衆議院・外務委員会質疑録
1997年4月16日

質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丸谷佳織君。

丸谷佳織
 新進党の丸谷佳織と申します。外務委員会での質問は初めてとなりまして、何かと不手際あるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 地中海漁業理事会協定の締結の承認におきましては、国際的な漁業の資源管理を通じて日本の漁業の安定そして発展につながるものとし、賛成の立場から質問をさせていただきます。
 本協定は、昭和三十八年、一九六三年及び昭和五十一年、一九七六年の地中海漁業一般理事会において改正されていますが、日本政府は以前からこの理事会にオブザーバーとして参加していたと伺っております。協定が改正されましてからかなりの年月を経まして今我が国が加盟するに至る理由そして加盟することでどのような利点があるのか、お伺いします。

野上政府委員 
 ただいま先生御指摘のように、本件協定は六三年に改正されたものでございますけれども、御承知のように、従来我が国といたしましては、地中海地域におけるマグロ類の資源保存に関しましては、大西洋まぐろ類保存国際委員会、ICCAT、通称アイキャットと我々呼んでおりますけれども、ICCATを通じてその資源保存に協力してまいったわけでございます。しかるところ、地中海理事会の方は、従来マグロ類に関しては何らの保存措置というものをとっていなかったわけでございますけれども、一九九五年の五月に、マグロ数に関しても保存協定をつくる、保存勧告をするという保存措置を採択したわけでございます。そういった観点から、我が国といたしましても、やはり地中海漁業一般理事会に参画して、我が国にとっての主要な関心であるマグロ類の資源保存等について地中海漁業一般理事会においても協力を図っていくということを目的として、今般この協定の締結について国会の御承認を求めているということでございます。
 その利点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、我が方といたしましては、従来ICCATを通じてやっておりました。ICCATの加盟国が二十四カ国、他方この地中海漁業一般理事会の方は二十一カ国の加盟、ICCATで地中海の方に入っているのは四カ国でございます。そういった点も考えまして、やはり地中海の方でマグロについてICCATのとっておりますような保存措置と同様の保存措置を勧告しておりますので、我が国としても地中海一般理事会の方に入って、こういった形での、ICCATで従来行っているような協力をさらにこちらの側でも行っていく、それをもってしてマグロ類の資源の保存を図る、それから我が国の漁業の利益の増進といった点を図っていくということを考えております。こういった点が利点ということでございます。

丸谷佳織
 今お話がありましたICCAT、大西洋まぐろ類保存国際委員会を初めとしまして、やはりマグロは我が国の食文化におきまして長い間大変重要な食料資源となってきております。また主要国際機関、日本が加盟しています漁業に関します主要国際機関には、ICCATのほかに、インド洋まぐろ類委員会、全米熱帯まぐろ類委員会、みなみまぐろ保存委員会などがあるのですけれども、今回五番目の協定になるわけなんですが、今回の協定の既存締約国、平成八年の十月現在で二十一カ国に上っていますが、本協定の対象水域であります地中海及び黒海の沿岸国で未加盟国は今何カ国あるのでしょうか。
 この協定の目的であります、地中海の海洋生物資源の保存と管理及び最適利用の促進を行うという観点からしましても、本来であれば積極的に参加すべきというふうに思われますが、未加盟国は協定に参加しない何らかの問題があるのかどうか、お伺いします。

野上政府委員 
 未加盟国、沿岸国でこの協定の対象になっております地中海、黒海をも含みますけれども、この沿岸国で未加盟国は、非締約国は、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、グルジア、ウクライナ、ロシアの五カ国でございます。
 非加盟国のこの地域における漁獲高というのは、全体のこの地域の水産物の漁獲高の二・六%程度ということでございます。もちろんこの二・六%の中には日本の漁獲高も入っておりますので、沿岸国によるものはもうちょっと小さくなると思いますけれども、そういった意味で、沿岸国で非加盟国である各国がこの地域で行っている漁獲量というのは極めて小さいものであって、そういった観点からしますと、非加盟国の問題というのは必ずしも大きな問題ではないかと思っております。

