衆議院・外務委員会質疑録
1997年11月28日

丸谷佳織 
 新進党の丸谷佳織と申します。
 小渕外務大臣になられまして初めての質問をさせていただくわけなのですけれども、さきの通常国会で、前外務大臣には大変プロフェッショナルなお答えをいただきまして、随分鍛えていただいたと思うのですが、何せ一年生なもので、不手際もあると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、十一月の十日なのですけれども、外務委員会の視察で硫黄島の方に行かせていただきました。実際に戦争の残したつめ跡を見、また当時の状況を伺っていく中で、戦争の悲惨さと、また改めて平和の大切さというのを実感させていただいたというふうに思うわけなのですけれども、私自身は昭和四十年生まれでございまして、いわゆる戦争を知らない世代であります。
 この私たちの世代こそ、今後、二十一世紀を平和構築の百年にしていかなければならない、また、二度と戦争は起こしてはいけないということを伝えていく、また平和を構築していく世代であるというふうにも認識をしております。そのためには、平和を考え、構築し、また維持していくことが大切だと思いますし、平和は安全保障なしには実現できないというふうにも認識しております。
 本日は、その観点から、まず幾つか御質問させていただきたいと思います。
 質問通告とちょっと順番が違って申しわけないのですけれども、まず対人地雷の質問からさせていただきたいと思います。
 今国会の委員会質疑におきましても、何人もの議員の方が、対人地雷につきましては御質問をされているわけなのですけれども、私自身も、対人地雷の条約の署名の御決断をされた外務大臣に敬意を表する一人であります。
 本年四月二十二日の外務委員会で、オタワ・プロセスによる対人地雷全面禁止条約の署名について、前外務大臣は、我が国の安全保障上の観点から今の段階では参加できないというふうにおっしゃっておりました。そして、小渕外務大臣になられまして署名することになったわけなのですけれども、その理由につきましては、先週の外務委員会で島議員の質問にお答えになったのですけれども、状況が変わってきた、方針を変更したわけではなく状況が変わってきた、安全保障上の担保については防衛庁と協議中だというふうに大臣は御答弁されています。
 対人地雷の問題につきましては、安全保障上と人道上という二点の観点から考えていかなければならないものでありまして、国内外の世論の盛り上がりによって、人道上の状況は確かに変わってきたと言えますけれども、防衛のために対人地雷が必要だという安全保障上の状況というのは、まだ変わっていないものだというふうに思います。
 だとしますと、前外務大臣当時の橋本内閣は、人道上は署名すべき、だけれども安全保障上は、安全保障という観点を見過ごすことはできないというふうに判断されて、現在の橋本内閣は、安全保障上の観点というのはおいおい考えていくことにして、人道的な観点からまず署名しようというふうに政策を変更されたのかどうか、お伺いします。

小渕国務大臣 
 対人地雷全面禁止条約につきましては、人道的な配慮とともに、御指摘のように安全保障の確保の観点も極めて重要でございます。しかし、政府といたしまして検討、調整を行ってまいりました結果、我が国は、来週オタワで開催される署名式において署名する意向でございます。
 我が国としては、将来、我が国がこの条約を締結した場合に、我が国の防衛上の体制に重大な影響を及ぼすこととならないよう、対人地雷の代替手段の導入を含む必要な措置を早急に講じ、我が国の安全保障に遺漏なきを期していきたいと思います。
 今御質疑ありましたように、人道的な配慮を中心に考えたか、こういうことでございますが、もちろん、今なお防衛上の問題としてこの対人地雷の存在というものを否定するつもりはありませんが、しかし今申し上げたように、ほかの手段が講ぜられないか、あるいは防衛戦略上、戦術上どのような手段が講ぜられるかということも一方では考慮いたしておりますが、今日、まず署名を行い、その後の問題についてはこれから適宜対応してまいりたい、このように考えております。

丸谷佳織
 では、防衛庁にお伺いしたいと思うのですけれども、当委員会、ことし四月二十二日に通常兵器条約地雷議定書を審議したときと今とでは、我が国を取り巻く安全保障環境というのは変わってきたというふうにお考えでしょうか。あるいは、対人地雷は我が国の安全保障上なくてもよいという認識に立っているのかどうか、お伺いします。

