衆議院・外務委員会質疑録
2002年4月24日

中川(正)委員長代理
 次に、丸谷佳織君。

丸谷佳織
 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の外務委員会での議論を聞いておりまして、いろいろな観点からの議論、またいろいろな指摘がなされているというふうに聞いておりました。その中で、大臣に対しまして、例えば外交責任者としての責任感がないのではないかとか、外交姿勢がよくわからない等の厳しい指摘もなされましたが、私は、大臣就任以来、大変な中、本当によく尽力されているというふうに思います。
 大臣が環境相のときから、京都議定書に関しても非常に情熱を持ってまとめ上げるという仕事をなされてきた大臣でいらっしゃいますから、外交に関しても、大臣の大臣として就任しているうちにこれをやりたいという情熱を持っていらっしゃるというふうに思うんですけれども、大臣が外交にかける情熱、外務大臣として就任されているうちに自分はこれをやりたいと思っている観点を教えていただきたいと思います。
    〔中川(正)委員長代理退席、委員長着席〕

川口国務大臣
 いろいろなことを今走りながら思っているわけでございまして、まず第一に大事なのが外務省の改革であるということは言をまたないと思っております。
 それから二番目に、外交課題、これはさまざまあるわけでございまして、米国にせよ中国にせよロシアにせよ、アジア、ASEANにいたしましても、さまざまな地域の外交の課題というのはあるわけでして、これはきちんと先見性を持って取り組んでいかないといけないと思っております。
 それに加えて、私はこの前、私の外交のスタイルについて、強さ、温かさ、わかりやすさということを申し上げさせていただきましたし、現在外交が、二国間の問題を超えて国際的な舞台でさまざまな課題が生じていて、それへの取り組みを行うことが、日本は世界の中でも有数の力を持った国でございますので、大事だと考えております。
 一つは、今問題になっています、例えばアフガニスタンのような失敗してしまった国、その国に対して何をやっていくのか。その復興の過程で、ある問題、例えば地雷の問題ですとか、あるいはそれの関連でいくと広く軍縮の問題ですとか、そういった軍縮、軍備管理といった分野が一つあると思います。
 さらに、それを続けていきますと人間の安全保障につながっていくわけでして、感染症の問題ですとかあるいは環境の問題ですとか、そういった問題があるわけで、私は環境大臣をやっていて環境に取り組んできたということもございまして、そういった問題について特に力を入れていきたいというふうに思います。
 それから、アフリカについて、これはなかなか今まで、日本と地理的に遠いということもありまして余り、実は地道に取り組んできているということではありますけれども、世界の中で日本がTICADという場を持って、これは既に二回会合をやっていまして、まさに人間の安全保障という観点からもアフリカは重要な舞台でございますので、これにも引き続き力を入れていきたいと考えております。
 課題が非常に大きく、たくさんありまして、やらなければいけないことは本当に山ほどあると思っていますけれども、大勢の方に御指導をいただきながら、我が国としてふさわしい外交をやることができれば、それのリーダーシップをとっていくことができればいいと私は念じております。

丸谷佳織
 今、大臣の御答弁の中から、アフガニスタンへの支援、また地雷、軍縮、人間の安全保障、感染症、またアフリカに関してはTICADというお言葉をいただきましたので、通告をさせていただいてはいないんですけれども、この人間の安全保障、感染症の問題に関しまして、実は私、先月、モロッコ・マラケシュで三日間にわたって行われましたUNDP主催のアジア・アフリカ女性議員による人間の安全保障とジェンダーという会議に出席をしてまいりました。その中で、二十四カ国の女性議員が集まりまして、まさしく感染症の問題、あるいはトラフィッキングの問題、それから紛争の中で女性として、また子供がどのように生き延びていくかという問題について真剣に話し合ってきました。
 その場において、TICADを初めとして、日本がこのアジア、アフリカの人間の安全保障に対して貢献できるという期待度が非常に大きいということも感じましたし、また、この会議自体は日本政府の拠出金で行われたものです。第二回目は、ことしの秋ごろ、インドあるいはバンコクで行いたいということなんですけれども、このような会議を主催し、また、日本政府が関与していって、その中で知恵を出して貢献していくと、非常に顔の見える外交ができるのではないかなというふうに思います。
 その中で、大臣、ぜひ、こういった人間の安全保障、アジア、アフリカという地域において、ヒューマンセキュリティーとジェンダーの問題も、またしっかりと取り組んでいただきたいというふうに期待をさせていただきたいと思います。
 マルチの場という観点でいえば、二月の外務委員会でも質問させていただいたんですけれども、五月八日からニューヨークの方で始まる予定であります子ども特総、これに対しまして、私は、大臣に対して、一点として、ぜひ出席をしていただきたい、そして二点目として、この子ども特総の中で子どもの権利条約の選択議定書に署名をしてきていただきたい、この二点をお願いしたんですけれども、その後二カ月経過しまして、関係省庁と検討作業を加速化させていただきますという御答弁をいただいておりましたが、進捗状況はどのようになったのかと、大臣の出席はかなうのかどうか、二点お伺いします。

