衆議院・環境委員会質疑録
2000年4月28日

細川委員長
 丸谷佳織さん。

丸谷佳織
 公明党・改革クラブを代表しまして、丸谷佳織が質問させていただきます。
 私は、政府提案の循環型社会形成推進基本法案に賛成する立場から、きょうは、改めてこの法案の目指すところを明らかにしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ここ数年の間、二十一世紀ですとかあるいは新世紀という言葉がいろいろなところで使われるようになりまして、その言葉を聞くたびに、新たな千年紀に向けての私たちの期待の大きさを実感するわけなんですけれども、その中の一つに、今は、やはり地球規模の問題であります環境問題を解決していきたい、いこうとする期待というのはかなり大きいものがあるのではないかというふうに思うわけです。
 二十世紀を総括してみますと、物質的な豊かさを求め、そしてより便利な生活を目指していく中で、大量生産、大量消費という経済活動を継続させていきますことでその目標を達成してきたという経過があると思います。これは、もちろん我が国のみならず世界各国に共通した姿であるというふうに思うわけなんですけれども、その結果としまして、地球規模での環境破壊につながってきたということを考えますと、今までどおりの経済活動を続けていては環境負荷を低減させることはできないであろうと思うのは当然のことだと思います。
 まず、今法案の基本の前提としまして、こういった現代文明の発展と環境の関係について、環境白書の方でも述べられているわけなんですけれども、こういった白書の考え方を踏まえまして、環境庁長官御自身の文明の発展と環境についての哲学からまずお聞かせ願いたいと思います。

清水国務大臣
 先生御指摘のように、現代文明は、科学技術の発展あるいは飛躍的な経済発展によりまして、私たちに大変な豊かさ、経済的な豊かさだけはもたらしてくれましたけれども、それに伴いまして、環境に大きな負荷を与えてまいりました。
 中でも、廃棄物の発生量の増大あるいは最終処分場の逼迫、ダイオキシン問題などは社会問題化しておりまして、この廃棄物・リサイクルの問題はまさに待ったなしの状況になっているわけでございます。さらに、今先生も御指摘なさいましたけれども、地球温暖化問題といったような問題は、今や人類が築き上げてまいりました文明とそれを支える生存基盤をも脅かすような状況になっておるわけでございまして、次の世代への影響まで懸念されるという状況になっているわけでございます。
 こうした我が国が直面しております国内外の環境問題は、いずれも、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会システムだとか私たちのライフスタイルのあり方に根差しているわけでございまして、その根本的な解決のためには、社会全体のあり方を変えていかなきゃいけないのではないかというふうに思っているわけでございます。経済成長と環境負荷の増大の関係を断ち切って、そして、環境への負荷の少ない循環型の社会をつくっていくということがどうしても必要になってきているというふうに認識しているわけでございます。
 こうして、我が国自身、今新しい千年紀を迎えて、循環型社会をつくろうという強い決意を持っていろいろ御審議いただいているわけでございますけれども、我が国が率先して、発展のあり得べきモデルを世界に示して、そして人類共有の生存基盤であります有限な地球環境を将来にわたって維持していくために、世界に貢献していくことが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。

