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衆議院・外務委員会質疑録 |
2002年11月15日 |
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池田委員長 これより参考人に対する質疑に入りたいと思います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丸谷佳織さん。 丸谷佳織 おはようございます。公明党の丸谷佳織でございます。 きょうは、参考人としてお見えになってくださいました三名の方、大変に貴重な御意見を伺いまして、本当にどうもありがとうございました。短い時間でございますが、私の方から幾つか質問させていただきたいと思います。 まず、水口参考人にお伺いをしたいと思います。大変大きな視点から今回陳述をしてくださいましたけれども、今回のイラクに対する問題というのは非常に複雑なものがあると私はとらえております。 というのは、あの九・一一以降、テロ対国際社会という構図、また一方ではイスラム対欧米、特に非イスラムあるいは米国という対立の構図、そしてまた産油国あるいは消費国という関係も、それぞれ見方によって変わってきているでしょうし、また、安保理決議千四百四十一をつくるまでの間もそのような構図でいろいろな議論がなされてきましたし、また今後、査察がなされた後も、例えば、重大な違反が見つかったときにとられると思われるであろう軍事力の行使を国連が容認をするのか、あるいは、アメリカが単独でしてしまうのか等々、結果も非常に複雑なものが出てくると思います。 そういった意味で、日本も国際社会の一員として、本当に今回外交で知恵を出していかなければいけないと思うんですけれども、先ほど情報の共有化が日本はまだなされていない部分があるというふうな御指摘もありました。こういったテロ対国際社会、あるいはイスラム対非イスラムといった文明対宗教との関係、いろいろな見方ができる中で、今回のイラクに対する日本の見方というのは、どのような視点でこの問題をとらえていくのがいいと思われるのか、この点についてお伺いします。 水口参考人 お答えさせていただきます。 非常に難しい点だと思います。日本というこだわりになるのか、それとも、グローバル化されていく国際社会の中で各個人としての価値で今回のテロ問題を見るのか、そこが非常に難しいところだと思いますけれども、御質問が、まず国家というような枠組みでということでございます。 私ども、やはりイスラムという問題を敵視してはいけないということで、まず、中東地域それからイスラムというものの啓蒙をもう少し日本の国内で行う必要性を感じております。その点がまず第一点ですね。 それから第二点が、具体的なその対応としてですけれども、やはりパレスチナ問題、こういうところで憎しみの連鎖というものが起こっておりますので、こういうものが少しずつ解けるような、パレスチナ人やイスラエルの方が集まって話し合えるような会議を催してみるとか、それから、実際にはイスラム問題なんかは現地で、日本と直接石油がかかわるペルシャ湾の国々において、ペルシャ湾の安全保障、シーレーン、そういう問題についてももう少し話し合っていくというような具体的な政策をとっていくことによって相互理解というのが深まると思います。そして、その相互理解を深めることによって、まさに将来的なエネルギー問題というものも解決できるんではないかなと思っております。 丸谷佳織 ありがとうございます。 続きまして水口参考人にお伺いしますが、中東の専門家としてお話をお伺いしたいんですけれども、イラクを単体で見た質問なんですが、九一年に安保理決議六百八十七が採択され、査察も開始されましたが、九八年にはいろいろな経緯があって停止をしています。このときイラクは、決議を受諾したものの、結果的には停止に至るような困難な面があったわけなんですけれども、今回の国連決議千四百四十一というのは、六百八十七よりもより細かくというか、厳しい面も実際にあります。 この千四百四十一をフセイン政権が今受諾に踏み切った背景というのは、九一年当時と何か違うものがあるというふうにお考えになっているのかどうか。