川口国務大臣
 まず、子ども特総への私の出席のことでございますけれども、私もぜひ出席をしたいと思いましたけれども、さまざまな日程の関係、国会での審議のこともございまして、今、恐らく、まだ最終的に国会のお許しをいただく段階になっていないかもしれませんけれども、別な女性の議員の方に出席をしていただくということで動いているのではないかと思います。
 そこで、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書、及び武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書、これにつきましては、昨年の十二月に日本政府が横浜会議を開催いたしまして、それから、この五月の子ども特総を踏まえまして、子ども特総を目途にこの二つの議定書の署名ができるように、現在、省内及び関係の省庁と緊密に連携をいたしまして、鋭意検討作業を進めているところでございます。

丸谷佳織
 大臣の出席がかなわないということのようでございますけれども、もうそろそろ子ども特総、開始の日まで日にちが近づいてまいりました。今行っていただいている各省庁間でのすり合わせと、また国内法の整備に向けた意思疎通の作業を一層加速化させていただきまして、何としても、この子ども特総の中で日本が署名という形で日本の外交姿勢を示せるような、そういった枠組みをぜひつくっていただきたいというふうにお願いをさせていただきたいと思います。
 そして、大臣が先ほど御自分の外交政策の中で一生懸命取り組んでいきたいというふうにおっしゃられましたアフガニスタンの支援なんですけれども、近々、外務大臣はアフガニスタンに訪問の予定と聞いておりますが、それはよろしいですか。

川口国務大臣 国会のお許しをいただいて、そういうことで進めさせていただきたいと私は思っております。

丸谷佳織
 子供のことにこだわって恐縮なんですけれども、ぜひ、アフガニスタンに行った際に、アフガニスタンの子供たちの状況をしっかりと視察をしていただきたいというふうに思います。
 二月二十七日の外務委員会で子供兵士について質問をさせていただいた際に、外務大臣の御答弁の中にも、アフガニスタンにおける子供兵士の問題、そういった子供たちに教育を与える重要性ということについて述べていただいたというふうに思っております。
 外相がおっしゃいますように、このアフガニスタンの子供たちが地域社会の一員として成長していくことができるような体制というのは、国際社会の協力で整いつつあるというふうに思うんですけれども、実際に、その子供たちのケアまで結びついているのかどうか。そして、子供兵士だった子供たちもいると思います。そのような子供たちがどのような状況でいるのか、その現状をぜひ視察の一部に加えていただきたいと思いますが、この点いかがでしょうか。

川口国務大臣
 アフガニスタンにつきましては、先般、アフガニスタンの教育大臣が日本においでになられましたときに、教育のお話、それから教育を受ける子供のお話について若干お話をさせていただきました。
 今度のアフガニスタン訪問に際しましては、実はそのときに私は、ぜひ学校を視察させていただきたいというお話をいたしまして、そのときに教育大臣から、ぜひ見てほしいというお話もいただいておりまして、現地の学校訪問をいたしたいと思いまして、今調整をしてもらっているところでございます。
 アフガニスタンの教育大臣からもありましたけれども、日本がアフガニスタンで果たす役割というのは、今までの歴史から見ても、日本は非常に中立的にアフガニスタンの復興に、心からそれを望んでいる国であるというふうに受けとめていただいていまして、日本の支援についての大変熱い希望をそのとき伺いました。
 この意味で、日本は教育についてはかなり支援をしておりまして、ユニセフがアフガニスタンで行っているバック・ツー・スクール・キャンペーンというのがありますが、そこにかなりの金額の拠出をいたしておりますし、UNDPを通じましてREAPプロジェクトというのがありますが、そのプロジェクトで学校の修復もなされているわけです。草の根無償資金協力を通じた教育への支援も考えております。
 それから、私は最近、アフガニスタンの女性についてスペインのジャーナリストが書いた本を実は読みまして、アフガニスタンの女性及び子供の教育の話も大分書いてございましたけれども、そこについて、勉強もしましたし、思うところもあったわけでございまして、我が国がアフガニスタンの人たちの期待にこたえて、教育についてもっと支援ができ、将来を担う子供たちについての支援がもっとできるということになるといいと思っております。