丸谷佳織
 今非加盟国が五カ国ありまして、沿岸国に未加盟国の五カ国があることで、漁業実績は低いということから考えましても不都合な点は生じないというふうに受け取ったのですけれども、積極的に参加するべきだと思われますか、この五カ国が。教えてください。

野上政府委員 
 御承知のように、この地域におきます我が国の関心はマグロでございますけれども、マグロにつきましては、御承知のように、高度回遊性といいますか非常に広い地域で漁獲が行われますし、それからこの地域のマグロ資源については極めて高度利用がなされておりますので、そういった意味から、非加盟国の漁獲高は小さいわけですけれども、我が国の関心であるマグロの資源保存という観点から、我が国としてもこの地中海漁業一般理事会に参加して、こういった非加盟国に対してもやはり資源保存を求めるように地中海理事会の場で活動していくことが、日本の利益を確保することになると考えております。

丸谷佳織
 実際には黒海、本協定の対象水域に含まれています黒海の海岸線の約三分の一が本協定の非加盟国であります、今挙げられましたロシア、そしてウクライナ、グルジアに占められていることを考え合わせますと、本協定の実効のある運用の面で妨げになっているのではないかという危惧がされます。
 協定の第三条の「任務」の項によりますと、理事会は、海洋生物資源の開発、保存、そして合理的な管理及び最適利用を促進することを目的とし、この目的のために、海洋生物資源の保存及び合理的な管理のための措置を作成し及び勧告すること等の任務及び責任を有するというふうにあるのですが、今後協定に参加する方向の働きかけというのは、今おっしゃったようにされていくおつもりだということで確認させていただいてよろしいですか。

野上政府委員 
 今先生御指摘のように、黒海もこの対象に含まれているわけですけれども、我が国は、黒海ではマグロの漁獲は行っておりません。しかし、先ほど申し上げましたように、マグロが高度回遊性の魚であるということ、それから黒海が対象になっておりますのは、FAOの統計がそもそも地中海、黒海を一括して統計をとっているということから、統計の一貫性からこの理事会においても黒海を対象にしているという事情がございます。
 そういった点はございますけれども、先ほど申し上げましたように、やはりマグロ類の資源保存という非常に重要な問題でございますので、今後、地中海漁業一般理事会に参画して、こういった国にも参画ないしはその資源保存を求めていくということをやっていくというつもりでございます。

丸谷佳織
 では、本協定対象水域の黒海での漁獲量は少ないというふうに聞いていますが、その漁獲実績というのは、改めてお伺いしたいのですけれども、正確な数字というのは出てきますでしょうか。

野上政府委員 
 我が国につきましては、実績はございません。その他の国による漁獲量は、およそ年間三十万トン程度であると思います。

丸谷佳織
 本協定は、現在二十一カ国が締約国になっておりまして、中には昨年の一月、エーゲ海に浮かぶ岩礁の所有権をめぐって軍事衝突の一歩手前まで行きましたトルコとギリシャの両国も含まれていますし、またEUの主要国でありますフランス、スペイン、イタリアも加盟国になっております。
 経済的に相互の利益を守りつつ、また環境問題、そして各国の政治的な背景も踏まえまして、それぞれの国が発展し、ひいては豊かで平和な国際社会の創造を目的とするという一面もこの協定にはあると思いますが、現在、EU諸国は、通貨統合、そしてNATOの東方への拡大という大きな政治問題を抱えております。二期目のクリントン大統領は、NATOの東方拡大を米中関係と並びまして外交政策の主柱に据えて、七月に行われますNATOの首脳会議で中・東欧の加盟対象国を選び、一九九九年までに拡大を実現する方針を明確にしている中、このNATOの加盟が有力視されています国は、ポーランド、チェコ、そしてハンガリー、また加盟希望国におきましては、スロバキア、スロベニア、ルーマニア、そしてアルバニア、マケドニア、エストニア、ラトビア、リトアニアと多数にわたるに至りまして、ロシアは、NATOの東方拡大の脅威を減らし、ヨーロッパの安全保障を担う大国としての立場を築いていくことに、今必死と言っても過言ではないというふうに思います。
 元米国務省の政策企画室長のピーター・ロトマン氏は、報道によりますと、NATO加盟とは、つまるところそれによって米軍による防衛の保障を得るということ、軍事的にも欧州駐留の米軍兵力は冷戦時の三分の二になり、西欧各国の国防費も削減されている、NATOは今やボスニア和平の維持などに専念しており、ロシアの軍事的脅威でないことは彼ら自身、ロシア自身がよく知っているというふうに話しておりますが、ソ連の崩壊後、空白になった東欧諸国の安全保障をヨーロッパの安全保障体制とどう結びつけていくか、大変重要な課題だと思います。
 チャーチルは一九四七年に、世界の安全保障のためにヨーロッパはいかなる国も排除しない統一体になるべきだという発言をしておりますが、池田外相、NATOの東方拡大をどうとらえていらっしゃるか、またロシアとNATOの関係がどのようになることが望ましいとお考えか、お聞かせください。

