、調査をいたしますのは、河川とかいう公共用水域におきましていろいろ有害物質が存在しているかどうかということの調査を行うという任務を持っております。 それで、具体的に言いますと、暗渠排水管の一つの資材であるポリ塩化ビニールの原料であります塩化ビニールモノマー、これにつきまして過去に調査したことがございます、昭和五十年でございますけれども。それは、一リッター当たり一万分の一ミリグラムでございました。それで、アメリカの飲料水の基準は千分の二ミリグラムでございますので、それの二十分の一であった、こういうデータも持っております。 いずれにしましても、先生今御指摘になりましたような外国のデータ等につきましては、私どもも収集いたしまして、あるいは先生からもいろいろ御提供いただきまして、いろいろ私どもの知見を持っている人間の間で研究、検討はさせてみたいと思っております。 丸谷佳織 では、最後に、農水省にお願いなのですけれども、来年度から、内分泌攪乱物質が農水産物に与える影響を調査されていくというふうにお伺いしているのですけれども、その中でも、きょう申し上げました農業資材関連としまして、暗渠排水についても研究をしていただきたいと要望しますが、いかがですか。 松浦説明員 適切に対処してまいりたいと考えております。 丸谷佳織 以上で質問を終わります。ありがとうございました。 |