丸谷佳織
 時間もなくなってまいりましたので、中東情勢について触れさせていただきたいというふうに思います。
 中東情勢、この委員会でも何度も議論をされておりますし、私も意見を述べさせていただいております。
 まず、政府としまして、このイスラエルのパレスチナ自治区への侵攻について、国際法上どのような認識をされているのか、この点からお伺いします。

川口国務大臣
 イスラエルの侵攻についての国際法上の考え方、これについては、さまざまな考え方が現在あるというふうに私は承知をしておりまして、もちろん、我が国の立場というのは、イスラエルは即時撤退をすべきであるということでありまして、侵攻自体は国際法上非常に問題があるというふうに、そういう考え方が強いわけでございますけれども、また同時に、国際法学者の間では、さまざまな考え方があるというふうにも聞いております。
 いずれにしても、私は、国際法学者ではございませんので、この点について国際法上こうであるという評価を下すことは必ずしもできないわけでございますし、日本の国としても、日本国がこの問題についての片方の、どちらかの当事者ということではございませんので評価は差し控えたいと思いますけれども、基本的に日本の立場というのは、イスラエル軍が侵攻しているということは全く問題の解決には資さない、直ちに撤退をすべきだということで、イスラエルに対してもこれははっきりと言っております。

丸谷佳織
 例えば米国のブッシュ大統領は、イスラエル軍の侵攻というのをテロへの自衛権だというふうにおっしゃっているわけですね。
 ただ、国際法上で言います自衛権となりますと、要件がございまして、武力攻撃が発生した直後の緊急性という点が一点と、武力で自衛するほかにとるべき手段がない必要性が二点目、また、相手から受けている武力攻撃と同程度の自衛行動である均衡性の三つ、この要件を満たしたときに自衛権というものが認められているわけなんですけれども、評価というよりは、国際法上、このイスラエル軍の侵攻を日本としても自衛権として認識をされているのかどうか、自衛権とみなすから、この中東・パレスチナ情勢について自衛権行使をするのをやめよということが言えないのかどうか、この点についてはいかがですか。

川口国務大臣
 なかなか難しい御質問をいただいているわけでございますけれども、先ほど申しましたように、国際法上これをどう考えるかというのは、まさに委員も幾つかおっしゃられましたように、さまざまな立場があって議論をされていると私は思っております。
 我が国の立場というのは、イスラエルは直ちに撤退をすべきである、今イスラエルがやっていることは問題の解決には資さないということを言っているわけでございまして、これを自衛権であるというふうに断言をしていくということについては、なかなか難しさもあるのではないかと私は考えます。

丸谷佳織
 そうしますと、この国際法上の認識いかんは別にして、日本とアメリカという同盟国の関係、あるいは中東に対する今までの外交路線の中から、なかなか日本の主張が見えやすい外交政策による行動というものは、それほど急ハンドルを切ることができないという状況なのかなというふうに私も思いますけれども、ただ、その中でも、やはり中東情勢というのは、今、暴力の悪循環というよりももっと最悪化して、先回も言わせていただきましたけれども、戦争状態だと言ってもいいというふうに思います。
 私、一議員の立場から言わせていただきますと、中東情勢の最悪化に関しては、やはりイスラエルのシャロン首相の対話をないがしろにした強硬な政治姿勢というのがこの状況を招いたと言わざるを得ないというふうに思いますし、今までの和平への道のりというものにまさしく逆行しているというふうに私には思えてなりません。
 しかし一方、イスラエル国内に目を向けてみますと、昨年秋より激化している武力抗争の中、軍務拒否を表明する兵士というのは増加しているようです。また、先月末の報道によりますと、その数は既に三百人に達していると言います。
 敵対するアラブ諸国に囲まれて一九四八年に建国をしたイスラエル、今までは国是として治安の維持というものを最も重要視してきた国内において、このような動きというのは、珍しいというか異例なことと言ってもいいというふうに思います。
 なぜこのような軍務拒否が増加しているのか、これを考えるときに、一因には、やはりパレスチナ人に対する非人道的な行為というものがイスラエル人自身の正義感を喪失させるのだという、イスラエル人の軍務拒否をした方のインタビューも新聞に載っておりました。そのような自省の念と軍への強硬姿勢の反発から、こういった軍務拒否が国内では起きているのではないかというふうに思います。
 軍務拒否の支援団体によりますと、こういった拒否希望の相談というのは約千人の兵士からなされていまして、その九割が三十代から四十代の予備兵であるということです。
 こういったことを聞いていますと、時代が変われば中東情勢も変わるのかなという、そういった無責任な希望も一方にあり、また実際に、軍務拒否支援団体のように現場で闘っている皆さんは、こういった動きが大きな平和運動につながっていくのではないかという期待もされているというふうに思います。
 日本が中東和平のためにどのような知恵を出せるのか、口出しは今できないのかもしれないですけれども、どのような知恵が出せるのかというのは、私たち議員もしっかりと考えていかなければいけないというふうに思っています。
 きょうの議論の中で、中東情勢に対しては犯罪的な沈黙状態だと、非常にいい言葉だというふうに思いましたけれども、本当に、戦争という状態において沈黙は悪であるということは、私たちは政治家として思い起こさなければいけないのではないかというふうに思います。
 そういった意味において、日本としてできること、当該地域において、例えば次世代を担うような平和勢力、学者の方もいるでしょうし、ジャーナリストもいるでしょう、こういった方たちによるセカンドトラックとでもいうべき対話の場を提供するということも、日本ができる大きな貢献ではないかと思いますが、このことについてはいかがでしょうか。