金澤説明員 
 防衛庁といたしましては、起伏が多くて縦深性に乏しいといった地理的特性を有するとともに、防衛の基本理念といたしまして専守防衛に徹するということにしております我が国にとりまして、敵の着上陸侵攻に対しましては可能な限り前方で対処することが必要でありますが、対人地雷は、我が国に着上陸してくる敵の歩兵等の侵攻をおくらせるための障害を構成する防御的な兵器として、大変有効かつ重要なものであると認識しております。
 しかし、近年の対人地雷廃絶へ向けての国際世論の高まり等諸般の情勢を考慮いたしまして、またあわせまして総理よりこの条約に対します署名の意向が示されたことを踏まえまして、防衛庁といたしましては、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民に被害を与えるおそれのない対人地雷の代替手段を導入しようということで、かかる代替手段の検討を早急に進めることによりまして、我が国の防衛に万全を期すという考えでございます。

丸谷佳織
 国内外の世論が盛り上がってきて、またそういった状況の変化に政府が柔軟に対応していかれるということは大変によいことだと思いますし、私自身も署名をすべきだというふうには思っておりますけれども、やはりそこには政府の一貫した姿勢というものが、あるいは強固な信念がなければ、世論の迎合というふうになってしまうおそれもあるのではないかというふうに思いまして、今の質問をさせていただいたわけなんです。
 ぜひ政府には、これまでは安全保障上の観点から条約には参加できないとしてきたが、今は安全保障上の担保がこのようにできたので、人道的観点から当然の措置として署名をすることに決めたというふうな明確な政策判断をぜひ示していただきたいと思いますし、また示していく必要があるのではないかというふうに思うのですが、大臣のお考えをお伺いします。

小渕国務大臣 
 種々議論のあったところでございますが、今防衛庁からも御答弁申し上げましたが、大きな世界の世論もございますし、この地雷の撤去のために、我が国としても多くの資金をそのために提供しておるというようなこともありますし、そういった点で、橋本総理も従前から、何らかの代替手段が講ぜられないかという問題提起もされておりまして、そういった点でもろもろ勘案をいたしまして、政府としては、そのような署名に踏み切ることによって、日本の姿勢を世界に明らかにすると同時に、もとより安全保障上の問題として、講ずべき手段はあらゆる方法をもって対処していくという決断をした、こういうことだろうと思います。

丸谷佳織 
 わかりました。
 では、条約の署名についてなんですが、先ほど坂口議員の方からも御質問がありましたけれども、十二月の三日と四日に署名式を行われるということでした。国会の提出時期についてなんですけれども、大臣はできるだけ早くというふうにおっしゃいましたけれども、防衛庁との調整ですとか、あるいは在日米軍との調整の問題もあると前回の当委員会でおっしゃっておられます。
 となりますと、対人地雷の代替手段が例えば考案されなければ、国会提出というのはなさらないのでしょうか。また、在日米軍との調整がうまくいかない場合、批准はしないということになるのでしょうか。お願いします。

阿部政府委員 
 条約の締結に関しまして、案件を国会に提出する時期につきましては、署名の後で具体的に検討に入ることになりますけれども、この点につきましては、安全保障面で日米間の協議を継続すること、それから代替手段や、さらに国内の法制の整備も必要でございますので、そのような検討を行った上で、また署名した各国の締結の動きも踏まえまして、具体的にいつ国会にお諮りするか、その時期を判断するということを考えております。

丸谷佳織
 これから考えていくということなんですけれども、署名をしてまだ批准をされていない条約もあるわけですから、本当に批准に向けて、また一貫した信念を持って、強固な信念を持って、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
 対人地雷に関しましては最後の質問になるわけなんですが、政府は、昨年の六月にリヨン・サミットで我が国の自主的な対人地雷措置を表明なさいました。その措置といいますのは、我が国は、原則的に国際的な全面禁止に関する合意が達成するまでの期間において、スマート地雷以外の対人地雷は使用しないというものでしたが、今やスマート地雷の方も禁止していこうという傾向にあるものというふうに思っております。
 そこで、今回、対人地雷全面禁止条約に署名するに当たりまして、署名当日から日本は条約の第一条の第一項の義務を遵守すると同時に、保有する対人地雷の自主的廃棄を進めることを世界に表明していくといった、何らかの対人地雷に関する、またこちらも確固たる姿勢を示していただきたいと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。