池田国務大臣 
 委員御指摘のとおり、ことしの
七月のNATOの首脳会議におきまして新規加盟国について決定をし、九九年からというふうになっておるわけでございますが、このNATOというのは、冷戦終えん後の国際的枠組み、とりわけヨーロッパ地域における安定を図る上で非常に大きな意義を持っておると思います。それは委員も御指摘になりました、経済面、政治面でのEUの果たす役割と並んで、安全保障面からのアプローチとして大切な役割を果たすものと認識している次第でございます。
 そして、もとより、東・中欧につきまして、今どういうふうな位置づけになるのかということが未確定の状態がずっと続いてきたわけでございますが、そこにいわゆるNATOの東方拡大ということで、ある程度の新しい秩序ができるということでございまして、そのことがヨーロッパの安定に資することを我々としても期待しております。
 ただ、一方におきまして、ロシアがこの拡大についてある種の心配といいましょうか、そういうことをしているというのは御承知のとおりでございますし、ロシアの立場からすればそれも理解できないことではございません。しかしながら、ロシア自身も、NATOの拡大のあり方によっては、これが決して自分に、自国に対する何らかの好ましくない影響を与えるものとはならないで済むという認識を持っていると考えます。
 そういったことで、これまでNATOとの間でいろいろ話し合いも行われましたし、先般のヘルシンキにおけるエリツィン大統領とクリントン大統領との間の話し合いで、一つの大まかな道筋といいましょうか、そういうものが見えてきたような気がいたします。
 そういったことで、拡大後のNATOとロシアとの間でも、そういった協調といいましょうか、協力までいかなくても協調の関係が保たれて、全体としてヨーロッパが安定した姿になるということは、冷戦後の国際的な枠組み全体が安定するという観点からも、評価し得るものと考える次第でございます。

丸谷佳織
 今お話が出ました、三月二十一日にヘルシンキで行われました米ロ首脳会談で、ロシアがNATOの新規加盟国に核兵器を配備しない、そしてNATO部隊を配置しない、軍事施設を新設しないと要求しまして、アメリカそしてロシアの東方拡大への認識の対立は認めつつ、NATOとロシアの協力関係を定める文書の制定で合意しているのですが、このNATO新規加盟国に核兵器を配備しないという決定は、唯一の被爆国であります我が国日本におきましても大変歓迎できるものだというふうに私は認識しております。
 我が国の核軍縮を進めようとする立場、そして国連の常任理事国になろうとする外交方針をより世界に明確にするために、ロシアの要求を米国が原則として受け入れたという状況を踏まえた上で、非核兵器国には核兵器を配備しない新機軸を打ち出すことが考えられますが、外相の見解をお聞かせください。