川口国務大臣
 先ほど申しましたさまざまな外交課題の中で、この中東問題というのは、今緊急に取り組まなければいけない一つの課題だと私は考えております。幾つか日本がやるべきことを段階に分けて考えなければいけないと思っておりますけれども、とにかく、今一番必要な緊急の課題というのは停戦の実現であるということです。
 そのために、では日本が何ができるのかということで申し上げますと、まず、日本の立場というのを明確にきちんと発信をしていくということが一つあると思います。この立場が何かということは今ここで繰り返しませんけれども、これについては、私は、ペレス外務大臣あるいはパレスチナサイドのアブ・アラ立法評議会の議長ですとか、シャース、あちらの外務大臣に当たる方ですが、とお話をしたり、G8の議長のカナダの外務大臣、あるいは、昨晩もパウエル国務長官からお電話をいただいてお話をしていましたけれども、そういったさまざまな取り組みを日本として発信をするということをまずやっているということです。
 停戦の実現に向けて二番目に大事なことというのは、アメリカが決定的な力を持っていますので、この米国の努力について日本が支持し、最大限の支援をするということだと思います。これについても、さまざまな働きかけ、EUのソラナさんも含めて、国際的に協調してやろうということで、またパウエル長官とも、きのうは、これからもよく連携をとって、コミュニケーションをしながらやっていきましょうというお話をしておりまして、そういうことでやっているということです。
 停戦が実現した暁に、その次の段階で何をやるかということですけれども、その課題は、政治的なプロセスの推進だと私は思っております。それについては日本も積極的に関与する必要があると思っておりまして、これをやるために何を考えているかということについては、私は、近い将来、近い将来といいますか早い時期に外に発表をしたいと思っております。これの中には、今委員がおっしゃったセカンドトラックのお話、これは前に私が政策についての発表を記者クラブでさせていただいたときにもちょっと触れさせていただいておりますけれども、そういうこともタイミングを見てやっていくということが大事だと思っております。
 それからもう一つ、こういった中で日本が果たせる役割ということは非常に大事でございまして、それは一つには、日本が昨日発表いたしました、二十三日に発表いたしました三百三十万ドルの緊急人道支援というのがございます。これは、日本はパレスチナに対しては第二番目の支援国でございまして、緊急人道支援をさらに追加をして発表したということでございますし、南レバノンでヒズボラがいろいろ動いていることに対して、ここで緊張を緩和していくということが非常に大事なものですから、イラン、シリア等に対して働きかけまして、もう一つ、レバノンですね、この地域での活動を抑えるということの働きかけを、在京の大使館それから現地の大使館を通じてやっているわけでございます。
 こういったプログラムといいますか、政策、対策を総合的にやっていくということが日本として大事なことだと考えております。

丸谷佳織
 その緊急人道支援に関しても、ぜひやっていただきたいことですし、非常に評価もできることだというふうに思います。
 ただ、やはり日本外交としまして、お金は出すけれども口は出さないというのではなくて、お金も出してしかも知恵も出すというような両方面での貢献が必要だというふうに思いますし、そういった意味で、今大臣が近々発表される予定だという中にどのようなものがあるか、非常に期待をさせていただきたいというふうに思いますし、中東地域における平和勢力を国際場裏に引き出す努力というものも日本にとっては必要だというふうに思います。
 きょうは以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。