阿部政府委員 
 御質問のスマート地雷につきましては、この条約との関係で申しますと、第一条で対人地雷すべてが禁止されることになりますので、スマート地雷、あるいはそうでない従来の地雷の区別なく、条約を締結しますと使用が禁止される、こういうことになります。
 御質問は、その段階に至る前までも、署名後、その使用をやめるべきではないかという御質問かと思いますが、その点につきましては、これは条約の義務そのものとは直接関係ない問題でございまして、防衛庁当局とも今後どのようなことができるか検討していく必要があると思います。

丸谷佳織
 ぜひ検討をしていただいて、また、検討された結果を審議させていただきたいというふうに思います。
 今回の対人地雷の全面禁止条約の成功には、NGO団体の貢献が大変大きかったものというふうに思うわけなんですけれども、このNGO団体というのはやはり非営利で、また非政治的な組織であるという面が、大変この貢献に大きなポイントになったのかなというふうにも思います。
 しかし、核兵器のような大量破壊兵器ですとか、あるいは、COP3ももうすぐ開かれますけれども、地球環境の悪化等といったような地球規模の大きな問題に関しましては、やはり各国政府が、国益という観点ではなく、国益志向から人間益という志向の方にこれは変えていかなければいけないのではないかというふうに私は思います。
 現在、地球規模的な核戦争の危機というのは後退したというふうにも言えると思うのですけれども、一方、臨界前核実験の問題ですとか、あるいは核兵器開発技術、核分裂物質などの流出による核拡散の問題といった、新たな形の核の脅威に直面しているというふうにも思うわけです。
 CTBTもございますけれども、本条約の発効の見通しは非常に暗い状況にあって、インドは、状況的には、条約に署名すらしていないわけですね。
 ジュネーブ軍縮会議及び国連総会におきまして、インドが本条約採択に反対した理由につきまして、外務省は、この条約中に、核実験禁止という義務と、核兵器国が時間的枠組みを付して核廃絶を行うべき義務とが結びつけられるべきであり、また、このような時間的枠組みを付した核廃絶とのリンクがないのであれば、自国の安全保障上、核兵器保有のオプションを放棄するわけにはいかないということを主張して、これが一番の反対の理由であったというふうに伺っております。
 NGO団体ということでは、アメリカの著名なNGO団体、ザ・ニュークリア・エイジ・ピース・ファウンデーションといいまして、核時代平和財団というのがございます。これは今、先ほど述べました時間的な枠組みということに関して、非常に大きく動いていまして、アボリション二〇〇〇という活動をしているわけですね。
 これはどういう活動かといいますと、二〇〇〇年までに核保有国に対して期限つきで核兵器を廃絶する交渉を進めていこう、二〇〇〇年までにその交渉を終わらせようという活動なわけなんですけれども、この核実験禁止と時間的な枠組みに関しては、外務大臣はどのようにお考えになるか、大臣のお考えをお聞かせ願います。

阿部政府委員 
 核兵器の廃絶というのは、原爆の経験もした日本国民の大変強い願望であるわけですが、そのために、いかにして現実的にそれを実現するかということに政府としても外交交渉の場で取り組んでおります。
 現実には、やはり核兵器を既に持っている国に対して、それをいかに説得して、廃絶に向けた軍縮の方向に引き込むかということが問題でございまして、残念ながら、今のところ、核兵器を持つている国は期限つきの交渉に入るということは受け入れておりませんものですから、そこまでは政府としても要求できないという段階にございます。
 そのような強いNGO等の意見があるということは、私どもも十分踏まえて対処いたしております。

丸谷佳織
 できるかできないかというような早急なお答えを全然欲しいわけではなくて、外務大臣にぜひ、核実験禁止とあるいは時間的な枠組みをリンクして考えていくことについては、大臣としてどのようにお考えになられるかという質問をさせていただきたいのです。

小渕国務大臣 
 核廃絶の究極的な目的達成のために努力を続けていくことは当然でございますが、一方、現実的に対処していかなければならない。理想は理想として、その面において我が国の置かれた立場というものは極めて重要だと思いますので、その方針で貫いてまいりたいと思いますが、現実のいろいろの条約その他につきましては、多くの理解を求めて、最終的に核を有している国々も含めてその廃絶に行っていただく、そのために時に現実的な対応もしなければならないのではないか、このように考えております。