池田国務大臣 
 新規加盟国へ核兵器を配備しないという方針は確かに先般のヘルシンキ会談で確認されましたけれども、実は、その前に、昨年十二月のNATOの外相理事会においてそういった方針が打ち出されておったというふうに承知しております。これを新機軸と位置づけるかどうかでございますけれども、ともかくそういった方針は明らかにされております。
 これは結局、新規加盟国に対しましてもNATOとしての防衛義務は果たさなくてはいけないわけでございますが、それを果たしていく上において核兵器をそこに配備する必要性はないという、いわば軍事的な観点からの判断が一つあったのだと思います。それと、もう一つは、やはりロシアの立場なりロシアの懸念に対する配慮という側面もあったと思います。そういうことでございまして、いずれにいたしましても軍事的な必要性を中心とした観点からの判断というふうに我々は認識しております。
 それで、それを我が国の唯一の被爆国としての立場からどういうふうに見るかという点でございますが、現時点におきましては、やはり核戦力と通常戦力とを組み合わせたものが、日本も含めてでございますが、いろいろ戦争を防止するための枠組みの根底にはあるのだと思います。NATOもその基本は変わっていないんだと思います。
 だけれども、そういった前提の中でも、いろいろ軍事的な必要性その他の観点からいって、新規加盟国には核は配備しないというふうな方針が打ち出されていること、あるいはそのほかの面でも核軍縮の努力は行われているということはこれは当然のこととして、究極的には核兵器のない世界を目指して努力していくという我が国の立場からも、歓迎すべきことであるとは考えております。

丸谷佳織
 同じく米ロ首脳会談では、六月にデンバーで行われますサミットに関する話し合いもされました。これにはロシアも参加し、結局八カ国サミットというふうな決定がなされていますが、この首脳会談の経済問題討議に同席していますサマーズ米財務副長官は、報道によりますと、ロシアはサミットの全日程に参加し、記者会見や声明も八カ国でする、ただし経済問題のうち核となる幾つかの部分についてはこれまでどおり七カ国で話し合うというふうに述べております。
 一方、三月二十三日に、橋本総理は、事前にクリントン大統領に対して、開発、国際金融、国際経済についてはロシアを加えてはならないとの考えを伝えたことを明らかにした、また、日ロ間には北方領土の問題があるということをエリツィン大統領に伝えてくれるよう要請したと述べているという報道が載っています。
 そしてまた、四月十一日に、新聞は十二日なんですが、ロシアのシェルパを務めていますエフゲニー・ヤーシン無任所相が述べたところによりますと、ロシアは首脳によるすべての経済討議への参加を希望しているとし、エリツィン大統領が経済討議への全面参加を要求、日本政府と対立していることを明らかにしたという報道がなされています。
 この三つの報道を読みますと、クリントン大統領、そして橋本総理との間でロシアのサミット参加形態について若干の相違があるように思われるのですが、日米の見解の相違が実際にあるのかどうか、またロシアのサミット参加形態は具体的にどのような形になると思われるか、お伺いします。

池田国務大臣 
 御承知のとおり、ロシアはこれまでもいわゆるG7、先進国サミットに一定の限定はございますけれども、参加してまいりました。そういった意味で、G7とあわせてP8というような言われ方もしておったわけでございます。また、その参加の形態、つまりロシアが参加するテーマなりあるいは参加する場の数あるいは時間数、そういったこともだんだんと広がってきておったわけでございます。しかし、これまでは、原則としてこれはG7であって、ロシアが加わる場合はP8とするというふうな形になっておったわけでございます。
 今度のデンバーで開かれますサミットでどうなりますか、最終的な形はまだこれからシェルパの間で調整しなくてはいけないことになっておりますけれども、基本的な流れとしては、委員御指摘になりました先般のヘルシンキにおける米ロ首脳会談で話し合われた、その前には我が国の橋本総理も含めましてG7の各国の首脳にもいろいろ御相談といいましょうか、打ち合わせもあったわけでございます。そこで、どういう形になるか、まだ確定はしておりませんけれども、これからは、要するに一番最初から最後までロシアはデンバーにいる、そして、おっしゃいましたように最後の記者会見にも八カ国の首脳が同じ立場で出ていく、こういうことは確保されております。
 ただ、その中で、通貨であるとかあるいは金融あるいは開発といったような問題につきましては、ロシアの現状からいたしまして、やはりまだほかのG7の国々と一緒に協議することはどうな
のかな。それまでの準備、体制も必ずしも備わっていないということはロシア自身も十分認識しておるところでございまして、そういった点につきましては従来のG7で話をする、こういうことは基本的にロシアも含めて今の段階でも了解されているのだと思います。
 言ってみれば、原則と例外の転倒といいましょうか、形の上では、これまではG7が原則でそれにロシアが加わってP8になるということだったのですけれども、しかし実態が、だんだんロシアが参加する部分が多くなってきた。そうなれば、今度はむしろ原則の方を八カ国にして、ただ、通貨、開発等の経済の問題についてはロシアは参加せずに七カ国でやる、そういう形になっていくんだ、こう思います。
 そういった意味で、従来のG7の国の間では、日米はもとよりのこと他の国も含めまして、基本的な認識に相違は、そごはございませんし、それから、ロシアとの間でも基本的な認識は一致していると思います。報道はいろいろございますけれども、そういうことはございません。
 それから、北方領土との関係に言及されましたし、またそういったことも若干報道されている面もあるわけでございますけれども、我が国としては北方領土に関する立場はきちんとしておりますし、御承知のとおり東京宣言という基礎の上に立ちまして領土問題に取り組むということになっておるわけでございまして、このことと、サミットの枠内でどうするかということは、一応これは分けて考えておるわけでございますので、サミットの場で北方領土の問題について、何か関連文書にということは考えません。東京宣言という九三年に出された新しい基礎があるわけでございますから、その上に立ってロシアとの間でいろいろ解決を目指していく、こういうことでございます。
 それで、橋本総理からクリントン大統領に北方領土の問題について話があったという報道もございましたけれども、仮にそういうことがあったとしましても、これは、そこのところがサミットとリンクしているわけじゃなくて、我が国の立場はきちんとはっきりいたしまして、いろいろな場で、米ソが話し合う場合には機会があればその日本の立場を米国からも言ってもらうというか、米国も日本の立場はよくわかっているよというようなことをロシア側に伝えてもらうと、そういうふうな趣旨あるいはラインに乗ったものだというふうに御理解賜ればと思います。

