2006年 第114回IPU会議報告
2006.5.7〜5.12


会場は「ケニヤッタ国際会議センター」






屋上から見たナイロビ市内






いつも一番乗りの日本団






女性議員会議で発言






発言前の緊張感





いよいよスピーチ





ライオンは北海道にはいませんが…





オーストラリア議員団と





ベラルーシのバラノワ議員と





ODAによる「ケニア林業研究所」





日本・ケニア友好の植樹会





研究所職員の子どもたち〜瞳が綺麗
 5月7日から12日の6日間に亘り第114回IPU会議が、ケニアの首都ナイロビで開催されました。日本からは、衆議院から超党派の6名、参議院から3名の参加となりましたが、長い間継続されてきた重要な議員外交の場としてのIPUにおいて、日本の考え方、議会の取り組みを発表できた有意義な会議になったと思います。
 
 さて、私にとっては初めてのケニアということで、かなりの緊張を随えての旅となりました。出発前に多くの方からいただいたアドバイスを全てそのまま受け取ると、重装備で行くしかないような所なのか!?と思いつつまず黄熱病の予防接種からスタート。今年から10年間は黄熱病にならないそうで、なんとなく強くなったような変な気分で荷造りを行い、いざ出発。しかし、遠いんです、ケニアは。成田からヒースロー空港経由でナイロビ入りしましたが、飛行時間は20時間。到着時から時差を克服するために飛行機では一切寝ないのが私流ということで、資料を読んだり映画を見続けた結果、到着時には目が完璧なまでに充血するという時差克服の副作用が出ていました。深夜の到着となりましたが既に空港には大きな虫がブンブン飛び、虫嫌いの私としては悲鳴が出そうになるのを堪えつつ宿泊先へ。チェックインするなり、日本から持って行った蚊取り線香を焚いたのは言うまでもありません。

 5月7日(日)9時。IPUに出席しているASEAN+3カ国会合に出席するためにホテルを8時半に出発。ちなみにホテルと会場は5分の距離でしたが、渋滞を危惧した日本団は30分前に毎日出発していたのです。勿論いつも一番先に着くのは日本団であり、時間通りに始まることがない会議において、なぜか"日本人らしさ"を妙に感じたものでした。9時半から18時半まで女性議員会議が開催され、議会における女性議員の役割や予算におけるジェンダーの分析の必要性、ソフト分野のみではなく経済、財政などハード分野に女性を起用することの重要性などの意見が出されました。IPUによると女性議員のいない国はアラブ、太平洋諸国を中心に10カ国であり、日本の議会における女性議員の割合は衆議院で9.2%、参議院で14%。実に134位という結果を見るにつけ、我が国の男女共同参画の状況はまだまだ発展途上だと実感します。ちなみに第一はルワンダの48.8%ということでした。また、天然資源の管理に対する女性の貢献という小委員会において、環境学における女性の役割が強調されました。その背景には、水を得るために女性と子どもが酷使されている現状があります。例えば、一日あたりの水利用量を比較すると、アメリカは578L、イギリスが334L、アジアでは95Lでアフリカは47Lであり、圧倒的に利用できる量に差がありますが、この47Lを得るためにアフリカでは6キロの往復が必要となり、女性や子どもには重労働であることは間違いなく、水資源の確保のための環境保全に女性が関わることの重要性を全員が強く認識出来た良い討論になりました。19時半からは開会式が行われ、いよいよIPUが本格的にスタートです。

 5月8日(月)9時から評議委員会。10時15分から本会議。本会議のテーマは「民主主義の促進と民主的機関の構築支援に関する一般討議」ということで、日本団からは私と坂本参議院議員が発言の機会をいただきました。4分という短い時間だったので日本の支援の実績を語っても仕方ないと思い、民主的統治機構の構築のみならず市民の内発的、草の根的民主主義を実現するための"教育"の重要性に絞って発言を行いました。今まで行われてきた"社会のための教育"から、"教育のための社会"への変革を求めるとともに、国の予算における教育費の割合がその国の民主化に比例するという事実から、私たち議員が取り組むべき重要課題として教育を訴えさせていただきました。衆議院事務局の方が発言順番のくじ引きで見事に1番を引き当ててしまい、トップバッターとして死ぬほど緊張しながらの発言でしたが、日本団の皆さんが暖かく応援して下さったのが力となり無事に終了することが出来ました。夜まで会議が続き、19時から会場の外に設置された大テントで、ケニア共和国国民議会議長主催の夕食会。