また、よく報道でも言われていますけれども、大統領府関連施設等も含めて、本当に六百八十七ではかなわなかった完全な査察というのが今回行われるであろうという見通しをお持ちなのかどうか、この点について教えてください。 水口参考人 ありがとうございます。 まず一番初めの御質問でございますけれども、大野参考人が御指摘したように、やはり基本的にサダム・フセイン生き残り戦略というのをとっていると思います。この点ではやはり先延ばしというような状況が見られるんだと思います。非常に今度のタイムスケジュールがきつい、アメリカ側から見るときつい状況だと思いますので、春に向かってそういうような作戦がとられるとしますと、化学兵器を使われるおそれがある、防護服を着なければいけないとか、そうしますと来年の秋というところまで極端に武力行使を先延ばししなければいけなくなるのではないかという懸念をしている論調も見られております。ですから、政権を延命するための一つとして、まず、そういう行動がとられているということを指摘できます。 それから、二番目の点の御質問になりますけれども、少なくとも今回、一四四一という決議の中には経済制裁解除というテーマが盛り込まれておりまして、これはやはりイラクにとっては非常に魅力的な部分でございます。 それから、もう一つが、実は、湾岸戦争の停戦決議におきまして、六八七でございますけれども、第十四項に当たると思いますが、そちらでは中東地域における大量破壊兵器の地域内での壊滅というのでしょうか、管理というものが出てきます。この問題は、実は、イスラエルの核とくっついてきますし、イスラエルの大量破壊兵器の削減という問題にまで絡んでくるわけでございます。ですから、単に自分の延命だけではなく、そういう中東地域全般、軍縮やまさに経済的な問題まで意識した対応になっているのではないかなと思います。 丸谷佳織 どうもありがとうございました。 それでは、大野参考人にお話をお伺いします。 参考人のおっしゃってくださいましたお話は大変興味深く聞かせていただいたわけなんですけれども、最初に参考人が、米国の主張するイラクの脅威として三点おっしゃいましたよね、国際テロ支援と大量破壊兵器の開発、隠匿、政権の独裁的、強権的性格と。また、最後の結論の三点を比較したときに、果たして今回の国連決議に至る結果あるいはアメリカが主張するイラクの脅威というものが説得力がないのではないかなというふうに、一連のお話をお伺いして私は感じてしまいました。 というのは、国際テロ支援というのは、アルカイーダとの関係、これによって脅威の大小は変わってくるでしょうし、また、大量破壊兵器の開発、隠匿に関しましては、今回の査察が成功すればこれは消えるわけです。また、政権の独裁的、強権的性格というのは、確かにこれは周りの国にとっては脅威ではあるけれども、脅威だからといってそれを例えば軍事力で変えるということは、これも余りにも乱暴な話でありまして、国際テロ支援国家なのか違うのかという点が唯一残ってくる問題なのではないかと思います。 ただ、その視点におきましても、参考人がおっしゃいました、最近、イラクはほかの国の人に対してはテロは行っていないという御発言もありまして、そこからしますと、イラクの脅威というものが非常に薄れてくるというふうに私は理解をしたのですが、この点について、何かおっしゃりたいことがあればお願いします。 大野参考人 お答え申し上げます。 もしも決議一四四一が、武力行使を意味する、あるいはアメリカが一カ国で武力行使を行うような理由を持っているものであるということであれば、イラクのアメリカに対する脅威というのは、そこまでのものではないというふうに言えると思います。 その一方で、決議六八七、一二五四、それから一一五四、一四四一と、四回にわたりまして非常に厳しい決議をイラクが突きつけられて、それでもなおかつ大量破壊兵器を隠匿している可能性が高い、あるいは地域の安全保障に対して重要な影響を及ぼす可能性が強いという意味では、まさに決議六八七が採用された際の、国際社会がイラクを何とか非武装化して、あの地域に安定と安全をもたらそうという動機はいまだに続いているということだと思います。 