丸谷佳織
 私も北海道出身なんですけれども、北方領土の問題というのは本当に北海道だけではなく、もちろん日本の問題としてまたこれからも考えていかなければならないと思いますし、総理が近く訪米されるということもありまして、今、デンバー・サミットに関する件に関しては重要な課題になってくると思うんですけれども、今回のこのデンバー・サミットがロシアを含んで本当に開催されるという大変意義のあるサミットになるに加えまして、北方領土に関する件を関連文書に盛り込む意義というか、大変大きくなってくるというふうに私は思います。今まで、九一年にはロンドン・サミット議長声明の中に含まれておりますし、九二年のミュンヘン・サミット政治宣言の中にも入って言及されております、北方領土の件に関しましては。それ以後は言及されていないんです。
 それで、今回、デンバー・サミットで関連文書に北方領土のことを盛り込むことの意義というのは大変大きいものがあるというふうに思うのですが、もう一度最後に、その件に関しまして外相の見解をお伺いしたいと思います。

池田国務大臣 
 確かにロンドン・サミットあるいはミュンヘン・サミットでそういったことで言及されておりますけれども、たしか法と正義に基づいて領土問題を解決し、日ロ関係を完全に正常化すべしということでございますね。それは当時のG7各国の共通の認識でございまして、それでその認識は今日も有効である、これは変わりないわけでございます。
 そして、先ほどもちょっと申しましたけれども、その後、九三年に至りましていわゆる東京宣言というのが日ロ間で出されまして、その中で、ロシアの方も領土の問題があるんだということをきちんと認め、その上に立って話し合いをしてこれを解決していこうということになっております。それで、その基礎の上に今この解決を図っていこう、そしてその領土問題を解決して完全に正常な関係を結ぼうということで日ロの間で話し合いを進めておるわけでございます。そういうことで私どもは進めていくべきものと、こう考えておる次第でございまして、先ほど、そういった新しいといいましょうか現在のその状況というものを考えれば、デンバー・サミットで新たに文書で、サミットの枠組みの中で新たに文書で宣言するということは必ずしも必要とは言えないのではないのかなと。むしろ、実態の方をどう進めていくかが大切なんだと思います。
 先ほど申しましたように、サミット参加国としてのロンドン、ミュンヘンで示された認識というものは現在も有効であるということは変わらないわけでございます。

丸谷佳織 
 ありがとうございました。以上で質問を終わります。