丸谷佳織
 お考えをお聞かせくださいまして、どうもありがとうございます。
 先ほど言いました核時代平和財団なんですけれども、アボリション二〇〇〇という活動の中で、現在は署名活動等、精力的に活動をしているわけなんですけれども、九七年の一月、ことしの一月、会議を開きまして、ムルロワ宣言というのを採択しました。この内容といいますのが、核兵器の製造と実験によって被害を受けた先住民や植民地支配下にある人々こそ、核廃絶のための計画立案に向けて最大に配慮されるべきであるという趣旨になっております。
 この趣旨には大変私も同感いたしまして、また、日本という国を考えますときに、やはり唯一の被爆国であるということを考えますと、核廃絶に向けた努力を一層重ねていくべきだというふうにも思います。
 ことしの七月には、札幌の方で三十二カ国の代表が集まりまして国連の軍縮会議が行われました。このときには、核軍縮に向けてはやはり悲観論、楽観論と、それぞれ意見が対立したというふうにもなっております。
 この札幌会議の方では幾つか前向きな動きがありまして、第一は、核保有国の元軍高官も加わって、核兵器の全面廃棄を求める活動が活発になってきたということ、そして第二は、非核地帯運動が広がってきたという報告がなされまして、これによりまして傍聴していた人々も大変勇気づけられたという経緯があるのですけれども、次に、この非核地帯条約についてお伺いしたいと思います。
 現在、非核兵器地帯条約というのは四つ条約が結ばれています。一九六七年にラテンアメリカ、そして八五年は南太平洋、九五年にアフリカそして同年に東南アジアと、四条約がありまして、アフリカのペリンダバ条約を除いて三条約の方が発効されています。
 唯一の被爆国の外務大臣としまして、これらの非核兵器地帯の条約というのはどのように評価をされるのか、お伺いします。

阿部政府委員 
 核兵器廃絶に向けた動きとしまして、一つの方法としまして地域別に非核地帯を設定するという動きが御指摘のとおり幾つかございます。私ども、基本的にはこれは一つの方法として有用なものと評価しておりますが、ただし、実際にそれが有効なものとなるためには幾つかの条件を満たしている必要があるというふうに考えております。
 例えば、そのような地域的な非核地帯につきましては、核兵器を持っている国もその約束に同意しているということが必要でございまして、そうしませんとなかなか実効が上がらないという問題があります。また、そのような条約、取り決めができたことがその地域あるいは世界全体の安定に寄与するということであることが必要でありまして、一時的にも安定を崩すと、またかえって逆の効果があるというような問題があるかと思います。

丸谷佳織 
 外務大臣の非核地帯条約に対する評価も、今の御答弁と一緒ということでよろしいですか。

小渕国務大臣 
 我が国といたしましては、アフリカ地域及び南太平洋地域における非核兵器地帯の設置等、地域の平和と安定、核拡散防止の目的に資するものとして評価をいたしております。
 中央アジア非核地帯は現在のところ構想の段階にあるものでありますが、我が国は同構想を支持する国連総会第一委員会決議に賛成をいたしており、今後の具体的進展に注目いたしておるところでございます。

丸谷佳織 
 ありがとうございます。
 ただいま外務大臣もおっしゃいましたように、今回の札幌で行われました国連の軍縮会議におきまして、初出席をしたウズベキスタン外務省幹部が、旧ソ連と中央アジア五カ国の代表で中央アジアの非核地帯の創設に向けて話し合いを進めていこうというふうな発表をしたわけなんですけれども、ぜひアジアの一員として日本もこの中央アジアの非核地帯化に可能な支援策を講じていただきたいというふうに思います。
 また同時に、非核地帯の意義というのを深く考えながらアジア太平洋地域の平和という観点に立ってみたときに、中央アジアが今話を進めている、そして東南アジアの方はもう既に発効しているという状況なんですが、北東アジア地域の非核地帯条約をつくるというような発想に関しまして、これは大臣として望ましいものかどうか、お伺いします。

加藤(良)政府委員 
 北東アジア地域につきましては、例えば韓国と北朝鮮との間に国交がございません。それから、我が国と北朝鮮との間にも国交がございません。そういう状況でございまして、非核地帯条約締結のための現実的な環境がいまだ整っていないというのが私たちの率直な認識でございます。
 日本といたしましては、まずそういう前提として、北東アジアの安全保障環境の改善ということのために、米国や韓国などとも緊密に連携しながら、域内の安全保障対話の促進の努力というのをまず進めていくということが重要であると考えています。

