![]()
衆議院・外務委員会質疑録 |
1998年6月1日 |
|
丸谷佳織 丸谷佳織でございます。よろしくお願いいたします。 五月十一日にインドが地下核実験を実施しまして、当委員会の方でも再三議論がなされましたけれども、残念ながら、懸念していたように五月二十八日午後、パキスタンが地下核実験を実施したという中で、こういった形での当外務委員会の実施というのは非常に意義深いものだというふうに思ってきょうは参加させていただいておりますし、またこの討論、議論、質疑応答の中で、ある程度日本が今何をすべきなのか、あるいはどういつだ方向に向かって今回を乗り越えていくのかという道筋が少しでも明らかになってくれば、それはまた大変意義深いものだなというふうに思っ ております。 まず確認をさせていただきたいわけなのですけれども、我が国としまして、世界の安全保障また平和を考えたときに、私たちの国が目指している方向は、核の全廃という方向でよろしいでしょうか。それとも、核を持つ国というのは安全な核を、管理体制をひいてそのほか持たない国は核の開発、保持をしないで既存の核保有国の傘の下で安全保障を図るというような方向もあるかと思うのですけれども、我が国の姿勢をまず確認させていただきたいと思います。 小渕国務大臣 先ほど御答弁申し上げておりますように、究極の願いは、この全世界に核を持つて他国を制圧したり自国の安全保障を図っていくということは、これはあってはならないことだろうと思います。 しかし、現実的には、アメリカの核開発から始まりまして、旧ソ連の開発が行われ、二大大国が核を持つことによって核の抑止力という形で、この恐れの中での平和というものが世界の中で存在してきた、それが拡散してきて五大国になり、今七つの国になってきておるということでございます。 したがって、これまでの状況の中で核の五大国もそれぞれ、特に二大国が核の削減について、なかなか難しい話し合いでありましたが、両国の最高責任者の話し合いによって幾つかの協定を結んで、今その努力を傾注しておるところでございますから、そうした現実の姿の中で核を削減していくという形で一つの方向性が出たかと思ったこのときに当たって、二つの国が核実験を行ったというところで、今世界の中で一体これからどう対応したらいいかという大変な大きな疑問符がつけられておるということであります。我が日本としては、当然のことながら究極の目標と、そして同時に、現実に我が国としてできることを一つ一つ着実に努力をしていくということの構えでいかなければならない、このように考えております。 丸谷佳織 究極のその目的、核の全廃に向かって、本当にこれは究極で非常に崇高な目標だというふうに思うわけなのですけれども、核を全廃するというこの理想を真ん中にどんと掲げて、しかも、短期的な取り組み、中期的な取り組みそして長期的な取り組みといった、重層的な軍縮の地道な貢献で実績を上げていくように努力することが、日本にできる大変重要な軍縮外交なのだろうというふうに思います。 そこで、時間がございませんので、短期的な取り組みの一つとして提案させていただきたいのですけれども、小渕外務大臣は、先ほどからいろいろな議員の方が本当に褒めたたえていらっしゃるように、私も個人的なお話をさせていただいたことはございませんけれども、大変人間味にあふれる方だというお話を聞いております。ですから、大臣のすばらしい点を生かして、本当に真の対話をインドとパキスタンの首相レベルで呼びかけていただきたいというふうに思うわけです。インドとパキスタンの対話の仲介をぜひしていただきたいというふうに思います。 なぜなら、インドの地下核実験のときのバジパイ首相のコメントもそうでしたし、またパキスタンのシャリフ首相のテレビ演説のコメントを見ていましても、やはり実験の根底には恐怖の均衡というものがあるのだろうと思えてならないわけです。やはり、恐怖という人間の感情を揺り動かす一番有効なものが、理論の上に真の人間味あふれる対話なんじゃないだろうか、このように思うわけなんですけれども、大臣、いかがでしょうか。 小渕国務大臣 インド、パキスタン、それぞれの事情でこういつた事態に立ち至っていることはまことに残念であります。あらゆる機会をとらえまして、それぞれの責任ある、特に政治家同士の間の気持ちをお互いとらえられるように努力をしていきたいと思っております。 丸谷佳織 どうもありがとうございます。 私は、戦後生まれの世代でございまして、実際に戦争がどういつだものなのかわかりません。いろいろな歴史の教科書を見たり、あるいはうちの祖父に話を聞いたりする中で、戦争はこういつた悲惨なものなんだというのは聞いて、伝聞でわかっているつもりなわけなんですけれども、これから二十一世紀に生きていく子供たちも、そういった形で戦争の悲惨さというのを学んでいくんだろうなというふうに思います。 ただ、私自身が実際に歴史の教科書等を見て、こういう戦争の歴史があったんだ、背景があったんだということは字面ではわかるのですが、何で戦争をするんだろうといったところまでは、実際に、なぜなんだろうというその不思議さしか残らなかったこともあります。しかも今、一九九八年のこういつた事態を踏まえまして、二十一世紀に生きていく子供たちが歴史の教科書で学んだときに、一九九八年の時代というのはもう米ソの冷戦も終結をしていて、一つ人類は学んだであろうに、なぜか一九九八年にインドとパキスタンがまた同じような構図をつくってしまった、どうして二十世紀の人たちはこういうことをしたんだろうかと非常に不思議な歴史の一つとして見られるのじゃないか、また、これは二十世紀に生きている私たちにとっても非常に恥ずかしい歴史になっていくのではないだろうか、そんなふうにも思うわけでございます。 その中で、ぜひ日本の子供たちに、この危機の中で、新たな冷戦構造と言ってもいいかと思うのですけれども、その中で日本の当時小渕外務大臣はこのように尽力をされて、核全廃に向けて一歩新たな前進の対話を深めたということが、ぜひ歴史の教科書に載るぐらいに頑張っていただきたいというふうに思いますし、また、今ここで新たな対話を進めていくこと、また非核地帯条約等を重要視していくことが非常に必要になってくるのではないかというふうに発言をさせていただいて、私の発言を終わりたいと思いますが、最後に、もし小渕外務大臣、言いただけたらと思います。 小渕国務大臣 言うまでもありませんが、核戦争が起これば人類は滅亡してしまうわけでございますから、今のように後世の人に語り伝えるという人までみんないなくなってしまうわけですから、そういうことが起こる危険性を常にはらんでいるこの問題については、本当に真剣に取り組んで、いろいろな知恵を絞り、また、きょういろいろいただいた御提案等もぜひこれを参考にさせていただきまして、私としてでき得る限りの努力を傾注していきたいと思っております。 丸谷佳織 ありがとうございました。 |