丸谷佳織
 まさしく今世紀中に、この循環型社会形成推進基本法が我が国で今審議をされて成立の方向に向かっているということは非常に望ましいことでありますし、細かな法律として、計画ですとかいろいろな面で触れられて、非常に細部にわたる質疑等も今まで行われてきたわけなんですけれども、我が国の環境政策がどこに向かっていくのかというのは、環境庁長官、環境大臣にこれからなられるわけですけれども、環境と今までの生産活動に対する哲学がなければ、政治に哲学がなければ、幾ら詳細なことが決まっていてもそこはうまくいかないというような思いから、今の質問をさせていただいたわけなんです。
 現在の私たちの生活を物質的に豊かにしてきたもの、これは今まで申し上げましたように、大量生産と大量消費であったということは間違いないわけですし、それにつきまして、単純によしあしを言うことはできないというふうに私は思っています。しかしながら、環境に与えてきたあしき面を考えますと、今までの大量生産、消費そして廃棄という一方通行の構造を根本的に見直していく必要がある。そして、天然資源の消費を抑制しまして、健全な物質循環の輪ができるような社会に転換していく必要がある。そのためには、大きな社会改革が必要になってくるわけですし、同時に、行動計画を示していく必要性も大きいのだというふうに思います。
 この循環型社会形成推進基本法では、廃棄物そしてリサイクル対策を一体化しまして、計画的にまた総合的に推進を図るために、環境省が責任を持ってその計画案を作成し、閣議決定を行うというふうにされています。また、計画の具体的な手段ですとか指針については、中央環境審議会が意見を述べ、さらには計画の策定期日を決め、おおむね五年ごとに見直していくということが明記されているわけなんですけれども、環境庁長官は、この循環型社会形成推進基本法、基本計画を実りあるものにしていくためにどのような事項を盛り込んでいきたいとお考えになっているのか、この点をお伺いします。

清水国務大臣
 この循環型社会形成推進基本計画の内容につきましては、法の第十五条第二項におきまして、循環型社会の形成に関する施策の基本方針、それから循環型社会の形成に関し政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策、それからさらに、その他循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための必要事項と規定しているわけでございます。
 法案は、今先生がおっしゃいましたように、環境大臣が、中央環境審議会が意見を述べる指針に即して、かつ同審議会の意見を聞きながら基本計画の案を策定し、そして閣議決定を求めることになっている。したがいまして、この計画の具体的内容は、実際、中央環境審議会の御意見を伺ってからということになるわけではございますけれども、今環境庁として考えていることを申しますれば、循環型社会の形成に関する施策の基本方針ということにつきましては、まず、我が国が目指す循環型社会のイメージ、あるいは関係個別法及び個別施策との総合的、有機的な連携の基本的な方向、それから循環資源の発生、循環的な利用及び処分の目標量、これも随分問題になっておりますけれども、こういったことを明らかにしたいと思います。
 また、循環型社会の形成に関し政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策、二番目の問題でございますが、ここでは、国、地方公共団体、事業者、国民が果たすべきそれぞれの役割、そしてまた主要な循環資源ごとの個別の施策、施設整備の基本的な方針、国が率先して実行しようとする行動、こういったことを明らかにしていきたい。
 また、その他の循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための必要事項ということに関しましては、計画のフォローアップのあり方でありますとか、関連施策との有機的連携の確保のための留意事項などを明らかにしていけたらというふうに考えているところでございます。

丸谷佳織
 そういった枠組みを設けていきますことで、実効力のある計画を策定し、策定の責任を負う環境省の役割というのは極めて重要になってくるわけですから、ぜひ、今環境庁長官がおっしゃいましたような事項を盛り込んでいただくように努力をしていただきたいというふうに思います。
 また、今までのように、廃棄物処理、そしてリサイクル対策というのが別々の省庁にまたがって行われていたことから、お互いが十分に機能をしていかないような対策では意味がなくなってしまうわけですから、環境省の強力なリーダーシップのもとに、循環型社会形成推進基本法に大きくかかわってきます個別法の達成状況を総合的に把握していくということが、本法案を二十一世紀に本当の意味で生かしていくという道にもつながってくるというふうに思います。
 この委員会の中でも、どの議員も、いろいろな角度から御質問をされているわけなんですけれども、私たち公明党・改革クラブも主張してきましたとおり、第三者機関的な立場であります中央環境審議会の役割、例えばその構成メンバー等、実効性のある体制で臨んでいただきたいというふうに思いますが、いま一度、環境庁長官、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。