したがいまして、アメリカが今回武力行使をするという話と地域の安全保障、それからイラクの将来というのは、また違う話ではないかと私は考えております。 丸谷佳織 また、大野参考人は長い間イラクを見られてきたということで、その視点からお伺いをしますけれども、よく言われますポスト・フセインという、例えばアフガニスタンにおきまして国際社会が協力をして新しい国家樹立に向けて行った行動、それに伴う成功という例がイコールイラクに当てはまるとは到底思えないわけなんですけれども、さきの選挙を見ても、一〇〇%の支持率を得てフセイン大統領が再任をされたということから、ポスト・フセインというものを国際社会が考えていくこと自体がちょっと難しいのかなというふうにも思うわけなんですけれども、イラク国内の反体制派と言われるような方たちの動向もあわせて、この点の見通しについてお伺いをします。 大野参考人 お答え申し上げます。 実際、これは非常に難しい問題でございますが、アフガニスタンのような国際管理のもとでイラクを管理していくという体制は一つにはあり得るとは思いますが、まず第一に考えなければいけないのは、あくまでも仮定の話ですが、フセイン政権が倒れる倒れ方にもよると思います。それが政権内部のクーデターなのか、軍によるものなのか、あるいは大衆蜂起が引き起こされるようなものなのかといったことにもよると思いますが、恐らく、今指摘すべき大事なことは、既存のサダム・フセイン政権をつくり上げた支配機構というものがすべて小さくなっている。端的に申し上げれば、バース党の見地からも弱くなっている、軍の力も弱くなっている、あるいは民衆、部族の力も弱くなっている。しかし、サダム・フセインとその周りの人は極めて強くなっている。したがって、九一年以来、あるいは七九年にサダム・フセインが大統領になって以来、恐らく今が一番サダム・フセイン政権は安定しています。 その裏返しでいいますと、それぞれほかの小さいグループ、集団の力は弱まっている。ということは、サダム・フセイン政権はこれらのグループの力を頼って上に上り詰めたわけですが、これらの政権を支えてきた層が、制裁とか、あるいはその後のオイル・フォー・フード計画によって弱くなりましたので、それぞれが細切れになっている。ということは、もし何も上の覆いがなくなると大変な混乱が訪れる可能性がある。あるいは、部族勢力もそれぞれの能力を果たし得なくなるという可能性があると思いますので、私は、特に九六年以降、ここは非常に危険な兆候として見ております。 丸谷佳織 では、時間がないので最後の質問になりますけれども、もう一つ、大野参考人にお聞かせ願いたいと思います。 ある報道によりますと、イラクは、例えば経済や政治的な関係から諸外国を見たときに、日本はアメリカやカナダやオランダと並んで敵対国の一つに位置づけられているという報道もあったわけなんですけれども、実際にイラクから見て、今日本という位置づけはどのようなものだというふうにお考えになられていらっしゃるか。 例えば経済の協力に関しても、日本は新しい道を歩み始めていたのではないかなと私は最近思っていました。というのは、昨年の例を見ましても、衆議院の予算委員会がイラクに視察に行ったり、いろいろな会談をしたり、参議院でもそのような行動が行われていたと思いますし、イラクからの要人も日本に訪れているといった、新たな機運をつかんでいるような時期だったと思うんですけれども、日本に対するイラクの見方というのはどうなっているか、お伺いして終わります。 大野参考人 お答え申し上げます。 イラン・イラク戦争が終わって湾岸戦争に入る前の二年間、日本はイラクから見て最大の貿易相手国でした。そして、イラクは、アメリカでも当時のソ連でもない、日本に対して期待を持っていた、これは事実だと思います。 その一方で、例えば逆に、九八年になりますと、アメリカが空爆をして、真っ先にアメリカを支持したのが日本であったということで、非常に簡単な言葉で言えば、かわいさ余って憎さ百倍といいますか、今まで最も仲のいい国が裏切るのはおかしいというのがこれまでもイラク政府の方から多々聞かれてきた言葉でございます。 丸谷佳織 ありがとうございます。 松井参考人、お時間がなくなりまして、申しわけございませんでした。 ありがとうございます。 |