丸谷佳織
 私の質問がぼやけているせいなのかもしれないのですけれども、ただいま私がお伺いをしましたのは、可能か否かという問題ではなくて、唯一の被爆国の日本の外務大臣としまして、この北東アジア地域を非核地帯化していくということに関して、望ましいとお考えなのかどうかというお考えをぜひ聞かせていただきたかったのですが、もう一度同じ質問をさせていただきます。

小渕国務大臣 
 理想を申せばそういうことですし、ただ我が国は、当然のことながら非核三原則によりまして核を持たない国でありますが、この近隣にはそうしたものを保持している国もございますし、あるいはその核兵器を製造するのではないかという危惧のもとに、そうした事態の起こらないようにKEDOというような形で近隣として協力を申し上げておるところでございまして、そういった意味で、今御答弁ありましたように、残念ながらその環境に今達しておらないという認識でございます。

丸谷佳織
 北東アジアは冷戦型の対立がそのまま残っている地帯でもありますし、今現在において非核地帯というのをつくるのは大変難しいということはよく理解をしておりますけれども、また、そういった背景を持つ地帯だからこそ、この非核地帯というのが必要になってくるのではないか、そういうふうに思うわけです。
 また、二十一世紀を目前にしてという言葉が本
当にいろいろなところで聞かれますし、それに向けての政策、対策というのは考えていかれているのですけれども、こういった核の全廃ですとか地球規模の環境悪化の問題という、地球規模の問題を考えていくときには、二十一世紀というよりも、本当にもしかしたら三十世紀を目指していかなければいけないような問題なのではないかというふうに思う観点から、ぜひ北東アジアの非核地帯化ということに関しても、本当に超長期的な視野で前向きに御検討していただきたいというふうに要望を申し上げます。
 続きまして、北朝鮮の問題について質問を幾つかさせていただきたいというふうに思うのです。
 先日、十一月八日から十四日までの間に、日本人配偶者の里帰り第一陣が来られて、そしてお帰りになったわけなんですけれども、第一陣の実現を見た後、今の小渕外務大臣の率直な感想をお伺いします。

小渕国務大臣 
 長年の間、日本の土を踏むことのなかった日本人配偶者の方々の第一回の故郷訪問が順調に行われまして、これらの方々が肉親と再会し、また級友や知人との旧交を温めることができたことは大変喜ばしいと思っております。いろいろテレビ、新聞、その他の報道を通じましても、率直に、この生まれ育った我が国に戻ってこられて感激をいたしておる姿を拝見いたしまして、大変うれしく思った次第でございます。
 これによりまして、北朝鮮在住の日本人配偶者の故郷訪問の最初の、しかも重要な第一歩を踏み出したもの、こう考えておりまして、今後とも故郷訪問を継続的かつ着実に実施いたしていけるような環境のできることを期待いたしております。

丸谷佳織 
 さきの与党の訪朝団の方が五人の第二陣の里帰り候補者である日本人の配偶者の方と面会したという報道があったわけなのですけれども、これによりまして、また近く里帰りの方が実現していくのであろうというふうにも思います。
 この第二陣以降の交渉と、また第二陣里帰りの見通しについてお伺いします。

阿南政府委員 
 この事業が今後継続的に実施されることが極めて重要でございます。九月の日朝両赤十字間の合意書でも、継続的に実施されるということになっております。
 現在のところ、第二回以降の故郷訪問の具体的な予定はまだ決まっておりませんが、政府といたしましては、今回の貴重な経験を生かしまして、できるだけ早く第二回以降の故郷訪問が継続実施できるように北朝鮮側とも話し合い、また、国内の諸般の準備、調整を行ってまいりたいと考えております。

丸谷佳織
 里帰り第一陣、第二陣というふうに順調に行われていくことを本当に切に願うわけなのですけれども、例えば一陣ごとの交渉というのではなく、千八百人ほど日本人配偶者の方がいらっしゃるというふうに言われているわけでして、一陣ごとに十五人、五人というふうな数でいきますと、配偶者の方が高齢ということを考え合わせましても、なかなか難しいところもあるのかなというふうに思います。
 よりまして、里帰りに関しましては、里帰りの枠組みを確立するような提起を日本側はしていくべきなのではないかというふうに思うわけなのですけれども、外務大臣のお考えはいかがでしょうか。