清水国務大臣
 この第三者機関ということに関しましては、もう御党からも大変強い御要請があったということも伺っております。
 循環型社会の形成に関する施策、とりわけ循環型社会形成推進基本計画の策定に当たりまして、中央環境審議会の役割が、今言ったようなことで、第三者機関としての役割を果たしてもらおうということでは非常に重要になってきているわけでございます。
 本法案におきましては、基本計画の策定だけでなくて、見直しに際しましても、中央環境審議会の意見を聞くことが規定されておりまして、そうした際には、中央環境審議会から、廃棄物・リサイクル関係施策の効果あるいは達成状況についても広く御意見を賜るようにしたいというふうに考えているわけでございます。
 そういうわけで、中央環境審議会につきましては、基本計画に関しまして、特別の部会を設置するというようなことも必要ではないかというふうに考えているわけでございます。また、委員の人選でございますけれども、環境基本法の規定を踏まえまして、環境の保全に関する学識経験を有する者の中から環境大臣が任命するということになっているわけでございますけれども、そういう意味では、できるだけその人選については十分意を用いてまいりたいというふうに考えております。

丸谷佳織
 ありがとうございました。
 こういった個別法も多省庁にわたってきているわけなんですけれども、環境問題、とりわけ地球規模的な環境問題ともなりますと、社会のあらゆる分野が公正な役割を果たしていき、総力を挙げて取り組んでいく必要があるというふうに思っておりますし、本法案の中にも、そうした観点から、国、地方公共団体、そして事業者、国民の責務というのが明確化されているんだろうというふうに思います。
 国民一人一人の認識、そして役割というのも重要だと思いますし、一生懸命環境問題改善に取り組んでいらっしゃるNPO団体の方も多くいらっしゃいますが、個人も大事なんですけれども、やはり何といっても、社会経済活動の中で大きな比重を占めてきます事業者の役割というのは大きいものがあるということは否めません。
 とりわけ、排出者としての責任、いわゆる拡大生産者責任というのをきちんと位置づけていくというのが今回の法案のポイントになってくると認識しています。
 新聞等を見ていますと、これは報道の自由ですからいろいろな主張がそれぞれあるというふうに思うのですけれども、例えば、最近の主張の中では、社説の中にありましたけれども、循環型社会形成推進基本法案が国会へ提出された、我が国の廃棄物対策の大きな欠陥は、拡大生産者責任と排出者責任が抜け落ちていることだ、生産、消費、廃棄にまたがる三つの大量にブレーキがかからなかった原因はここにある、環境庁の方は二つともこの法案に盛り込まれたと説明するが、とりわけ前者の規定があいまいであるというような趣旨の記事も見受けられるわけです。
 私どもとしましては、この法案というのは、循環型社会元年の出発点として非常に意義深いものというふうに位置づけているのですけれども、こういった指摘について、政務次官はどうお考えになるか、また、反論等がございましたらぜひお聞かせ願いたいと思います。

柳本政務次官
 廃棄物の処理に伴う環境負荷はできる限り低減されることが必要であります。その廃棄物の排出者が責任を負うという排出者責任、みずから生産する製品について、生産者が、生産、使用段階だけでなく、使用後廃棄物となった後まで一定の責任を負うという拡大生産者責任の考え方は、循環型社会の構築のために極めて重要な視点であります。
 このため、循環型社会形成推進基本法案におきまして、これらの考え方を責務規定及び国が講ずる措置のいずれにも明確に位置づけております。
 例えば、本法案におきまして、廃棄物などの排出事業者に対して、その排出したものをみずからの責任において適切に処理すべき責務を明確化し、第十一条、また、国として、排出事業者に対する規制などの適切な措置を講ずべきこと、第十八条第一項、国として不法投棄等により環境保全上の支障が生じる場合、排出事業者等に対する原状回復を求める措置を講ずること、第二十二条を規定しております。
 また、みずから生産する製品について、生産者が、生産、使用段階だけでなく、使用後廃棄物となった後まで一定の責任を負うという拡大生産者責任の考え方は、循環型社会の形成のために重要な視点であります。
 本法案では、物品の耐久性の向上やリサイクルの容易化等のための製品の設計、材質の工夫、これは二十条の第一項、また十八条の第三項は、使用済み製品等の引き取り、引き渡しルートの整備及びリサイクルの実施、また二十条の第二項におきまして、物品等に関する情報提供といった拡大生産者責任の措置を、個々の物品の性状や処理、リサイクルの実態等を考慮しつつ、また関係者の適切な役割分担のもとで実現していくという考え方をきちっと明確に位置づけているところでございます。

