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この画期的な世界会議で日本政府を代表して発言することを嬉しく名誉に思う。南アフリカ政府とメアリ・ロビンソン高等弁務官が、「平等、正義、尊厳」のために結束する機会を与えてくれたことに特に敬意を表したい。
本世界会議を主催している南アフリカは、アパルトヘイトに対する闘いに勝利した国である。南アフリカの勝利の意義を考えるとき、われわれの前に横たわる任務の巨大さに思いを致さないわけにはいかない。
27年もの長期にわたる監禁にもかかわらず、ネルソン・マンデラ元大統領は、人間の尊厳が必ずや人種主義を乗り越えるであろうと、決して希望と信念を失うことがなかった。真実和解委員会最終報告書は、その過去について公平な観点を持ったことにより喝采を博した。このことは、真に共存する社会を作り上げるための道路地図(案内図)をわれわれに示している。この到達点は、マンデラ大統領が唱えた精神である寛容の精神ゆえに可能となったものである。
本世界会議において、差別と闘うための実践的効果的措置を提案する将来を方向づける議論を行うべきである。この目標に到達するために、成果となる文書はすべての国家のコンセンサス(全会一致)で採択されるべきである。日本はこれを可能とするよう努力を尽くすつもりである。
日本の状況および日本が支持する原則について説明したい。日本の過去の植民地支配と侵略についての深い自責の念から、日本は独善的なナショナリズムを根絶(廃止)し、国際協力を促進し、それによって世界じゅうの平和と民主主義の原則を前進させることに決めた。近隣諸国が表明してきた関心に照らして、ここで強調したいのは、日本政府が上で述べた歴史認識をしっかりと維持していることである。この承認に基いて、日本政府は、第二次大戦がすべての人類にもたらした災難を歴史教育を通じて生徒が理解することを求めている。
1946年に公布された日本国憲法は国際紛争の解決の手段としての戦争と武力の行使を放棄し、基本的人権の尊重を重要な原則として確認した。日本国憲法は、すべての国民(people、人民)は、法の下に平等であり、政治・経済・社会的関係において、人種、皮膚の色、性、社会的身分、家族的出身を理由として差別をしてはならないと規定している。
上で述べた原則に基いて、日本政府は、日本における人種その他の理由に基づくさまざまの形態の差別と闘ってきている。例えば、歴史的に差別されてきた同和地区住民。民族的アイデンティティを持続しているアイヌ人民。その多くが日本による36年の支配期に日本に居住することになった朝鮮人。確実に改善してきてはいるものの、これらの人々に対する差別的態度が日常生活において諸個人の間に残存している。ジェンダー平等社会も達成されるべきもう一つの目標である。
さらに、言語や文化の相違や相互理解の欠如のために、諸個人の間に外国人に対する差別的取扱いなどの人権侵害事件が報告されている。 緊急の解決の必要があることを認めて、日本は、立法措置や行政措置を通じて、偏見、差別、貧困の悪循環を壊す努力をしてきた。この関係ではNGOの社会的な草の根の活動も重要な役割を果たしている。
日本政府は様々の理由から差別されている人々のための共催の措置を発展させる努力をしている。日本政府は極端な偏見と差別を経験してきたハンセン氏病患者のための救済措置を追加する予定である。制度レベルでは、日本における独立の人権委員会を設置する提案を検討中であり、これによって効果的な調査手続きと救済方法を備えた救済措置が提供されることになろう。
このめでたい機会に、日本政府は断固として差別と闘い、各人が個人として尊重され、自己の人間的可能性を完全に実現できる社会を達成する努力を続ける決心であることを宣言する。この努力は日本に限られるものではなく、その他の世界に拡大されるべきものである。
日本は世界から差別を根絶(廃止)する人間の安全保障という概念を大いに重視する。この概念は、どこに住んでいようと諸個人の生存と尊厳を保障する観点で、グローバル化が進む世界で被害を受けやすい者が直面している困難を扱うために発展させられた。人種主義や差別との闘いは、こうした人間中心的アプローチを必要とする。差別されているものの苦痛を感じ取り、苦痛を緩和し、彼らが尊厳をもって自己の人生を追及でき、恐怖と欠乏から自由になれるようにするべきである。人間の安全保障を高めるという観点から、日本は、他の諸国、国際機関、市民社会のすべての構成員との協力を通じて、差別と闘うための努力を強化することを約束する。
もっとも残虐な人権侵害と差別は、人種や民族の敵意によって引き起こされた紛争時に人々が経験してきた。巨大な惨状と暴力に直面するや、和解は口で言うのはたやすいが、達成するのは難しい。共存と和解はグローバルな平和と繁栄に向けた手がかりとなるだろう。われわれと異なる者を受け入れ、差異(違い)を尊重し、調和して共生する努力をしなければならない。そうして初めて、和解が達成されるであろう。この目標に、われわれ一人ひとりが、真に差別感情から自由であるか否かを批判的に自問するべきである。
われわれの前途は遠く困難である。硬い信念をもち、相互理解を促進することにより、差別という悪に打ち勝ち、差異と多様性に寛容で尊重する真に共存社会をつくることができる。
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