 5月9日(火)9時から本会議。13時から女性議員会議主催のランチに参加。ケニアを拠点に女性の地位向上のための活動を行っているNGOの女性から、アフリカの女性の状況について詳しく伺うことが出来ました。彼女の主な活動は教育システムの充実のため立法者に働きかけることであり、義務教育の無料化、再入学システムの構築(働かねばならない、或いは妊娠のため中退する女子学生が多いとのこと)、ジェンダー教育を行うため女性教師を育成することを目的としているとのことでした。お手本となる女性のロールモデルがアフリカには少ないので、教育を受けても将来の自分像が描けないのではないか?ともおっしゃっていましたが、とても重要な視点だと思います。夜はイギリス大使公邸で開かれたレセプションと、日本団主催のレセプションをかけもち。日本食を愛する(?)多くの参加者がつめかけ、日本食文化の力をまざまざと見せられた思いでした。

 5月10日(水)。空き時間を利用し、早朝にナイロビ国立公園へ。自然と野生動物がそのまま残された場所ですが、道産子の私としては北海道とあまり変わらない景色かも…という印象でした。お昼はオーストラリア議員団とビジネスランチ。二国間関係を始め、イラク支援のあり方やガン対策など多岐に亘って忌憚のない意見交換が出来ました。また、昨年日本でお会いしたベラルーシの女性議員と再会。何かと話題を呼んだ大統領選後の情勢や、教育交流について意見交換をしましたが、日本のアニメをベラルーシでもっと流して欲しいとの要望をいただきました。彼女曰く、アメリカのアニメはただ面白いだけだけど、日本のアニメには教訓が含まれているのだとか。日本のアニメの力も、日本食に劣らない文化力なのですね。午後は日本のODAによるケニア林業研究所を視察。ケニアでは国土の8割が乾燥地で水を得ることが非常に大変であり、その対策として日本から林業育苗訓練や半乾燥地社会林業強化プロジェクトを行っています。このODAの素晴らしい点は日本のケニアに対する支援が更に発展し、ケニアを拠点としてエチオピア、ルワンダ、スーダンなど12カ国を超えるアフリカ諸国に広がっていることです。日本・ケニアという点が、近隣諸国へ線となってネットワーク化して行くというODAの良い見本だと思いました。

 5月11日(木)。9時からの本会議でなるほどと思った発言がありました。ウルグアイの議員から「ナショナリズムに基づいたポピュリズムは決して個人を守らず、組織を守るに過ぎない。その様な組織では、乱暴な言葉が本当に乱暴な行為に繋がってしまう。」旨の発言を聞き、現在の日本の状況と照らし合わせながら深く考え込んだ次第です。午後は再び女性議員会議に出席し、次回からの議長を選出。中南米で始めてとなる、ウルグアイの女性議員が議長に選出されました。夜は日本大使公邸で在ケニアの邦人の方々と夕食をとり、日常の大変さを教えていただきました。

 5月12日(金)最終日。10時から評議会、その後本会議において今次IPU会議で議決された環境及び災害対策、小型武器に関する決議、女性の政治参加の促進などのとりまとめがあり、無事に会議は終了となりました。会議の場において多くの各国議員と知り合い、立法者として共通の認識に立てたことは私の財産となりましたし、この会議に参加する機会を与えてくれた公明党に感謝しています。また、在ケニア大使館の皆様も徹底したサポート体制をとって下さり、さぞ大変な毎日だったと思いますが、近年稀に見る外務省のお心遣いをいただきましたことに心から感謝申し上げます。最後になりましたが、日本団団長の谷津義男先生を始め副団長の坂本由紀子先生、谷本龍也先生、鈴木克昌先生、菊田真紀子先生、清水鴻一郎先生、藤本祐司先生、加藤修一先生、事務局の皆様に大変にお世話になり、充実しかつ楽しい6日間を過ごさせていただくことが出来ました。本当にありがとうございました。