丸谷佳織
 きちっと法案の中で例を挙げていただいて、反論していただきました。例えば、排出者が廃棄物等を適正に処理をしようとしましても、もともとの製品が有害物質等を含んでいれば廃棄物の処理業者も困りますし、そしてリサイクルしにくい構造になっていたりすればリサイクル業者も引き取ることはできません。こういったことになりますと、排出者の責任というのは果たせなくなってきてしまう。したがって、製品の設計の段階で有害物質の使用を少なくしたりとか、あるいはリサイクルしやすい構造にするといった工夫が製造者に求められてくることになってきます。これが設計段階での拡大生産者責任というふうにいうんだと思うんですが、基本法案の中では、第二十条第一項で規定をされています。
 また、製造者の使用済み製品の引き取り義務も拡大生産者責任の大きな要素です。私は、使用済み製品の引き取り、そしてリサイクル義務というのを製造者に一律に課するべきだという意見にはくみしません。なぜならば、例えば、自動車のような工業製品については製造者に引き取り義務を課すことが有効で適切であろうというふうには思いますけれども、卑近な例ですが、生ごみについて、それを生産しました個々の農家ですとか、あるいは農業者に回収を義務づけることというのは無理な話ですし、それから、古紙につきましては、雑誌社それから新聞社ごとに分別して回収するということになれば、これは非現実的でありまして、不可能な話になってくるからなわけなんですけれども、製品によっては、各社共同して行っていく等の工夫というのももちろん必要になってくる場合もあるわけです。
 その際に、排出者が責任を果たしていくという上において、あらかじめ製造者がそのコストを製品に上乗せする方法を採用していくということが、製造者に引き取り義務を課していくためにも有効な場合もあるというふうに考えていますが、製造者への引き取りそしてリサイクル義務を課することが適切な分野としまして、環境庁は、どのような具体的な製品を考えていらっしゃるか、また、その検討というのはいつから始めていかれる予定か、お伺いします。

柳本政務次官
 個別品目ごとの生産者の引き取り、リサイクルの責任につきましては、拡大生産者責任を規定する第十八条第三項におきまして、当該循環資源の処分の技術上の困難性、循環的な利用の可能性等を勘案し、関係者の適切な役割分担のもとに、当該製品等に係る設計及び原材料の選択、当該製品等の収集等の観点から、その事業者の果たすべき役割が重要であると認められるものを引き取り、リサイクル責任の対象と規定しているところでございます。
 このような考え方の対象となる物品といたしましては、現在、容器包装リサイクル法によりまして、ガラス瓶、ペットボトル等のプラスチック製容器包装、紙製容器包装が、また、家電リサイクル法によりまして、エアコン、テレビ、電気冷蔵庫、電気洗濯機があり、さらに、今国会に提出されております再生資源利用促進法改正案により設けられる指定再資源化製品制度の対象といたしまして、パソコン、ニッカド電池が予定されております。
 以上のほか、どのような製品を対象とするかについては、今後、基本計画の策定や見直しの都度、個別のリサイクル状況についてレビューする具体的な制度構築が必要となる場合に、本法案に示されました考え方に従って、個別に検討されるべきものと認識をしております。

丸谷佳織
 ありがとうございました。
 今まで別々の法体系のもとにありました廃棄物対策、そしてリサイクルというのを一体的に扱いまして、途切れのない循環をつくっていこうというのが今回の循環型社会形成推進基本法であるというふうに認識しておりますし、この法案は、到達点というよりは、循環型社会の出発点になってくる法案だというふうに思いますので、どうか、私たちの党も環境問題、頑張ってまいりますが、政府の方も、この循環型社会形成推進基本法が本当に実効性のあるものとなるように、個別法の整備などを進めていっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。