小渕国務大臣 
 日本人配偶者の故郷訪問を継続的に実施されることは大変重要なことでありまして、この点につきましては本年九月の日朝赤十字間の合意書でも継続的に実施されることとなっておるわけでありまして、このことをいかに具体的にいたしていくかということであろうかと思っております。
 そうした意味からも、ぜひ、そうした枠組みをしっかりつくるためにも日朝間の意思の交流を深めていかなければなりませんし、現実問題としては、正常化交渉というものをできる限り早く開催をいたしまして、そうした正式な場所でも具体的な案をつくり上げる努力ができれば幸いだと願っております。

丸谷佳織
 ありがとうございます。
 本来やはりあるべき姿の、自由往来ができるといった本来の理想的な里帰りが実現しますように、ぜひ御努力をいただきたいというふうに思います。
 また、そのためには、お隣であります北朝鮮との国交を正常化していく、本当に通常な形に戻していく、常識的な形に戻していくと言った方がいいのかもしれないのですけれども、国交を正常化していくことは安全保障上においても大変重要なことだというふうに思います。
 またその前に、ただし、国交を正常化する前に解決していかなければいけない問題も数々あると思うのです。今回の与党の訪朝団によりまして、日本人拉致疑惑ということが言われている方に関しましては、北朝鮮側は、拉致自体は否定したものの、一般の行方不明として捜査をしていくというふうな少し前進の回答も得られておりますけれども、相変わらず麻薬問題ですとか、にせ札問題等も含めて、依然なかなか実態がつかめてこないというのが北朝鮮なのではないかというふうに思います。
 実際問題、国交正常化交渉をスタートするに至りまして、北朝鮮が信頼できる国である、そういうふうに国民が納得していくことも大変必要だというふうに思うわけなのですが、我が国政府はどのような方針を持って北朝鮮との国交正常化に今後取り組んでいかれるのか、お伺いします。

小渕国務大臣 
 委員御指摘のように、その実態に触れて、北朝鮮の姿というものはなかなか目に見えてきておりません。しかし、今の日本人配偶者の故郷訪問等、ある意味では極めて小さなことかもしれませんけれども、北朝鮮が国際社会へ門戸を広く開いていくために、その扉を一つずつあけていく努力を継続していかなきゃならない。そのことによって一日も早い正常化を願って、努力をしていきたいと思っております。

丸谷佳織
 時間もなくなってきたわけなのですけれども、先ほど質問が出ましたが、KEDOの理事国大使級会議が十一月二十五日にワシントンの方で開かれまして、軽水炉の建設費の見積もりが約五十二億円ですか、日本は意味のある貢献をしていかれるというふうに先ほども御答弁をされていまして、費用についてはただいま交渉中というふうな発言だったと思うのです。
 KEDOへの財政拠出が多年度にわたる国際約束となっていく場合、国会承認条約として国会提出になるというふうに外務省の答弁があったわけなのですけれども、次期通常国会へ提出されるのかどうか、その見通しについてお伺いします。

阿南政府委員 
 KEDOの事業につきましては、日本が引き受ける額が決まりました後、日本政府とKEDOとの間で協定を結び、これは御指摘のように来年度予算から財政負担という可能性が十分にございますので、次期の通常国会にお諮りさせていただきたいと考えております。

丸谷佳織
 韓国がかなりの負担をするわけなのですけれども、実際に韓国の経済状況を見ましても、かなり苦境に立っていまして、IMFの方に巨額の緊急融資を要請するほどの経済危機に見舞われているのかなというふうに考えますと、日本もこういう状況ではありますが、かなりの額で貢献していくのだろうというふうにも思います。
 それだけの額をもって貢献していくという目的には、やはり核の脅威からの回避というものがありますし、それがひいては世界的な平和につながっていく、まだそういった非常に大きな目標のためにも行っている貢献だと思いますので、どうか、先ほど言いました北東アジアの非核地帯条約も含めて、北東アジアの、あるいはアジア太平洋、ひいては世界の平和について、前向きに、確固たる信念を持って御検討願うことをお願いしまして、質問を終了させていただきます。